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異形の末裔達は利害の一致で恋をするか  作者: さえ
化け狸の末裔と理学療法士志望の男子の場合
7/16

④理学療法士の卵は勉強熱心2

化け狸と真面目男子の回のお話のラストです!



「うー」と唸って考えている所を見るとその触り方は余程苦手らしい。


「早くしなきゃ遅刻しちゃうんじゃない?」


 二人してベッドボードに置かれた時計に目を向ける。俺は一限に出なくても大丈夫だからまだ余裕があるが、夕貴はそうじゃないらしく焦りだす。


「し、仕方ない。やってくれ」

「OK。まず触り方の確認するよ?先っぽってこの辺からってことで合ってる?」


 俺は手根を先の方へずらして圧を掛けて確認する。まだ先程までの触り方だから夕貴も受け答えは出来た。


「もう少し先、かな」

「この辺?」

「うん。そこ」


 場所が定まると少しタオルケットをたごませて余裕を作り尻尾を両手で掴むように力を入れると途端に夕貴の体が強張るのが分かった。


「そ、そうじゃ、なくてぇ」

「触り方?じゃあこう?」


 少し尻尾を持ち上げるようにして指を下に滑り込ませると両サイドから握り込んでみた。


「あ!ぅ、ん。そんな、感じ」

「強さは?これ位でどう?」

「ああ!…ちょ、っと弱い、かも」


 結構しっかり握ったつもりだったけど弱いようだ。俺は思い切って力を更に込めてみる。


「ふっ、ぁ、、。やっばい」

「強すぎた?」


 俺は慌てて弱めようとするが夕貴は激しく首を振る。


「大丈夫!それ、でい、いから。そのまま、、」

「お尻の方までこれを続ければ良いんだね?」


 ブンブンと今度は首を縦に動かして頷きを繰り返す。


「じゃあ、いくよ?強さが足りなくなったりしたらちゃんと言ってね?」


 夕貴が首を縦に振りまくるのを確認して俺は手を動かし始めた。夕貴は相当くすぐったいのかはっはっと短い呼吸を繰り返しシーツを強く握って逃げ出すのを耐えている。しかし付け根に近づくごとにくすぐったさが増すのか身を捩り始め、もう少しと言うところで耐えられず足が暴れて俺の脇腹にヒットしその衝撃で手を離してしまった。


「ご、ごめん、、」


 くすぐったさに解放されて力なく夕貴が蹴飛ばした事を誤ってくれる。


「いや俺こそ、その、、尻尾、離し、ちゃって、、」


 俺は蹴飛ばされた衝撃で逸らせた体を夕貴に向けると、そこに広がるあまりの光景に返答がしどろもどろになってしまう。暴れたからかタオルケットがはだけ、片足と尻尾が曝け出されていた。白くしなやかに投げ出される脚の先には尻尾で割れ目こそ見えないものの形の良い丸みが顔をのぞかせていて思わず喉が鳴ってしまう。


 そんな状態だと夕貴は気づいていないのか、もう一度試して欲しいと言う。俺はタオルケットを掛け直そうとしてやめた。風呂場で夕貴は直接尻尾を触っていた。親にそうされていたんだ、きっと。だったら同じようにした方がいいんじゃないかと、まるで自分に暗示をかけるように思考してそのまま手を伸ばした。


 直に触る尻尾はふわふわの毛で覆われていて柔らかい。それでいて握り込むと筋肉が反射的に収縮するのが分かる。


「あ!ちょ、おまえ、直に触、、」

「夕貴もさっき直に触ってたじゃん。親はどうしてた?」

「直接、だ、ったぁ、けど!無理ー!」

「直接じゃなきゃダメなのかもよ?ね?ちょっと頑張ってみよう?」


 俺は探究心に火が着いてしまったようで夕貴の訴えを聞く事が出来なかった。素早くベッドに乗り上げると夕貴の膝辺りに跨って動きを封じた。体重を掛けすぎないように気をつけてスタート位置から握り進めていく。位置を先へ進めてはグッと握り筋肉の反射を感じては緩めて進むのを繰り返した。位置がズレる度に夕貴の上半身は跳ねて何とかその刺激に耐えている。Tシャツがずれ落ちて覗く肩と頸から目が離せなかった。


「ああ!」


 気づけば俺の手は尻尾の付け根に到達していて最後の刺激の瞬間、夕貴は大きく背中をしならせて叫んだかと思うとたちまち不思議な霧に包まれた。思わずその霧から逃げるようにベッドから降りて静かに様子を窺う。


 霧が晴れるとそこには昨日再会した男友達の夕貴が胡座をかいて座って居た。体は俺よりも少しデカく、貸してやったオーバーサイズのTシャツもピッタリになっている。その為下は丸見えになってしまうはずだったがタオルケットに隠れて見えないようになっていたから平気だった。


「よっしゃ!戻った!サンキューな、晴翔!」

「お、おお」

「やっべ、遅刻する!ごめん、俺もう行くわ!この礼はまた今度しっかりするからな!」

「い、いいよ気にしなくて」

「まあまあ、遠慮すんなよ」

「俺にとっても良い勉強になったし」

「そっか?それは良かったわ。じゃあまた近いうちに体貸してやるよ」


 話しながら夕貴は自分の服に着替えて身支度を整えると嵐の様に去っていった。俺はこの朝の展開から切り替えられずしばらく放心状態から抜け出せなかった。



※※※※※※※※※


 晴翔の部屋を出ると駅にダッシュしながら俺は次に会う時の事で頭がいっぱいだった。地元から離れた地で偶然再会出来ただけでも奇跡なのに、あんなに親密な感じまでいけるとは。それにまた会う約束まで出来た。返事はそう言えば無かった気がするけど、家の場所は覚えたからいつでも押しかけられる。


(俺の上で硬くしやがって。いらね〜って言ってたけどちゃんと礼はさせてもらわねーとなぁ)


 俺は晴翔のいる世界に生まれた事に感謝しつつ、思わず下舐めずりをする。本当に次に会うのが楽しみだ。




お読み頂きありがとうございました!

夕貴くん、新月を上手く利用したんじゃ?晴翔くんの今後が心配です。。


次回から人魚ちゃんと吸血鬼男子のお話です!

ちょっとシリアス、かも?

【僕を生かす歌声】です!お楽しみ下さい♪


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