第ニ十八話 鎮圧
真斗達は、ライカー・シーグレスのおかげで王宮まで簡単に行けることになった。
ライカーは、真斗達を隠し通路の入り口まで案内し、「ここです」と言った。
隠し通路の入り口と言っているが、茂みを抜けたあとには崖っぷちの壁があるだけだった。
辺りには、何もなく茂みだけであった。とても、入り口がある感じではなかった。
「真斗様、ここが入り口です」
「えっ、入り口?、崖っぷちじゃないか」と真斗が言うとライカーは、手を合わせ唱えた。
「我がシーグレスの名の元に命ずる扉を開くのだ」とつぶやき唱えると崖っぷちが「ゴッゴッーゴッ」と音が鳴り響いた。
崖の壁が引っ込んで消えていったのだった。
人間が入れるぐらいの大きさで、入り口が現れたのだった。
真斗達は、びっくりして見ていた。
「さぁ、真斗様、行きますよ。驚かないで下さい。この扉は、シーグレスの血を引く者でないと開けられないのです」
「そうなんだ。凄い」と真斗達とライカーが洞窟の中に入った。
入り口を通り過ぎると「ゴッゴッーゴッ」と音が鳴り、入り口が閉じてしまった。
真斗達は、後ろを振り向き驚いて見ていた。
「シーグレスの血を引く者が通り過ぎると扉は閉まるのです」
「なるほど、よくできた扉だね」と真斗が言うとシーグレスは笑った。
「さぁ、真斗様、行きましょう」
「はい」と真斗は返事をして進んだ。
洞窟の中は、暗くなってしまったが通路に沿って火が灯り始めた。
「火が」と真斗が言うとシーグレスは、「ふふふ」と笑った。
真斗の驚いた顔がシーグレスにとって面白かった。
「さぁ、火が灯っている道順に進んでいきましょう。これが王宮までの道順となります」
「へー、ライカーさん、凄いですね。火が灯っている先が王宮と繋がっているのですね」
「はい、シーグレス家の者が通ると道順を示しますが、他の者では道順を示さないのです。ここは、迷路になっているので、はぐれないようにお願いします」
「はい」と真斗は返事をしてライカーについて行った。
真斗達とライカーが通った後は、灯った火が消えていった。
真斗は、面白おかしく後ろを見ていた。
その頃、ラティスは帝国の動向をみながら対峙していた。
ラティスの思惑通りに進み帝国軍は立ち往生して兵糧攻めに遭っていた。
アンデルト侯爵は、ラティスを呼び出し話した。
「エルガー伯爵よ、兵糧攻めは時間がかかり過ぎる。他に手はないか?」
「帝国軍より、数の上で有利ですが油断できません。もう少し、時間をかけて士気を低下させたいのです」
「今、王都では内乱状態だ。一万の兵を戻しては駄目か?」
「一万の兵を戻すと帝国軍と数の上で互角に近い状態になります。まだ、早いと思います」
「爵位から考えるとナガルダ公爵が総大将として援軍を率いていくのが筋ではないか?」
「いえ、侯爵が総大将として、陛下から承ったのです。だから、侯爵が総大将といて率いて頂くことが筋です」
「ゾルテックは、わしの寄子だ。わしが戻って、わし自身で成敗したいのだが」
「もう少し、待って下さい」
「内乱を何とかするのが先決ではないか?」
「あと、一日か半日ほど待って下さい」とだけ、ラティスは答えて退出した。
ラティスめ、何故、従わない。うっとしい奴だ。仕方がない。私がいなくてもゾルテックは、やってくれるだろうと侯爵は思っていた。
ラティスは思った。
侯爵は、ゾルテックと合流して王国を早く牛耳りたいのだろうと思っていた。
ラティスが、あと一日と言ったのは理由があった。
サーベス伯爵に一万の軍を与え、帝国軍がいる左側の山に水、岩、丸太を密かに運ばしていたのだった。
その頃、真斗達は王宮入り口の真下まで来ていた。
「真斗様、この階段の上に行けば王宮の裏庭に出ます」
「そうですかぁ、じゃあ、行きましょう」
「はい」と話しながら真斗達は階段を上がった。
階段を上がると壁が見えた。ライカーが壁に手をあてると壁が「ドッドッドッ」と音が鳴り壁が下に沈んだ。
真斗達が外に出ると裏庭にある大きい岩場から出てきたのだった。
目の前には、王宮が見えた。
「さぁ、王宮は直ぐそこです」
「ありがとう、ライカーさん、皆んな行くよ」と真斗が声掛けした。
王宮の裏口まで行き、真斗達は中に入ろうした。
「待って、真斗」とソルティアが言った。
「王宮の中は、ゾルテックの部下が大勢いるわ。真斗、私に任せて」
「大丈夫ですか?」と真斗が聞くと「彼女に任せましょう。適任でございます」とライカーが言った。
「どうして?」
「真斗様、彼女がなんて呼ばれているか知っていますか?」
「いえ」
「ソルティアさんは、幻支の魔術師と呼ばれているんです」
「幻支の魔術師?」
「はい、彼女の本領は、相手に幻術をかけ支配する魔法です。彼女にかかったら全てが操られることになるでしょう」
「そんな、魔法が」と真斗が呟くとソルティアが唱え出した。
王宮の中は、霧が発生し出した。中にいた兵士達はザワザワと騒ぎ出した。
「おい、なんだ、この霧は?」
「わからない、なんだろう」と兵士の一人が言うと他の兵士が殴りかかってきた。
殴られた兵士は叫んだ。
「お前、なにするんだ」
「わからない。とにかく、お前が憎いんだ」と叫んで、また、殴ってきた。
王宮の裏口にいた兵士全員が殴り合いの喧嘩になってしまった。
お互いが倒れるまで殴り合い、殆どの兵士が倒れていった。
霧が黄色くなると兵士達は眠ってしまった。
「真斗、もう、大丈夫よ」
「本当、ソルティア」
「ええ、入りましょう」と返事をした。
真斗達が王宮の中に入ると霧はなくなり、兵士は全員、眠ったままだった。
真斗は、驚いてソルティアに声をかけた。
「ソルティア、凄いや」
「ふふふ、まぁね」
「ソルティアが敵じゃなくて良かったよ」
「ふふふ、そう」
「うん、とにかく進もう。まずは、アルベルト公爵とリーディア姫を助けよう」と真斗は言って前に進んだ。
長い廊下を進むと兵士達が三十人ぐらい前から現れた。
「お兄ちゃん、私に任せて」とリアが言った。
「大丈夫?」
「うん」とリアは、両手を広げ唱いだすとリアの前が白く凍って突き進んだ。
兵士達がいるところまで突き進み「カチ、コチ」と音が響き兵士達も全員凍ってしまった。
「おいおい、リア、やりすぎだよ。殺してないよね?」
「うん、大丈夫だよ。仮死状態になっているだけだよ」
「そうなの。いつそんな魔法ができるようになったの」
「ソルティア姉様に教えてもらったの」
「そう」
「ふふふ、真斗、リアは氷結魔法に特化しているみたいよ。才能もあると思うわ」
「へ〜」と言いながら、真斗はリアの頭を撫でた。
「まずは、二人を助けよう。アルベルト公爵とリーディアが連れて行かれたのが見えたんだ」
「ほんと、真斗」
「はい、アルベルト公爵は地下牢にリーディアは自分の部屋に拘束されているから向かおう」
「わかったわ。私とリア、シャルネイラで公爵を助けに行きます。二人ともいい」
「はい」とリアとシャルネイラは返事をした。
「ライカーさんは、隠し通路のところで待っていて頂けますか?」
「わかりました」
「カルロス、メルキア、ブルーディアは、僕と一緒にリーディアを助けよう」と三人に声をかけた。
「了解だ」と三人は返事をして四人は走ってリーディアの部屋に向かった。
ソルティア達は、アルベルト公爵が監禁されている地下牢に着いた。
地下牢の入り口には、三人の見張りがいた。
「リア、お願いね」とソルティアが言うとリアは頷き魔法を唱えた。
リアが唱えた途端、見張りの三人が凍ってしまった。
「さぁ、行きましょう」とソルティアが声をかけて奥に入って行った。
ソルティアがアルベルト公爵を見つけ声をかけた。
「公爵」
「おぉ、ソルティア殿」
「今、牢を破壊します。下がっていて下さい。ハァ〜」と叫ぶと牢の鉄格子がすっ飛んだ。
「公爵、出ても大丈夫です」
「ありがとう。ソルティア殿、あと、姫も軟禁されている。助けないと」
「大丈夫です。真斗が向かっていますから」
「子爵が行ってくれているのか?」
「えぇ」
「良かった」
「さぁ、行きましょう」と言い地下牢から脱出したのだった。
その頃、真斗達はリーディアの部屋に着いていた。途中、敵兵に見つかってはいたがカルロスが敵兵をなぎ倒していった。
リーディアの部屋の前まで着くと三人の見張りが立っていた。
「メルキア、お願いします」
「了解だ。真斗様」と返事をしたあと、見張りをなぎ倒した。
メルキアは、部屋のドアを破壊し真斗達は部屋の中に入った。
リーディアは、何が起きたかわからないでいたが、真斗を見て叫んだ。
「真斗〜」
「リーディア、無事か」
「はい」と返事をして真斗に抱きついた。真斗も抱き寄せた。
「もう、大丈夫だ」
「助けに来てくれて、ありがとう」
「さぁ、リーディア、とりあえず、王宮から脱出するよ」
「でも、真斗、お父様が」
「大丈夫だよ。国王は助ける。今日の夜まで待ってから助ける。さぁ、行こう」
「はい」とリーディアは返事をして部屋を出た。
途中、敵兵がいたがブルーディアが先頭に立ってなぎ倒していったのだった。
真斗達が王宮の裏庭まで戻ってくるとソルティア達が待っていた。
「真斗」
「ソルティア」
「リーディア姫を助けだしたのですね」
「はい、そっちも、アルベルト公爵を助けだしたのですね」
「真斗子爵、ありがとう」
「いえ、公爵、とりあえず、脱出します」と真斗は答え、隠し通路に入って行った。
真斗達が脱出した頃、ラティスはサーベス伯爵のところにいた。
「ラティス様、準備が整いました」
「サーベス伯爵、ご苦労様でした。明日の夜明けと共に実行に移して下さい。実行後は、指示通りに迂回して右サイドに向かって下さい」
「はい」とサーベスは答えた。
ラティスは、サーベス伯爵に夜明けとともに崖崩れを起こすよう指示したのだった。
夜になる頃、真斗達はアルベルト公爵とリーディア姫を脱出させてから隠し通路のところに戻って来ていた。
真斗達ご王宮の中に入ろうとするとシャロウが現れた。
「真斗様」
「シャロウさん、ラティスのところにいたのでは」
「はい、ラティス様の命令で真斗様と合流してほしいと」
「そうですか、シャロウさん、国王を助けます。手伝ってくれますか?」
「畏まりました」と答えた。
その頃、ゾルテックはアルベルト公爵、ルーディア姫が何者かの手によって奪還されたことを知った。一体、誰なのかと探っていたのだった。
国王を奪還されないように厳重な警戒をしていた。偽物の国王を配置し、揺動しようともしていた。
真斗は、国王がいる場所も予知していたため逆手を取ることにした。
「カルロス、メルキア、ブルーディアは、敵の揺動に乗って偽物の国王がいるところに行って敵を蹴散らしてほしい」
「了解だ、真斗」とカルロスが答えた。
「ソルティア、シャロウ、リア、シャルネイラは、僕と一緒に国王を助けます」
「了解よ、真斗」とソルティアが答えた。
真斗達は、二手に分かれた
カルロス達が偽物の国王がいるところに来るとゾルダ率いる三百人の敵兵がいた。
「メルキア、ブルーディア」
「はい」
「一人当たり百人だ。殺すなよ。動けなくすれば良い」
「はい、カルロス様」と二人は返事をして敵兵に向かって行った。
三人は、鬼神の如く敵兵を倒していった。
真斗達も、国王が監禁されているところに着いた。
敵兵が百人以上いた。リアが魔法を使い敵兵を凍らせ、ソルティアが幻術を使い敵兵を狂わせた。
敵兵が無効化されると真斗は国王が監禁されている部屋のドアを開けた。
部屋の中には、国王とゾルテックがいた。
「国王」
「おぉ、真斗子爵、ソルティア、助けに来てくれたのか」
「はい」
「何で、貴様らが、ここに、んッ、そうか、エルマイヤー伯爵のご令嬢、あなたの仕業か」
「もう、観念しなさい。ゾルテック」とソルティアがいうと数人の敵兵が真斗達に襲いかかった。
シャロウとシャルネイラが急に現れ敵兵を蹴散らし、リアはゾルテックの足を凍らせ動けなくした。
「さぁ、もう終わりよ。観念しなさい」
「くっそ」とゾルテックは愕然とした。
その頃、カルロス達は敵兵をなぎ倒していった。どんどん、敵兵がなだれ込んで来ていたのだった。
「カルロス様、一人当たり百人ではないですね」
「そうだな。メルキア、次の百人ということで第二、第三ステージということだよ」と話しながら敵兵を無効化していった。
殆どの敵兵が倒されて、ゾルダ一人になってしまった。
「さぁ、お前、一人だけになったな」とカルロスが言うと「化け物か」とゾルダが言った。
ブルーディアがゾルダをなぎ倒し、鎮圧したのだった。




