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新居

渋滞から抜け家に到着した頃には、昼の時間となっていた。



車を停め、二人同時に下車する。



住宅街に並ぶ白い一軒家。ここが今日から結月の住処。



トランクから、結月の荷物を運ぶ。菜々子は最初結月を迎えに来たときその荷物の少なさに驚いた。

たったのダンボール二箱。菜々子は結月の気遣いを察したつもりでこれだけでいいのかと訪ねたが

結月いわく、家にある殆どのものが父親のものであり、自分のものはもともと少なかったということだった。




自分の17歳の頃は、友達とのおそろいのもの、捨てるに捨てられないガラクタたちだ溢れかえっていたと言うのに、と一瞬考えはしたが最近の子はこういうものなのかと一人で納得することにした。




結月たちが住んでいた家は、賃貸ではなくすでに収入の良かった真司が購入していたため業者に頼む必要もなく、ただ結月の荷物がないだけであとは今まで生活してきたとおりのままになっているという。

だったら、菜々子が彼らの家に移ればよかったのではないか、家も大きい上に二人だけなので広々と使えるし、結月もわざわざ学校を変える必要などないのではないかと親戚中に言われたが、菜々子にはパートがあり夫の収入を支えるために昼夜問わず、働かなければいけなかった。




今日も実は出勤しなければ行けなかったのだが、結月のためにわざわざ休みを取ってきたのだった。



「お部屋、ここでいいかしら?ごめんね、うちは兄さんの家みたいに広くないから不便を感じるかもしれないけど。」



嫌味を言ったつもりはなかった。



「いえ、十分です。ありがとう。」



ダンボールを床に置く。



「お腹すいたでしょ?今ラーメン作るからそこで待っててね。」




結月をテーブルに座らせ、キッチンに向かう際にリモコンを手に取り、テレビをつける。



包丁とまな板を出す40過ぎの女性に、頬杖をつきながらテレビを眺める17歳の少女。

はたから見ればこれが親子というものなのかとふと思いながらネギを切り始める菜々子であった。


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