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狩人  作者: 月波 ルナ
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新たな名

龍が、川で溺れて数日が経過した日。



相変わらず回りは気味の悪い森に覆われていたが、龍の怪我した肩には何やら葉が巻かれ、薄汚い布がかけられていた。



龍「・・・うっ・・・ここは?」



龍は、梟の鳴き声と虫の泣き声で目が覚めた。



龍「・・・つぅっ!;」(あの、糞野郎。本当に撃ちやがった; ・・・って、誰が手当て、したんだ?)



痛む肩に手を当てると謎の葉っぱがあったが、それが傷を癒す薬草的な物と判り、首を傾げる龍。



その時、暗闇の奥から足音が近づいてくるのが聞こえ、そちらを向く。



龍「!・・・君が・・・俺を助けてくれたのか?;」



暗闇から現れたのは痩せ気味で、髪の毛が長い女。



顔が髪で隠れて見えない人物に龍は、勇気を振り絞って聞いた。



「・・・“助けた”?それは違う。死ぬんだったら死んでくれたほうがよかった。食料にしばらく困らなくってすむしね。」



女は、警戒してるのかある一定の距離をとりながら、龍に話し出す、



龍「は?; 一体、何を言ってるんだ?;」



「・・・貴方、上の世界の人間でしょう?下の世界での生きるルールを知らないの?」



女はゆっくりと龍に近づき言い放つ。



「この世界はまさしく弱肉強食。弱い者は強い者に食われる。貴方の生命力が弱かったら、私は、貴方の息の根を止め、肉に変えてた。だから、助けたつもりはない。もし、この先、貴方が死ねば、私が真っ先に貴方の肉を食らう。」



近づいた女性の目が髪の間から少し見え、その目は、まさしく本気に見えた。



龍「わ・・・解った;」



「これから先、貴方を手助けするつもりはない。生きたければ、この世界で生きる糧を身に着けて。」



龍「その前に、教えてほしい; ・・・君の名前を;」



「?・・・名前?」



龍「あぁ; 一人よりも二人。協力したほうが効率がいいことがあるだろう?だから、君のことも教えてほしい。」



「・・・協力?」



女はさほど興味がなさそうに龍を見つめ続ける。



龍「俺の名前は龍。君にも名前はあるだろう?」



「名前・・・。」



龍「俺は、敵じゃない。食料だろうと見分けをつけるためにも名は必要だろう?;」



龍は、途中、わけの解らない事を自分でも言ってるのは解ってはいたが、この女性が、本気で自分を食べようとしていたのであれば、気絶してる間いくらでもチャンスはあったはずだ。



それをしなかったのは、きっと、本当の彼女は心の優しい子なんじゃないかという希望。



龍自身、下の世界の暮らしがどれほどのものかは知らずに生きてきた。



目の前の女性が敵か見方かなんて判断もできるはずはない。



だが、このまま彼女と別れたら、それこそ、彼女は龍を食べる可能性が無きにしろあらずのような気がしてならなかったから。



「・・・覚えていない。」



龍「・・・え?」



「自分がなんて呼ばれていたのか覚えていない。」



龍「・・・;」



目の前の女の警戒を解こうにも名前がないなんて、どうすればいいか龍は困り果て。



龍「・・・夜魅よみ。」



「?」



龍「夜を魅了するで夜魅ってどうかな?;」



龍は女を見つめ問いかける。



「・・・好きに呼べばいい。動けるの?」



女はさほど興味がないように俺に言うと、背を向け、聞いてきて。



龍「へ?!あ!う・・・動けます!」



「静かにしてくれない?見つかったら面倒なの。」



龍「?見つかるって誰に?」



俺は、立ち上がると、夜魅の後ろについて歩く。



「・・・時期にわかる。」



龍「・・・。」



そういった夜魅の横顔は、髪で隠れてよくは見えなかったが、何か鬼気迫るものを感じたので龍は黙り込んだ。



歩きながら、夜魅はここのルールを簡単に説明してくれた。



どうやら、少しは警戒心を取り除けたようで安心した。



「それじゃ、ここで。」



龍「・・・・ん?;」



警戒心も解けて、この世界のルールを説明してた夜魅は振り返り、龍に言い放つ。



「ここから先は自分の身は自分で守って。私は自分のこと以外、守れる器じゃないから。」



龍「・・・え?;じゃぁ、別行動・・・ってこと?;」



「そう聞こえなかった?私は、自分を守るので精一杯なの。さようなら。」



龍(えぇぇぇぇえ?!;)



こうして、俺は再び一人になってしまった。



とりあえず、寝床的なところは確保(夜魅が安全な場所だといって連れて来た場所)した。



夜に出歩くのは得策じゃないと夜魅に言われた。出歩くにしても、火を使っては駄目。



食べるなら、蜘蛛や芋虫を生で・・・。



龍(って、無理に決まってるだろ!;)



龍は、先ほど夜魅から説明された内容に胸焼けを起こしていた。



龍(・・・こんなにも上と下の格差があったなんて;)



龍は今まで、食事に困ったこともなければ無論、自分で料理などしたことはない。



火を起こしたり、物を作ったりすることもままならないだろう。



そんな自分に腹が立っていた。



龍(俺は、何も知らずに上の世界で生きてきたのか。夜魅が一生懸命、生きてる間に。)



先ほど、夜魅の話を聞いてる最中、夜魅の手や足には小さな傷が無数にある事に気づいた龍。



龍(・・・とにかく、今は明日からどうするかだな。)



今が何時かは解らないが、体力的にも睡眠を欲してるのは間違いないため、その日は眠りにつくことにした。

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