表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/14

インスタント美味しいです

 あれから数日、俺たちは低ランクの依頼をこなしていた。

 相変わらずミカは稼ぎを全部食費に突っ込んでいる。


 流石にミカの取り分が全て食費に消えるのはどうかと思うので、

 収入の1/3は共通の旅費として貯金している。


 まぁ、実質ミカの取り分を減らした訳だが、ミカは金があればあるだけ食うが、食べる量が減ったからといて飢えるわけでも無いらしい。

 なら食うなよ。

 と思う。というか言ったが、聞く耳は無いらしい。


 そろそろ見捨てても神様も怒らないかなぁ


 とか考えていたある日、望んでいたニュースがやってきた。




 ある日の夜、銀竜亭で皆に酒を振る舞う冒険者が現れた。


「まぁ、俺にかかれば、あの程度の迷宮は楽勝だったね!」


 迷宮を攻略したというのだ。

 こんな風に自慢話をしたら、ヘタな冒険者なら襲われて全財産を無くすだろうが、彼は気にする風でもなく自慢していた。

 実をいうと、迷宮を攻略した人物は自然と羽振りが良くなるので、数日の間に噂になったりする。

 そういった噂が聞ければラッキー。程度に思っていたので、こうして自分から暴露してくれるとはありがたい。


「参考までに、どこで迷宮を見つけたんですか?」

「街の南の森だよ。けど、今更行っても何もねーぞ?」


 気分良く男が話す。

 南の森、ね。

 大して広くもない範囲だ。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 その日の朝(・・・・・)、俺たちは南の森で迷宮を見つけた。


 ランダムで出現する迷宮も、現れる日とおおよその場所が分かっていれば、見つけるのに運はそれほど必要ない。


「何でここに迷宮がある。って分かったんですか?」

「今日の夜、ここで見つけた。って自慢している奴が居たからな。

 だいたいの場所を聞いて、今朝まで戻ってきた」


 ミカが聞いてきたので、正直に答える……が


「え? 何言ってるんですか?」


 アホの子を見る目をされた。


「いや、マテ。

 お前から貰った能力だからな、コレ。

 ほら、3つの願いで」


 言うと、しばらく考え込み……


「ああ、そんな事もありましたね。スッカリ忘れてました!」


 とのたまった。


 コイツ、マジに呆け老人じゃないだろうな?


 かなり不安になったが、良く考えれば今更の話なので、気にしないことにした。





 迷宮の中は石造りの遺跡という感じだった。


 進んでいくと、毎度お馴染みのゴブリンや、犬だか狼だかの怪物が襲ってきたが、蹴散らした。

「迷宮」という割には通路はほぼ1本道で、迷う要素はほとんどなかった。

 罠の方も、ミカが落とし穴に落ちたり、ミカが串刺しにされたり、ミカが作動させた天井落としに俺も巻き込まれた以外は順調に進んだ。

 ……割とデストラップの多い迷宮だった。


 何とか魔力結晶を入手した俺たちは、換金して(銀竜亭で買い取ってくれた)馬1頭と荷馬車を購入。

 念願の移動力の向上を達成した。



 その後も、少し遠方に行く依頼を引き受けつつ、迷宮に挑戦した。


「もの凄い強運ね」


 短期間に魔力結晶を換金する俺たちに女将さんはそう言った。

 すこしやり過ぎたかもしれない。

 このままだと、「迷宮を踏破した冒険者から魔力結晶を強奪している」と疑われかねない。

 ……まぁ、「横取り」している事は確かなのだが。


 4つ目の魔力結晶を換金した時点で、それなりの旅費は貯まったので、この街を出ることにした。

 目指すは魔王国。

 街道沿いに西に行けばたどり着くらしい。


 それまでの道中で、魔王国に向かう魔族か獣人を仲間にしたい。





 ……できれば、食費のかからない奴を。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ