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「おい!」



 ある日の放課後、授業も終わり帰りの支度をしていると、突然教室が騒がしくなった。



「おい、お前!」



 何やら男が叫んでいる。

 突然の出来事に、アナベルが不安そうな表情で駆け寄ってきた。



「ダリア様……!」


「ベル、大丈夫?」


「は、はい。少し驚きましたが大丈夫です」


「そう。それならよかったわ」



 残念ながら、馬鹿な人間はどこの世界にもいるようだ。

 男はまだ叫び続けているが、私たちには関係ない。よし、さっさと帰ろう。



「それじゃあ帰りましょうか」


「えっ、でも……」



 アナベルが男に視線を向ける。

 ……うん、言いたいことは分かるよ。だけど面倒なんだもん。



「気にしなくて大丈夫よ。さぁ、行きま」


「おい!お前だ、お前!聞こえてるんだろう?話があるからついてこい!」


「……」


「聞いてるのか?この私がついてこいと言ってるんだ。さっさとしろ!」



 うるさい。そしてしつこい。

 アナベルなんてめっちゃ引いてますけど、あなた本当に攻略対象ですか?



「行くぞ!」



 そう言って男が私の腕をつかんできたが、痕が残りそうなほどの強い力だ。


 ねぇ運営さん、どうなってるの?

 攻略対象にまともなやつがいないんだけど。それともなんですか?私が悪役令嬢だからこんな目に遭うんですか?


 ……ああめんどくさい。

 めんどくさいけど、売られたケンカは買ってあげないとね。



「何をしている!さっさとついてこいと」


「離してくれます?」



 魔法を使い男の手に電気を流す。



「なっ!?」



 驚いた男が手を離す。私は腕を擦りながら、男へ問いかけた。



「はぁ……なんて失礼な人なのかしら。あなたどちら様ですか?」


「わ、私のことを知らないだと!?」


「ええ、知りません。だって()()()()()()()()()()()()()()()ですもの。違ったかしら?」



 この男、とんだ自惚れ野郎ですね。

 名乗りもしないで誰もがあなたのことを知っていると思ったら、それは大間違いですよ?



「私はお前の兄だぞ!知らないわけないだろう!」


「あら、そうなのですか?」


「そうだ!」


「でも私、生まれてこのかた兄に一度も会ったことがないんです。だから突然やって来て兄だと言われても……ねぇ?」



 さぁ、私と話をしたければさっさと名乗りなさいな。



「くそっ……ちゃんと覚えておけ!私はダミアン・ブルー。正真正銘お前の兄だ!」


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