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世渡り上手の異世界征服ライフ  作者: 寺田ゆきひろ
第一章 異次元世界での生活
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第ニ話 不思議な力

 異世界に飛ばされてしまった真斗、繭、流唯は、不安な気持ちを抑えながら山が見える方に向かって歩いていた。

 草原の中には、バッタらしき昆虫がいたが青いバッタで足が六本もあり普通と違うバッタだった。

 真斗は、見たことがないバッタだと思った。

 繭と流唯も、目を丸くしながら見ていた。


 しばらく歩いていると少し大きめの池が見えてきた。池は青く水が綺麗な池だった。水は透明で底が見える綺麗さだ。

 流唯は池を見て声をかけてきた。

「お兄ちゃん、凄く綺麗な池だよね」

「本当だ」と真斗が返事をすると繭は、池に写った空に浮かんだ生き物を見た。

 繭は、なんだろうと思いながら空を見上げて見ると遠くに浮かんだ生き物が飛んでいた。

「真斗くん。あれは、なんだろう」と繭は指を差しながら話した。


 真斗も、空を見上げて見てみると大きなドラゴンらしき生き物が飛んでいたのだった。

「本当だ。一体、あれは、なんだろう。恐竜のような動物に羽を生やしている感じだね」

「真斗くん、あれだけ、遠くに飛んでいるのに凄く大きく見えない」

「あぁ、繭ちゃん、結構、大きいかもしれない。ん、まさか、あれって、アニメやゲームに出てくるようなドラゴンじゃないか」

「えっえー、ドラゴンって、まさか」

「多分、そうだよ。あの形、まさにドラゴンだよ」

「・・・、うーん。言われてみるとそうね。本当にドラゴンに似ているかも」

「あぁ、間違いない。僕達は、ドラゴンがいる世界に飛ばされてしまったのかもしれない」

「そんなことって、あるの?」

「んー、半信半疑だけど、あるのかなぁ」

「ねぇ、真斗くん。だけど、あの化け物、こっちに向かっていないかしら」

「えっ、あぁー、本当だ。こっちに向かって来ているよ」

「ねぇ、なんか怖いわ」

「あれ、どんどん、こっちに向かってくるよ。ちょ、ちょっと、やばいかも、繭ちゃん、流唯ちゃん、とにかく、ここは危ない。逃げるんだ」と真斗は叫んだ。


 真斗は、繭と流唯の手を握って走り出した。

 ドラゴンは、少しずつ接近して来くると「ガァー」と吠えながら真斗達を追ってきた。


 あー、駄目だ。これでは、追いつかれてしまう。どうしたらいいんだ。

 とにかく、考えるんだと真斗は思った。

 三人はひたすら走った。

 ドラゴンは、真斗達に急接近してきた。真斗は危険を察知して叫んだ。


「繭、流唯、伏せるんだ」と叫び、三人は地面にうつ伏せになって伏せた。

「ドビューン」と大きな音が鳴った。

 ドラゴンは、真斗達を足で捕まえようとしたが空振りになって、空高く舞い上がった。


「繭、流唯、立って、走るんだ」

「うん」と二人は返事をして起き上がり走り出した。

 ドラゴンは、旋回して再度、真斗達を追ってきた。


 真斗は、どうしたらいいんだろうと考えに考えに重ねると、なんとなく、少し先にある岩の影なら安全だと感じた。

「繭ちゃん、流唯ちゃん、ここなら、多分、大丈夫。安全だ」と言って、真斗は二人を引っ張り岩の陰に隠れたのだった。

「繭、流唯、頭を下げて隠れるんだ」と叫んだ。

 繭と流唯は、頭を下げて目を(つぶ)った。真斗は、二人を抱き寄せおいかぶさった。


 ドラゴンは、真斗達を見失い少し上空に上がった。辺りをキョロキョロしてから「ガァー」と吠えると口の中から炎が発生し、火を吐き出した。

「ドカン」と大きな音が鳴り、池の周辺一帯を焼け野原にしてしまったのだった。

 池の水を飲んでいたシカらしき動物も焼けて死に絶えてしまった。

 ドラゴンは、焼けた動物のところに降りて焼けた動物を食べ始めた。

 動物を食べ終わるとキョロキョロしながら周辺を見て、少したってから飛び去って行ったのだった。


 真斗は、二人においかぶさったまま、ジッとしていた。ドラゴンが飛び去ったことを確認してから岩の陰から出てきた。

「繭ちゃん、流唯ちゃん、もう、大丈夫だ。ドラゴンは行ったみたいだ」と真斗が言うと二人も岩の影から出てきた。


 三人は周りを見て吃驚した。

「こっ、これは、ひどい。周りは焼け野原だ。さっきの動物もドラゴンが食べて行ったようだ」と真斗が言うと繭と流唯は、真斗の腕に捕まりながら震えていた。


 真斗は、怖がっている二人を見て声を掛けた。

「大丈夫だよ。繭ちゃん、流唯ちゃん、僕は、君達のお兄ちゃんになったんだ。絶対に二人を守るよ」と声を掛けて二人を抱きしめた。


 このとき、真斗は、心で誓った。新しく妹になった二人を絶対に守ってやらなければならないと思っていた。

 二人は、真斗に抱きしめられて、真斗の暖かさを感じていた。少し、繭と流唯の震えが止まると流唯が話した。

「ありがとう、お兄ちゃん」

「いいんだよ。だから安心して」

「うん」と流唯が返事をすると繭も話しかけてきた。


「ねぇ、真斗くん、池の周りは焼け野原になったのに岩の周りだけは焼けていないよ」

「あれ、本当だ」

「この岩場なら安全だと言ったよね。なんで、この岩陰だけが安全だとわかったの?」

「それがわからないんだ。なんとなく、ここだけが安全だと思ったんだ」

「ふーん」と繭は不思議に思って黙ってしまった。


「二人とも、とりあえず、ここは危険だ。前に進もう」と真斗は言って、繭と流唯の手を繋いで歩き出した。

 繭は真斗を見て、どさくさにまぎれて真斗と手を繋いでいることに気がついた。ドキドキしながら真斗について行った。


 真斗達は、ドラゴンに見つからないようにと森林の中に入って行った。

 しばらく、歩いていると道らしき通りに出た。

 道の両側には、木が並んでいて綺麗に整備されている。道の地面は、石を埋め込んであって綺麗に配置されていた。


 三人は、しばらく道なりに歩いていると前の方から馬車が近づいてきた。

「繭ちゃん、流唯ちゃん、端に寄って馬車をやり過ごすんだ」と話した。

 真斗は、なんとなく感じていた。なんか、この馬車は、やばいような気がすると思っていた。


 馬車が真斗達を通過し、通り過ぎると直ぐに馬車が止まった。

 真斗達は、馬車が止まったことに気づいて後ろを向いたところ、馬車のドアが「ガチャ」と開いた。

 馬車からは、三人の男達が降りてきた。

 降りてきた三人は、ゆっくりと真斗達のところに近づいて、妹達を見て言った。


「ほう、これは、上物だ。奴隷として売ったら大儲けできるな」と真ん中の男が言った。

 真斗は、奴隷だってと思うと真ん中の男は、二人の男に命令した。

「おい、この少女、二人を捕まえろ。男の方は、ぶん殴って立てないようにしろ」と叫んだ。


 右側の男が、いきなり真斗をぶん殴ってすっ飛ばした。

 真斗は、「グァ」と声を出し、転がって地面に倒れ込んでしまった。

「お兄ちゃん」と流唯が叫ぶと、左側の男が繭と流唯の首に腕をまわして捕まえた。

「ふふふ、お前達、奴隷として貴族に売ってやる。たくさん、貴族様に可愛がってもらうといい。だが、売る前に俺達がたくさん、可愛がってやるからな」と男は言った。

「いやー」と繭と流唯は、泣き叫んだ。


 真ん中の男が倒れている真斗の髪を(つか)んで言った。

「ふふふ、お前は、男だから一生、奴隷労働者として働かせてやる」と言って、また、真斗の顔を殴った。

 真斗は、「グァ」と声を出して、また倒れ込んだ。


 倒れている間、真斗は思った。

 なんで、こんな目に遭わなければならないんだ。妹達を助けなければいけない。

 また、男が真斗の髪を掴んで殴ろうとしたところ真斗は、叫んだ。

「やめろ、やめろ、やめろーー」と真斗が怒鳴るように叫ぶと殴ろうとした男が腕を上げたまま止まってしまった。


 男を見ると何も動かなかったのだ。真斗は、何が起きたんだと思って、周りを見ると何かがおかしいと感じた。


 空を飛んでいる鳥も、空で止まったままだ。馬車を引いていた馬も動いていない。しかも、何も音がしなかった。

 繭と流唯を捕まえていた男も、止まったまま動かなかった。

 しかも、奴らの怒鳴り声さえ聞こえなかったのだ。

 これは、どうしたんだと真斗は思った。だが、繭と流唯の鳴き声だけは聞こえた。


「はっ」と真斗は我にかえり、不思議がっている場合ではないと思った。

 繭と流唯を助けなければと思い、二人のところに駆け寄った。

「繭、流唯、大丈夫か、動けるか」と真斗が声を掛けた。


「うん」と二人は返事をした。

 二人は動けるのかと真斗は、不思議な思いを感じながら、二人の首を絞めている男の腕をほどき二人を助け出した。

 真斗は、二人の手を繋ぎ小声で話した。

「繭、流唯、逃げるんだ。いくぞ」

「うん」と二人が返事をすると真斗は、二人の手を握りしめながら引っ張って走って行った。


 二人も周りを見ると鳥や動物、男達が止まって動かないことに気がついて驚いていた。

 二人は走りながら、どうなっているんだろうと不思議に思いながら走ったのだった。


 真斗達が走っていくと茂みが見えてきた。

 真斗は走りながら何となく、この先に洞窟があって隠れられる場所があると感じていた。

「繭、流唯、この茂みの先に洞窟があるはずだ。そこなら、安全だ。とにかく、行って隠れよう」と話して二人を引っ張って走った。


 真斗が茂みをかき分けると小さい入り口の洞窟が見えた。

 小柄の人間が一人が通れるぐらいの洞窟だった。

「繭、流唯、とにかく、この洞窟に入ろう」

「うん」と二人は返事をして、三人は洞窟の中に入った。

 洞窟に入ると中は、広くなっていて、奥深くまで続いていた。

 宝石が光っているのか、少し中は明るかった。


 真斗達は、しばらく、洞窟の入り口付近で黙ったまま、じっとしてしゃがみ込んだ。

 真斗は、二人を抱き寄せ「少し、じっとしていよう」と言った。

 二人は(うなず)いて目を(つぶ)った。

 少し待っていると男達の声と動物などの声が聞こえるようになってきた。

「畜生、あのガキ共、何処へ行ったんだ。探せ、探せ」と叫ぶ声が聞こえたが、しばらくすると男達の声が聞こえなくなってきた。


 真斗は洞窟から顔を出して様子を見ていた。

「お兄ちゃん」「お兄さん」と二人が声を出した。

「少し、まってて」と真斗は言って洞窟を出て様子を見てから二人のところに戻った。


「繭、流唯、行ったようだ、しばらく、ここに居よう」と真斗が話すと二人は、「うん」と返事をした。

「お兄ちゃん、口から血が出ているよ」と流唯が心配そうに言った。

「大丈夫だよ。殴られるのは慣れているから」と真斗は言って手で血を拭いた。

 三人は寄り添って、くっついていた。

 じっとしていると外は夜になり、いつのまにか三人は寝ていたのだった。


 真斗は、夢を見ていた。僕は何故か雲の上に立っていた。何故、僕はここにと思いながら、周りを見ていた。

 空は青く限りない地平線が見えている。ここは一体、何処だろうと考えていると女の人の声が聞こえてきた。


「少年、少年よ。私の声が聞こえますか」

「・・・」

「私を宿した少年よ。私の心の声が聞こえるはずです。答えて下さい」

「えっ、聞こえます。あなたは、どなたですか」

「私は、メサイア」

「メサイアさん?」

「そうです。やっと聞こえましたね」

「はい、だけど、宿したってどういうことですか」

「私の片割れとあなたは、一つになったのです」

「一つになったって、どう言うことですか」

「あなたの胸を見てください」とメサイアが話すと真斗の胸から赤い光が輝いていた。


「なんだ、これは」と真斗は吃驚した。真斗はシャツを脱いで見ると胸の中から赤い光が輝いていた。

「あれっ!これは、あのとき、光った赤い石だ」

「そうです。私とあなたは、一心同体となったのです」

「一心同体って、どういうことですか」

「あなたは私、私はあなたになったのですよ」

「えー、・・・」と真斗は絶句した。


「いずれ、私の力もあなたは、使えるようになるでしょう」

「メサイアさん、あなたの力って、どういう力なのですか」

「いずれわかります。今は、うまく制御できないかもしれませんが、そのうち使えるようになるでしょう」

「そのうちなのか・・・」

「少年よ、まずは、アンテウルス山脈に向かうのです」

「アンテウルス山脈ですか、そこは、何処にあるのですか」と真斗が聞くとメサイアから返事が返ってこなかった。


 真斗は思った、メサイアの力ってどんな力なんだろうと考えた。「あっ」と真斗は声を出した。

 もしかしたら、ドラゴンの時に安全な場所がわかったり、男達が止まったりしたことなのかなぁ。

 だけど、不思議な力だと真斗は、思ったのだった。

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