ののの
のののの名前は、の、である。
しかし、風も土も火も水も、のののを別の名で呼んだ。
空を飛ぶモノ、地を歩くモノ、海を泳ぐモノ、全てがのののを別の名で呼んだ。
ふたつの足で地を歩く奇妙な生き物もまた、のののを別の名で呼んだ。
ふたつの足で歩く奇妙な生き物は、のののを別の名で呼ぶだけでなく、のののを別の名の、更に別の名で呼び、別の何かといっしょくたして、更に別の名で呼んだ。
しかし、のののは気にしなかった。
のののはのののであり、ののの以外の何モノでもなかったからだ。
しかし実は、の、ですらのののの名でないことは、ののの自身も知らなかった。
のののは、ただ、のののであった。
今日もまた、のののは、のののである。