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チョキチョキチョッキン チョキチョッキン

作者: 七花まど
掲載日:2026/04/12

チョキチョキチョッキン チョキチョッキン


私の名前は夢絶ち鋏 あなたの夢を 絶ち切ります


こちらの大きな絶ち切り鋏は不安の糸を 絶ち切ります


今日も今日とて鋏でチョッキン 泳いで渡るは夢の中


「君はどこの だれですか?」


サッカーボールと短パン小僧 私が誰かと問われれば 首を振って答えます


「私は誰でもありません」


何者でもなく 何物でもない それが私 夢絶ち鋏


ふわふわとした 夢の中 サッカーボールが転がります


「あなたの夢はなんですか?」


「サッカー選手になりたいです!」


短パン小僧の将来の夢 膝には大きな絆創膏


怪我が怖くて本気で走れず サッカーボールが前を転がる


「あなたの不安を絶ち切ります」


「本当ですか! ありがとう!」


短パン小僧は飛び跳ねて 私は鋏を持ち上げます


私は一言「ごめん」と謝り ギラリと輝く刃先を広げる


首を傾げた短パン小僧 私の目を見て問いかけます


「なんで謝ったのですか?」


「あなたの未来を絶ち切るからです」


私の名前は夢絶ち鋏 あなたの未来(ゆめ)を絶ち切ります


チョキチョキチョッキン チョキチョッキン








チョキチョキチョッキン チョキチョッキン


叶うはずない将来の夢 夢絶ち鋏が絶ち切ります


こちらの大きな絶ち切り鋏は 真っ暗な夢を絶ち切ります


今日も今日とて鋏でチョッキン 泳いで渡るは美術室


「貴女はいったい誰なんだ?」


彩色筆と短髪少年 私が誰かと問われれば 首を振って答えます


「私は誰でもありません」


人でなければ 物でもない 一体私は何でしょう


シーンとした美術室 バケツの水が滴ります


「あなたの夢はなんですか?」


「歴史に残る絵を描きたい」


短髪少年 夢を語る 濁った水は努力の結晶


けれども一度も受賞なし 見向きもされず 筆は止まる


「あなたの不安を絶ち切ります」


「本当か! ありがとう!」


短髪少年笑顔を見せて 私は鋏を持ち上げます


私は一言「ごめん」と謝り 静かに刃先を広げます


首を傾げた短髪少年、私の目を見て問いかけます


「どうして君は 謝ったんだ?」


「あなたの夢を絶ち切るからです」


私の名前は夢絶ち鋏 あなたの未来(ゆめ)を絶ち切ります


チョキチョキチョッキン チョキチョッキン









チョキチョキチョッキン チョキチョッキン


苦しいだけの希望の光 夢絶ち鋏は絶ち切ります


こちらの大きな絶ち切り鋏は あらゆるものを絶ち切ります


夢絶ち鋏の最後のお仕事 泳いで渡るはベッドの隣


「あなたは一体誰ですか?」


ベッドに寝たきり黒髪少女 私が誰かと問われれば あなたに触れて答えます


「私はあなたの鋏です」


それ以上でも それ以下でもない 私はあなたの夢絶ち鋏


月夜が照らす白い肌 あなたの鼓動が聞こえます


「あなたの夢はなんですか?」


「パパとママに会いたいです」


黒髪少女の最後のお願い 痩せた指が 私に触れます


夢を絶つのはこの日のために あなたの夢を絶ち切るために


「あなたの不安を絶ち切ります」


「ありがとう うれしいです」


黒髪少女の安堵と笑顔 手に持つ鋏が震えます


私は一言「ごめん」と謝り わずかに刃先を広げます


首を傾げた黒髪少女 私の目を見て問いかけます


「どうしてあなたが謝るの?」


「あなたの夢を絶ち切るからです」


私の名前は夢絶ち鋏 あなたの夢を絶ち切ります


チョキチョキチョッキン チョキチョッキン




――目覚めた少女は手のひらで 小さな鋏を撫でました


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