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「それもそうだな」
「ええ。だからお祖父様。もうこの話は終わりにして、もっと有意義な話をしましょう?」
こんなつまらない話はやめて、もっと楽しい話をしようよ。
「くくく……ああ、そうしようか」
「ありがとうお祖父様」
「なに。可愛い孫の頼みだからな」
そう言って私の頭を撫でるお祖父様。
うん、相変わらず大きな手だ。
その大きな手でワシャワシャと頭を撫でてくれるけど、ただ今の私はもう十五歳。
嫌と言うわけではないけど、前世を合わせるとかなりきつい年齢なので、そろそろそういうのは卒業させてほしい。
「もう、お祖父様。いつまでも子ども扱いしないでください」
「ん?何をおかしなことを言っておる。わしにとってダリアはいくつになっても可愛い孫なんだぞ?」
「……そんな嬉しそうに言わなくても」
すごくいい笑顔でそう言われちゃえば、もう何も言えないじゃないか。
「それに最近は会える回数が減っただろう?わしは寂しいぞ」
「お祖父様……」
……これは大人しく受け入れるしか選択肢はないみたい。
恥ずかしいけど仕方ない。お祖父様孝行しないとだね。
「なんならこちらの学園に通ってもいいんだぞ?そうすれば一緒に暮らせるからな」
ん?それって留学ってこと?
それはちょっと興味をそそられ……
「どうだ?ちょっと気になっただろう?」
「うっ……はい」
さすがお祖父様。私のことをよく分かっていらっしゃる。
「もちろん今すぐとは言わん。だから少し考えてみてくれ」
「わ、分かりました」
「わっはっは!楽しみにしておるぞ……ん?」
そんな会話をしていると、扉の方が騒がしくなってきた。
この騒がしさには心当たりがある。どうやらもう気づいちゃったらしい。
「はぁ……あいつが来たようだな」
お祖父様も心当たりがあるようで、呆れた顔でため息をついている。
うん、気持ちは分かる。分かるけど、いい加減どうにかしてよお祖父様。
そして部屋の扉が開かれたと同時に、ハイテンションな声が部屋中に響いた。
「ダリアちゃーん!会いたかったよー!」
はい、予想通りでしたね……ってお祖父様。実の息子をそんな虫けらを見るような目で見ない!
両手を広げ、満面の笑みでこちらに近づいてくる虫け……イケオジ様。
もうお気づきかと思うが、このイケオジ様は私の伯父、要するに現在のパレット帝国皇帝レナルド・フォン・パレット様である。
出会った頃からずっとこんな感じなので、最初はさすがの私も驚いたけど、今はもう慣れた。
それにそろそろ……
――バタバタバタ
あ、来たかな?
おそらく今回も執務を投げ出してきたであろう伯父様。
もうまもなくやってくる人物に連れ帰られるまでが、いつもの恒例なのである。
「ダリアちゃ――」
「父上!」
いつもお疲れ様です。




