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三章 預かり屋こよりさん(2)

子犬スイッチのお世話はユーリとキティの2人に任せ

、こよりはドラゴンの卵を見守っていた。


「ふぅーいつ産まれるんだろう。しばらくは事務的な依頼しかこなせないな~。」


社長室で一人言を言いながら、こよりは端末をいじり簡単な依頼を探す。



「どれも面倒くさそうだな。」


そう言うと“すみません!多忙なため、また次回の依頼をお待ちしております。”というテンプレート文を依頼主へ次々に送っていく。


「はい!おわり。すっきりした。」

まるで掃除が終わったかのような爽快さを感じ、こよりはその場に仰向けになった。


「うーん。暇だしお昼でも作るか。」


さきほど依頼を全て蹴った人の言葉とは思えない。



決断すると行動が早いこより。

「今日は何作ろっか。」

誰かに話しかけるような口調。


「よし。決めた。」


そう言うと、さっそく社長室に備えつきのキッチンに立ち、材料を揃え始めた。



慣れた手つきで食材の下ごしらえをしていく。


軽快な包丁さばきや、フライパンを扱う姿は3つ星レストランのシェフも目を見張るくらいであろう。



こよりはあっという間に調理を終え、テーブルに出来立てのオムライスを3つ置く。


ドタドタドタドタ。


いつもより早いリズムの足音が外から聞こえてきた。


「こよりさん!こよりさん!オムライスですか!」


「わー!いい匂いじゃない。」


「きゃんきゃん!」

と小さいのが2人とこれまた小さいのが1匹社長室に入ってきた。


「うん、ご飯にするから席ついて。ユーリ紅茶お願い。」


「はい!」

元気よく返事をするユーリ。

ユーリの好物はオムライスだ。


「きゃんきゃん!」


「はーい。お前はこっちだよ。お口に合いますかどうか。」

こよりは、そう言うとスイッチの前にお肉や野菜を水煮したものを出してあげた。


ヨダレをたらし、こよりを見上げるスイッチ。


「へぇ~この歳でしつけができてるんだ。」

関心をして、スイッチの目の前でパン!と手を叩くとお皿を前にだした。


すると勢いよくスイッチはお皿に飛び付いた。


「さ、私達も食べよっか。」


「「いただきまーす!」」




「ん?」



「どうしたんです?こよりさん。」



「いや、卵…動かなかった?」



「え、動いてないと思いますが…」



3人は卵の方を向く。



パキ!


パキパキ!


卵の頂点にヒビがはいる。

そして上から下へヒビが広がっていった。


パキ…


一瞬動きが止まる。

すると次の瞬間、卵の殻を破り、足が飛び出てきた。

殻の向こうにいるソレはそれからゆっくりと殻を破っていく。

ほぼ殻を破り、全身をあらわにしたソレは大きく口を開け、キュゥウ!!と鳴いた。


「産まれた?!」とこより。

「え、え、本物ですか?!!」とユーリ。

「わ~!」とキティ。


キュウと鳴きながら、産まれたばかりのドラゴンはおぼつかない足取りでこちらに近づいてくる。


「ねぇ親だと思ってるんじゃない?」

キティはドラゴンに近づき、「こっちだよ~」と手招きする。


「こんな早く産まれるなんて…ドラゴンの赤ちゃんって何食べんだろ。」


「やっぱりお肉じゃないですか?」

ユーリは迷いなく言う。


「最初から消化出来るかな~。とりあえず、スイッチと同じものあげるか。あ、その子の名前考えなきゃね!」



「エアリス!なんか綺麗な響きじゃない?それに幻想的!」

思い付いたように言うキティ。


「かっこいいです!!それに可愛いです。」

ユーリが即反応する。


「そうだね、いい名前。ありがとうキティ。そして、よろしくねエアリス。」



こよりが笑顔をエアリスに向けるとそれに応えるかの様にキュウウ!と元気よく鳴いた。

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