第ニ十三話 陰謀の逆転劇
再度、真斗に魔物を差し向けたダルク子爵は、またもや失敗したとメルダスから報告を受けていた。
真斗の暗殺、エルナルド•マイヤーの孫娘誘拐容疑など、ダルク子爵の陰謀がことごとく失敗に終わったことに苛立っていた。
その頃、真斗は皆んなとの食事も終わり、真斗、リーディア、ラティス、ソルティア、カルロスの五人で執務室にいた。
「真斗、憲兵に捕まったということを詳しく教えてくれないか?」とラティスが聞いた。
「実は、憲兵には捕まっていないんだ」
「どういうことだい?」
「リーディアとデートする予定だったけど行かなかったろう」と真斗はリーディアの顔を見て言った。
「はい」とリーディアは返事をしながら頷いた。
「行かなかった理由は、リーディア殺害に見せかけて僕に容疑をかける陰謀が仕込まれていたからなんだ」
「えっ、それで、真斗はデートに来なかったの?」
「そうだよ。リーディア」
「何でそんな陰謀がわかったの?」とリーディアが聞くと真斗は返事するのを迷った。
「そうか、姫には話しておこう。真斗は先の出来事がわかるんだ」
「えっ、先の出来事って未来予知が出来るってこと?」と真斗の顔を見てリーディアは言った。
「うん。そのようなものだと思う」と真斗は話した。
「真斗、あなた、何者なの?」
「普通の人間だよ。自分でも、わからないんだ」と真斗は誤魔化した。
「じゃあ、どれくらい先のことがわかるの?」
「数日程度ならわかるよ。だけど、まずは、陰謀を何とかしないか」
「そうだな」とラティスが言うとソルティア達も頷いた。
「皆んな、この陰謀は、ダルク子爵、メルダスが仕組むはずだったんだ」
「なるほど」と皆んなは聞いていた。
「何らかの方法で僕とリーディアがデートするということを知ったのだと思う。それで、デートしなかったから魔物を差し向けたのだと思う」
「そうか、魔物を差し向けたのは、メルダスだろう」とラティスは答えた。
「そうね。あの魔物使いメルダスね」とソルティアが言った。
「ねぇ、何故、ダルク子爵は真斗に対しておとしめるようなことをするのかしら?」とリーディアが聞くとラティスが話した。
「真斗と私は、侯爵に恨みをかったからね。それで、侯爵がダルク子爵に指示したのだろう」
「そんな、逆恨み。何とかならないのかしら?」
「犯人はわかっていても証拠がないからね。難しいよ」とラティスが言うとリーディアは黙ってしまった。
「リーディア、大丈夫だよ」
「どうして」
「ラティスはなんか策を考えたみたいだ」
「ふふふ、流石だな、真斗、逆手を取ろう」
「逆手って」
「私に任せてくれるかな」とラティスが言った。
「ラティス、どうするの?」とソルティアが聞いた。
「ふふふ、リーディア姫、予定通りに真斗とデートしてください」
「えっ、いいの?」
「はい、万全の体制で罠を仕掛けます」
「なんか、面白くなってきたかも、それでは、真斗、明日、私とデートしましょ?」
「え〜、リーディア、遊びではないからね」
「わかっているわよ」
「じゃあ、場所は、噴水のある広場でね。絶対よ」
「はい、はい」と真斗は答え、ラティスに話した。
「ラティス、人だかりが減った頃にアサシンが毒矢をかまえるはず、それと、メルダスも近くにいるはずだから」
「了解、真斗。シャロウはいるか?」
「はい、ラティス様、ここに」とシャロウは現れた。
「真斗達の周辺で矢を放つ場所を特定して監視してくれ、メルダスが合図をして矢を放っ後で拘束してほしい」
「はい、畏まりました」とシャロウは答えて消えた。
「ソルティア、君にも。お願いがあるんだ」
「なにかしら」
「矢が飛んできたら、毒矢を無効化してほしい」
「わかったわ」
「それと、姫」
「はい」
「その時、毒矢が当たったふりをして真斗がいる方に倒れ込んでほしいんだ」
「はい、わかりました」
「真斗は、姫を抱えてくれるかな」
「わかりました」
「カルロスは、二人の近くにいてほしい。直ぐにメルダスと憲兵が来るはずだから、真斗が拘束されたら真斗を護衛してほしい」
「了解だ」とカルロスは返事をした。
「メルダスと一緒にダルク子爵もくればいいが」とラティスが言うと真斗が答えた。
「ダルク子爵も、一緒にいるはずだよ」
「そうか、それでは、一網打尽にできるかもな。皆んな、明日、決行だ。いいね」
「はい」と皆んなは返事をした。
ラティスは、そのあと、細かいに指示を皆んなにしたのだった。
リーディアは、真斗とデートの約束が出来て笑顔で宮殿に戻ったのだった。
翌日の朝、リーディアは真斗とデートするため出かける準備をしていた。
アルベルトを呼び、宮殿を抜け出す算段を行った。アルベルトは、またかと思い、仕方なく協力した。
そして、リーディアは、馬車で真斗との待ち合わせ場所に向かったのだった。
真斗はリーディアとの待ち合わせ場所に向かうため、屋敷を出ようとしたところ、繭と流唯も、一緒に行くと言ったが危険が伴うので、屋敷にいるようにと真斗は言った。
そのあと、真斗はリーディアとの待ち合わせ場所に向かった。
真斗が待ち合わせ場所まで行くとリーディアが待っていた。真斗が近くまで行くとリーディアは手を振った。
真斗とリーディアは、馬車に乗り繁華街に向かったのだった。
繁華街に着くと真斗とリーディアは馬車を降りて露店がある方に向かった。
前と同じようにアクセサリー店に行き、可愛いいブローチを買った。
そして、肉を焼いているところに行って、肉も食べた。
真斗は、前回と同様の行動を行なったのだった。
その頃、真斗達の近くにダルク子爵達もいた。
アサシンに毒矢の準備をさせ、姫の殺害容疑を真斗に負わせるため、憲兵を集めた。
人だかりが減るのを待ち、減った頃にアサシンの毒矢が真斗目掛けて三方向から六本、飛んで来た。
ソルティアは鐘のある塔の上から魔法を唱え、毒矢に魔法をかけた。
毒矢に塗ってある毒は消え、六本の矢はリーディアの腕にかすりもせずスレスレで通り、地面に突き刺さったのだった。
リーディアは「キャー」と叫び真斗がいる方向に倒れ、気絶したふりをした。
真斗は、リーディアを抱き寄せて叫んだ。
「リーディア、リーディア」と叫ぶと「憲兵」と大声が聞こえた。
叫んだのは、ダルク子爵だった。ダルク子爵とメルダス、そして、憲兵が真斗とリーディアのところに集まった。
「この者を捕らえよ。リーディア姫を殺害しようとした輩だ。その毒矢が証拠だ」とダルク子爵が叫んだ。
憲兵が真斗を取り囲み、他の憲兵がリーディアを真斗から離した。
「リーディア姫を丁重に運ぶのだ」とメルダスが憲兵に指示をした。
「リーディア」と真斗が叫んだ。
「え〜、黙れ、さぁ憲兵、この者。捕らえよ」とメルダスが叫ぶと憲兵は、真斗の顔を殴り、押さえ込んだ。
「ぐっあー」と真斗は声をあげて倒れた。
憲兵は、「さぁ、来い」と言って真斗を連れて行こうとしたところ、カルロスが憲兵の前に現れ、大声で言った。
「ちょっと、待った」
憲兵は、「なんだ、お前は」と叫んだ。
「真斗は、連れて行かせない」
「邪魔をするのなら、お前も同罪だ」とメルダスが言うとソルティアとラティスが「シュン」とカルロスがいるところに現れた。
「メルダス、何が同罪なんだい」とラティスが話した。
「おっ、お前は、ラティス。何故、ここに」
「どうして、真斗男爵を連れて行くんだい」
「リーディア姫の殺害容疑だ。そこに突き刺さった毒矢が証拠だ」
「何故だい。真斗は姫と一緒にいただけで矢を放っていないのではないですか?」
「この小僧が姫をおびき寄せ、誰かに毒矢を撃たせたんだ」
「なるほど、そういうことですか」
「そうだ」とメルダスは断言した。
「ラティス殿、退いてくだされ、早く、姫を医者に見せなくたは」とダルク子爵が言った。
「ダルク子爵、その必要はないですよ」
「なんだと」
「姫、起きてください」とラティスが言うとリーディアは、起き上がった。
「こっこっ、これは、どういうことだ」とメルダスが驚いた。
「シャロウ、アサシンをこちらに」とラティスが言うとシャロウ、シャルネイラ、シャルルがアサシンを縛って連れてきた。
「ダルク子爵、このアサシン達が矢を放ちました」
「こいつらが」
「そうです。でも、何故、毒矢だとわかるのですか?」
「くっ」と声をだしながら、ダルク子爵、メルダスは気まずい顔をしていた。
「ソルティア、頼みます」
「はい」とソルティアは答え、アサシン達に自白魔法をかけた。
憲兵は、ダルク子爵、メルダスの指示で毒矢を姫にかすらせることを自白したのだった。
それと、毒矢も黄色く光出し浮き上がった。ソルティアは毒を浮かばせる魔法も放ったのだった。
「毒を浮かばせる魔法です。黄色部分が毒です」とラティスが言うとダルク子爵とメルダスが「クッ」とこえを出した。
「憲兵、ダルク子爵とメルダスを拘束しなさい」とラティスが言うと憲兵は、躊躇していた。
「お前達も、ダルク子爵の一味なんだな」と叫んだ。
「はっ、はい」と憲兵は返事をして、ダルク子爵とメルダスを捕まえた。
「真斗、私達はダルク子爵を連れて憲兵本部まで行きます。だから、姫と楽しんで来て下さい」
「えっ、え〜」
「ふふふ、真斗、やっと、デートできますね」
「リーディア」と真斗は顔を赤くしているとリーディアは真斗の顔に近づきジロジロ見た。
「ふふふ、真斗、可愛いわね。さぁ、行きましょう」とリーディアは言って真斗と手を繋いだ。
真斗達は露店にあるアクセサリーの店に行った。さっきは、寄っただけで何も買わなかったから、もう一度来たのだった。
リーディアは、可愛いいと言いながらブローチらしき物を見ると真斗におねだりをした。
真斗は、リーディア、そして、妹達にブローチを買った。
その後、広場で芸らしき披露している人達がいて二人は、見ていた。
リーディアは、楽しそうにデートを楽しんだのだった。
その頃、ラティスはダルク子爵、メルダス、アサシン達を拘束し憲兵本部に来ていた。
「ナダルを呼んできて下さい」と憲兵に言った。
憲兵隊には、もう一人の副隊長がおり、その一人がナダルであった。
ナダルは、ラティスの兄である隊長からは信頼を受けている人材であった。
しばらくするとナダル副隊長が来た。
「これは、これは、ラティス様、どうしました」
「ナダル、ダルク副隊長はリーディア姫の暗殺を企だてました。それで、拘束してきました」とラティスは、ナダルに全て話した。
「ラティス様、誠でしょうか?」
「事実です。このアサシン達に自白させました」
「自白魔法ですか。わかりました。ダルク子爵、もう、終わりだな」とナダルが言うとダルクは、「クソが」と声をあげた。
「ナダル、あとは任せますが、くれぐれもダルク子爵の自決、暗殺には注意をお願いします」
「わかりました」とナダルは答えた。
ラティスはナダルに任せて、ソルティアと一緒に王宮に向かった。
王宮に着くと急ぎ謁見をお願いし、国王と会った。アルベルト公爵も一緒に会うことにした。
ラティスは、事の全てを国王、公爵に話した。
「ラティスよ、それで、リーディアは無事なのか?」
「はい、陛下」
「そうか、良かった。ラティスよ、よく、やってくれた。褒美を取らすぞ」
「陛下、褒美は私ではなく真斗男爵にお願いします。この企みを防ぐことができたの全て真斗男爵なのです」
「それは、本当か?」
「はい、おそらく、元締はアンデルト侯爵でしょう。だからダルク子爵を公の場に出して、ソルティアの自白魔法で口を割らすのです」
「お〜、わかった」
「陛下、ダルク子爵は失脚するでしょう。それにアンデルト侯爵まで届けば、王家に実権が戻りましょう」と公爵が話した。
「よくやった。ラティスよ。それに真斗男爵、あっぱれだ。ラティスよ、わしは、真斗男爵にどうむくえればよい?」
「真斗男爵は欲がありません。陛下の思うままでよいかと」
「よし、公爵、明後日、公にしよう。ダルク子爵の自白、真斗男爵の褒美をとらすぞ」
「はっ、陛下」と話し謁見は終了した。
そして明後日、主要な貴族を集め公にすることになった。
謁見会場を出た後、別れ際にラティスはアルベルト公爵を呼び止めた。
「公爵」
「どうしたのだ、エルガー伯爵」
「ダルク子爵の件は、アンデルト侯爵には内密にお願いします」
「ん〜、そうだな。逃げる手立てをするかもしれないからな」
「はい」
「ラティス、明後日は、頼むぞ」と公爵は言って二人は別れた。
ラティスとソルティアは、屋敷に戻ったのだった。
その頃、アンデルト侯爵は執務室でダルク子爵の報告を待っていた。
「旦那様、ゾルテック伯爵がみえられました」
「ゾルテックか、通せ」と言うとゾルテックが部屋に入ってきた。
「どうしたのだ、ゾルテック」
「はい、侯爵、ダルクが失敗しました」
「なんだと・・・、使えない奴め」
「それよりも、ダルクは憲兵本部に拘束されています。口を封じる必要があります」
「大魔法士、ソルティアか」
「はい、ソルティアの自白魔法にかかれば侯爵との関係が暴露されます」
「そうだな、ゾルテックよ、無効化せよ」
「はい、かしこまりました」とゾルテックは言って部屋を出て行った。




