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 それから少し時は流れ、まもなく夏を迎えるという頃。

 学園の恒例行事、剣術大会が開かれる時期になった。


 この世界には当たり前に四季が存在している。きっと『ハナキミ』が、前世の世界で作られた乙女ゲームだからだろう。

 毎年夏に剣術大会、秋に魔法大会が開催される。そして冬に両大会の優勝者で試合を行い、その年の頂点を決めるそうだ。


 たしかに大会は、生徒たちの意欲を上げるのにもってこいの催しだろう。ただ騎士科と魔法科の仲が更に悪くなりそうではあるが。


 この二つの大会は、学園の生徒ならクラス関係なく誰でも参加できる。

 しかし必然的に三学年の生徒が有利になるので、一学年の生徒はほとんど参加しない。

 アナベルも例に漏れず、今年は参加を見送っていた。


 ただもちろん例外もある。それは私だ。

 私は一学年だけではなく、女子生徒で唯一剣術大会に参加することを決めた。

 魔法大会であれば女子生徒も参加するが、剣術大会はほぼいない。

 参加者は騎士科の生徒がほとんどで、それ以外は経営科と普通科から、腕に覚えのある男子生徒が参加するくらいだ。


 一試合の時間は五分。

 剣は訓練用の剣のみ使用可能で、剣以外に使って良いのは体術だけというのがルールだ。

 だからあの合同授業のように、愛用の剣を使ったり魔法を使ったりするのは禁止である。

 時間内に相手を場外に出すか降参、または戦闘不能状態にさせれば試合終了。

 ただ五分経っても決着がつかない場合は、判定で勝者を決めるそうだ。


 また大会ではボランティアを募集している。

 試合会場の整備や剣のメンテナンスなどいくつかのボランティアがあり、希望すれば誰でも参加できる。前世で言う仕事体験みたいな感じかな。

 大会に参加する生徒だけではなく、参加しない生徒にもプラスになることがあるのは、とてもいいことである。



「ベルも参加するのよね?」


「はい!せっかくの機会ですし、少しでも勉強できたらなって」



 大会では怪我人が出た時のために、治癒士がスタンバイしている。

 アナベルは治癒士の補助要員としてボランティアに参加するという。

 何事も前向きに取り組もうとする姿に、私の好感度は爆上がり中だ。



「プロの仕事を間近で見られる機会は滅多にないものね」


「はい。ただ怪我人が出ないのが一番ですが……」



 さすがヒロイン。

 人の悔しがる顔を見て、ざまぁみろと思う私とは大違いである。



「その、ダリア様はお強いので大丈夫だと思いますが、あまり無理はしないでくださいね」


「ふふっ、いつも心配してくれてありがとう。 無理はしないと約束するわ」


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