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「えーっと……二人が一緒にいるのはめずらしいわね?」



 ごめん、それ以外に言葉が思いつかなかったよ。

 だってこの二人は、学園で誰もが認める犬猿の仲だったはず。それなのにどうして……



「はははっ!やっぱり意外だよな」


「ええ、すっごく」


「実は最近マティアスに魔法を教えてもらってるんだ。だから一緒にいることが増えてな」



 あら、それは知らなかった。



「そうだったのね。どう?魔法を使うことに抵抗はなくなったかしら?」


「そんなものあの日からきれいさっぱり無くなってるさ。ただまだ完全に体が慣れてなくて手こずってはいるが……。でも強くなったって実感はすごく感じてる」



 どうやらランドルフは一皮剥けたようだ。

 きっと彼は、これからもっと強くなれるだろう。



「ふふっ、それならよかったわ」


「ふん、私のお陰だということを忘れるなよ」


「分かってるって。マティアスには感謝してるさ」


「そ、そうか?それならばいいが……」


「……」



 うん、仲がいいのはいいことだよ?

 でもね、わざわざ私の目の前で男の友情を見せつけなくてもいいんだけど……というかなんでここに来たの?



「それで二人はどうしてここに?せっかくのパーティーなんだから、踊ってきた方がいいと思うけど……」



 踊っていない私が言うのもなんだけどね?

 でもこの二人は攻略対象……要するに国宝級イケメンである。

 だから彼らと踊りたい女子生徒たちから、チラチラ視線を向けられている状況なのである。



「……ここは俺が」


「……いや、私が」



 二人は顔を近づけ、小声で何か話し始めた。

 いやほんと、見せつけたいだけならほかでやってくれ。

 うん、もう場所を変えよう、そうしよう。

 そう決めた私は、座っていたソファから立ち上がろうとしたんだけど……



「ここにいたのだな」


「こんばんは、ダリアローズ嬢」



 なぜか王太子とフィンメルに声をかけられてしまいました。

 もう、なんなの?

 さすがにこの状況じゃ無視できないよ。



「こんばんは」


「パーティーは楽しんでいるか?」


「はい」


「あれ、一人なの?お友達はどうしたんだい?」



 いやお友達って……あなたたちのヒロインですよ?



「ベルは飲み物を取りに行っているんです」


「そうなんだ。……じゃあちょうど良いタイミングだ」



 ん?小さくてよく聞こえなかったけど……まぁいいや。

 それよりも今は周りからの視線が痛いから、早くどっかに行ってほしい。



「えっと、みなさん?用事がないのならこんなところにいないでダンスを踊ってきた方が……」


「いや私はダリアローズ嬢に用があってだな」



 え、あるの?私はないんだけど……



「……私にですか?なんでしょう?」


「ああ。そのだな……」


「はい」


「……」



 え、ちょっとなんで黙るの?

 言わないのならもう知らないよ?



「用がないのなら私はこれで……」



 さっさとここから離れてっと……



「わ、私と一緒に踊ってくれないか?」


「……はい?」


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