死神との日常
「う~ん、解せない」
もうタナトス暮らして2日になる。忌引で学校は休んでいるが、登校することになったらどうすればいいんだろう?ここにおいて置くのも心配だな。
と、除々に父性が湧いてくる。というか本当に彼女は死神なのだろうか。それも疑問である。
「ねぇねぇ」
タナトスが僕の肩をたたく。
「今度はどうした?お腹でも空いたのか?」
彼女は思いっきり首を縦に振る。
「そうか、じゃお買い物にでも行こうか」
「うん!」
「お買い物~♪、お買い物~♪」
歌ってしまうほどタナトスは買出しが大好きだ。しっかり手を握って行きつけのスーパーで買い物をする。どうやら幼い死神さんはマシュマロがお気に入りのようで、いつも買って帰る。
1日で簡単に一袋食べちゃうんだから、凄いよな・・・・
「ねぇ、ねぇ今日は何作るの?」
「今日はお魚を焼こうかな」
「え~、お魚さんは骨が痛いから、やだぁ」
「ちゃんと骨を咬めば痛くもないし、栄養にもなるから一石二鳥じゃないか」
「いっせきにちょう?」
ああ、そうだった。タナトスには難しい言葉は分からないんだった。
教育も死神を任せられた僕の使命なのである。
「とってもお得なことだよ」
「ふ~ん」
「いただきます」
「いだきます!!」
テーブル一面に並べられた晩ご飯、コレ全部僕の手作り。料理も僕の仕事だ。
「野菜もちゃんと食べるんだぞ」
「にんじんさんは嫌ぁ」
「じゃせめてお魚は食べような」
「うん」
まだ慣れてない箸使いで焼き魚をたべる。
美味しそうにたべている姿を見ると、なんだか落ち着いて幸せな気分になる。
母さんも僕のこんな姿を見ていたのかな。
「ごちそうさま!!」
気付けばタナトスは綺麗に全部食べ終えていた。
すこしぼっーとしていた。
「お風呂沸かしているから、ちゃんと入れよ」
「うん!!」
僕も遅れて食べ終わるとタナトスが引っ張る。
「お風呂、お風呂~」
「ああ、ゴメンな。いまフタをどけてくるから」
僕は急いで風呂のフタを空ける。
一番風呂の湯気がすこし目にしみた。
「お~い、もういいぞ」
呼んでも来ない。
「どうしたんだ、タナトス」
脱衣所で待ってくれたてたタナトスの我侭。
「一緒にはいろ」
「えっ・・・・」
すこし戸惑った。いくら妹みたいな存在とはいえ、男女なんだし・・・やっぱりそういうことはしっかりするべきなのだろうか。彼女は『1人の女』なのか『同じ家族』なのか、脳内会議を繰り返している。
「タナトスのこと嫌い?」
やや上目遣いでこちらを見る。そして服を引っ張るな。
「分かったよ、入る。今日は一緒にはいろ」
僕もタナトスも服を脱ぎ風呂に入る。
2人とも真っ裸。これが裸のお付き合いってやつだ。
「くすぐったい~」
「しっかり洗わないとな」
タナトスのカラダをしっかりと洗ってあげる。
死神らしいが殆ど人間と変わりない体つきであった。
細身のカラダにシルクのような美しい肌。キミは一体何なんだ?
「お風呂♪お風呂♪」
サブーンと元気よくお風呂に入る、タナトス。
今日はいつも以上にご機嫌がいい。
「気持ちいいか?」
「うん!!」
「そうか」
彼女を抱くような形でお湯に浸かる。
肌と肌のふれあいってこんなものなのかな。もっと長くタナトスを抱いていたい。
「ちょっと火照ってきたかも・・・」
少しくらっときたが、もっとこうしていたい。このまま死んでもいい。
「お休みなさい」
「はい、おやすみなさい」
気付けばもうこんな時間になっていた。惚けてしまったのでずっとぼーっとしたままだった。
ぐっすりと眠るタナトスの寝顔。
「すごく、かわいい・・・」
彼女は家族で死神で・・・・でも女の子で・・・・
関係を持つことは許されないのだろうか。もっともっと彼女が欲しい。
僕だって男なんだ。でも、こんな幼い子にこんな感情を抱くなんて・・・最低だ。
「好きだよ、タナトス」
僕は一緒の布団で寝ることにした。
寂しかったのかもしれない。行為は伴わないが幼い寝顔にキスを繰り返した。
ぷにっとした唇の感触に興奮した。いつ起きるか分からないスリルの中の背徳行為―
自分は何をしているのか・・・理解に苦しんだ。
僕は気付いた。コレは恋なんだと。