第三十話 領地防衛と隣国の姫
内乱を鎮圧した真斗達は、ラティスの屋敷に滞在していた。真斗とラティス達は、今後のことを話していた。
真斗は王都に滞在する理由もないだろうと思い、自分の領地であるアルバニアに戻ることにしたのだった。
ラティスとソルティアは、王都に残ると真斗に話した。リアは、魔術を教わるためソルティアと一緒に残ることにしたのだった。
カルロス、シャルネイラ、メルキア、ブルーディアも、真斗と一緒にアルバニアに戻るため、アルバニアに帰る準備をしていたのだった。
真斗は、出発の準備が終わるとラティスとソルティアに挨拶をした。
「ラティス、ソルティア、じゃ、行きます」
「あぁ、気をつけてな」
「気をつけて、リアのことは任せてね」
「はい、リアをお願いします」と真斗は言って屋敷を出たのだった。
屋敷の庭先に行くとメルキアは竜の姿に戻り、真斗達が乗るのを待っていた。
真斗がメルキアに乗ろうとすると屋敷の入り口付近から「真斗〜、真斗〜」と叫ぶ声が聞こえた。
真斗が振り向くとリーディアが走って来るのが見えた。
「えっ、リーディア」と真斗は叫んだ。
リーディアが真斗の前まで来ると息を荒らしながら話した。
「ハァハァハァ、真斗、私も一緒に行くわ」
「えっ、だけど」
「もう、一緒に行くのよ。私は、あなたの妻になるのよ。夫婦は一緒にいるのが当たり前なのよ」と話した。
あぁ、そうだった。リーディアと結婚することになったんだっけと真斗は思った。
「姫様が王宮にいなくていいのかい」
「いいのよ。私、真斗と一緒にいたいの」
「そうかぁ、じゃあ、わかった。一緒に行こう」
「はい」とリーディアは元気よく返事をした。
真斗達とリーディアは、メルキアに乗ってから、ラティスとソルティアに手を振った。
メルキアは、一気に空高く飛び、カルロス、シャルネイラは、ブルーディアに乗って、メルキアの後方に付いた。
真斗達は、アルバニアに向かったのだった。
その頃、アルバニアに滞在していたエリーゼは、更にアルバニアの領地を発展させていたのだった。
新たに鉱石も発見されて、ますます領地は発展していたのだった。
だが、ここでも、隣国ナルセリアが帝国に攻め落とされたことが噂になっていた。
エリーゼは、アルゴスを呼んでお願いした。
「アルゴス様、帝国軍が隣国を攻め落としました。アルバニアにも侵攻するかもしれません。警戒して頂きませんか?」
「わかった」とアルゴスは言い執務室を出て行った。
すると「コンコン」とドアを叩く音が聞こえた。
「エリーゼ様、入っても宜しいでしょうか?」
「はい、どうぞ」とエリーゼが返事をすると執事のラフトが入ってきた。
「失礼します」
「ラフトさん、どうかしましたか?」
「隣りにある未開拓地にナルセリアの姫君が逃げ込んで来たという噂を聞きました」
「えっ、それは、本当ですか?」
「はい、領民が噂していたのを聞いたとメイドが話していました」
「なるほど。わかりました」とエリーゼは返事をするとラフトは、執務室から出て行った。
「シャルルはいますか?」
「はい、エリーゼ様」と返事し、シャルルが現れた。
「シャルル、ナルセリアの姫君が未開拓地に逃げ込んだと聞きました。とにかく、姫君を探してください。もし、危なければ、陰ながら助け出してほしいのです」
「畏まりました」とシャルルは返事をして「スー」と消えたとだった。
シャルルは、自分の部下を二人連れて未開拓地に向かった。
半日を過ぎた頃、シャルル達は数名の兵士と帝国軍が戦っているところを見つけた。
「カキンカキン」と大きな音が鳴り響いていた。帝国軍の兵士をなぎ倒している兵士の一人が話した。
「ハァハァハァ、セリア姫、姫様だけでも、ここからお逃げて下さい」と護衛のナルキダが話した。
「ダメよ。ナルキダ、貴方も一緒よ」と話しながら帝国軍の兵士と戦っていた。
味方の兵士は、次から次へと全て倒された。結局、セリアとナルキダの二人になってしまった。
二人は、少しずつ後ろに下がり帝国軍に囲まれてしまった。そして、絶体絶命の状況になってしまった。
シャルルは、二人を見つけてつぶやいた。
「あれは、隣国ナルセリアのセリア姫かもしれない」と声をだした。
「皆んな、助けるわよ」と部下二人に言った。三人は、帝国軍兵士の後ろから襲ったのだった。
シャルル達は、戦っているセリア姫と帝国軍の間に割り込んで帝国軍の兵士をどんどんと倒していった。
「ギャー」と帝国軍兵が叫ぶとセリアは驚いて、大声を出した。
「えっ、貴方方は、どなた様ですか?」
「セリア姫ですね?」
「はい」
「とにかく、敵ではありません。ですから、お助け致します」とシャルルは返事をして敵の兵士をどんどん倒していった。
だが、帝国軍の兵士は多く、シャルル達は苦戦をしていたのだった。
部下二人も、傷を負い苦戦していたのだった。
その頃、メルキアに乗っている真斗達は、未開拓地の上空を飛んでいた。
未開拓地がどういうところか見ておこうという話になって未開拓地の上空にいたのだった。
メルキアは、上空から人が戦っている様子を見て真斗に声をかけた。
「真斗様」
「どうしました。メルキア」
「はい、少し先に戦っている兵士達が見えます」
「戦っている兵士達?」
「はい」
「なんだろう。メルキア、とりあえず、そこに向かって下さい」
「承知しました」とメルキアは応えて、戦っている場所に向かった。
真斗達が現地の上空に着くとシャルネイラが話した。
「真斗様、あれは、シャルルです」
「えっ、シャルルだって」
「はい、それに、戦っている相手は・・・、あの軍服は帝国軍兵士です」
「本当かぁ、メルキア、とにかく、あそこに降りて下さい」
「承知しました」とメルキアは返事をして降下した。
シャルル達とセリア姫達は、帝国軍に囲まれて少しずつ後ろに下がっていった。
後ろには、大木があった。下がれなくなるとシャルルは、「まずいわね」とつぶやいた。
帝国兵が「ふふふ、これで、終わりだな。覚悟しろ」と言うとシャルネイラが上から飛び降りて、真上から帝国軍兵士を切り裂いた。
「あっ、姉さん」とシャルルが叫んだ。
「シャルル、大丈夫?」
「はい」
「シャルル、とにかく、片付けるわよ」
「はい、姉さん」とシャルルは返事をして帝国兵を倒していった。
真斗、カルロスもメルキアから降りて応戦した。
メルキアは、竜のまま羽を羽ばたき帝国兵を吹っ飛ばしていったのだった。
「隊長、このままでは、我々は殲滅されます」と帝国兵の一人が言った。
「くそ、セリア姫を捕えるのは、無理か。仕方がない、撤退だ」と叫び帝国兵は撤退したのだった。
帝国兵がいなくなるとシャルルは真斗の前に来て、ひざまづき頭を下げた。
「真斗様、誠に、ありがとうございます」
「大丈夫かい、シャルル」
「はい」とシャルルが言うとセリアが真斗のところに歩いてきた。
「あの、私は、セリアといいます。助けて頂き、ありがとうございます」
「あっ、僕は、真斗といいます」
「えっ、真斗様ですか?」
「はい。僕のこと知っているのですか?」
「はい、最近、真斗様の噂を良く聞きます」
「えっ、噂?」
「はい、英雄、真斗様の噂です」
「そんな、英雄だなんて、とりあえず、ここでは、危ないので僕の屋敷に行きましょう」
「はい、ありがとうございます」
「あの竜の背中に乗って下さい」
「あの竜にですか?」
「はい、そちらの方も」
「はい、ありがとうございます」とナルキダも返事をした。
真斗達とセリア、ナルキダはメルキアに乗ると翼を広げ一気に空に飛んだ。
空高く舞い上がり、未開拓地の上空を越えて、アルバニアに向かったのだった。
セリアは竜に乗ったことがないため、驚きながら下を見ていた。
セリア姫の様子を見ていたリーディアは、セリアに話しかけた。
「セリア、お久しぶりね」
「あっ、リーディア」
「ふふふ、無事で良かったわ」
「皆様のお陰です。でも、何故、あなたがここに」
「実は、私、真斗と婚約したの」
「えっ、本当ですか?」
「えぇ」
「おめでとう。それと真斗様のお陰で助かりました。本当にありがとう」
「いいのよ」とリーディアは答えた。
久しぶりにあった二人は、しばらく話していた。
真斗は、しばらく、二人の会話を聞いているとアルバニアの街並みが見えてきた。
真斗の屋敷も見えてきたので、メルキアは降下し始めた。
メルキアは、「真斗様、着きました」と言って屋敷の庭に降りたのだった。
真斗達は、メルキアから降りるとエリーゼが屋敷から出てきた。
「真斗様〜、お帰りなさいませ〜」と大声で叫んで走って来た。エリーゼが真斗の前まで来ると真斗は応えた。
「エリーゼ、ただいま」
「お帰りなさいませ。真斗様、それと噂、こちらでも聞き轟いていますよ。本当に英雄ですね」
「いやぁ、たいしたことでは」
「ふふふ、そうでもないですよ。さすがです」
「そうかなぁ、それと、エリーゼ」
「はい」
「大ニュースがあるんだよ」
「なんでしょう」
「隣りの未開拓地が僕達の領地になったんだよ」
「えっ、それは、本当ですか?」
「あぁ」
「え〜、凄いですね。あの領地は広大な地ですから、開拓のしがいがありますね」
「そうだね、開拓を頼むよ」
「ふふふ、承知しました。それよりも、真斗様、未開拓地で、隣国ナルセリアの姫君が迷い込んで来たという話しを聞きました」
「セリア姫のことかい」
「はい」とエリーゼが答えるとシャルル達とセリア姫が近づいてきた。
「シャルル、この人は?」
「はい、エリーゼ様、この方は、隣国ナルセリアの姫君です」
「えっ、それでは、セリア姫ですか?」
「はい」とシャルルが答えるとセリアは頭を下げて話しかけてきた。
「私は、ナルセリアのセリアと申します。皆様に助けて頂き感謝しております。本当にありがとうございます」とセリアは頭を下げた。
「とりあえず、屋敷に入ろう」と真斗は話し、皆んな屋敷に向かった。
真斗が屋敷に入ると繭と流唯が真斗のところに来て抱きついた。
「お兄ちゃん、お帰りなさい」
「お兄さん、良かった。無事で」と二人は真斗に声をかけた。
「繭、流唯、無事に帰ったよ。心配かけたね」と真斗は話し抱きかかえた。
「旦那様、お帰りなさいませ」とラフトも後ろから言った。
「ただいま。ラフト、皆んなを大広間に案内してください」と繭の後ろに立っていたラフトに声をかけた。
「はい、真様」とラフトは返事をして皆んなを大広間に案内した。
真斗は、皆んなが大広間に集まったところで話しを始めた。
「皆んな、帝国軍は隣国ナルセリアを攻め落とした。これは、知っていると思う」と真斗が言うと皆んなは頷いた。
「三日後、帝国軍は我が領地アルバニアに侵攻してくる」と真斗が言うと周りがザワザワと騒ぎ出した。
「真斗様、本当に帝国軍が侵攻してくるのですか?」
「あぁ、そうだよ。エリーゼ」
「あぁ、なんということ」
「隣国ナルセリアを攻め落とした勢いで、このアルバニアにも攻め込んでくるんだ」と真斗が言うと「バタン」と音が鳴り、アルゴスが帰ってきた。
「エリーゼ、帝国軍が侵攻してきたぞ」
「真斗様の言う通りですね」
「おぉ、真斗、戻ってきたのかぁ」
「あぁ、ただいま。アルゴス、見てきたの?」
「そうだ、真斗、三日後にはアルバニアに到着するだろう」
「わかった、皆んな、帝国軍が攻め込んでくる。我が領地を防衛するから協力してほしい」と真斗が掛け声をかけると「おぉ〜」と歓声の声が聞こえた。
「皆んな、準備に取り掛かってくれ」
「おぉ〜」と叫んで皆んなは大広間を出て行った。
大広間には、カルロス、アルゴス、メルキア達、繭、流唯、リーディア、セリア達、シャルネイラ達であった。
「皆んな一緒に来て欲しい。防衛の対策を行います」と真斗が声をかけ、皆んな、執務室に入って行った。
皆んなが執務室に入ると真斗は、机に座り目をつぶった。
しばらく、考えてからアルバニアを防衛するための対策をはなしたのだった。




