表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ペルト  作者: オールドキング
6/6

「Truth and lies」

「ペルト」の6話目です。

5話目からしばらくおいて作成しました。

ここで一旦区切るので話が少し長くなった気がします。


四人は、慎重に橋を渡った。

その橋は、細く長く横に連なって歩けるのは、二人までだった。

ヨハンとセロンが先頭に立ちその後に南部、杉山が後を追った。

橋の途中で突然高い鳥のような鳴き声が聞こえ

滝の反対側から飛行する翼が生えた魔物が来た。

ヨハンがそれを見て言った。


「やはり、レーンニックスが来た!武器を取り出して走れ!」


杉山と南部は、武器を取り出しながら橋を走り

ヨハンとセロンについて行った。

そしてレーンニックスと呼ばれる魔物を見た。

二人の想像では、小さいドラゴンのようなものを

想像していたが、二人が見た第一印象は、それと違っていた。

翼と長い足の生えた大きなワームの様な魔物がこっちに向かって来る。


「キモッ!虫系かよー!!」


「いいから走れ」


しかし、当然橋は、長く

渡りきるより速く四人は、レーンニックスの群れに囲まれてしまう。

レーンニックスの群れは、四人の前と背後に回り込んだ。

見たところ数は、八匹ヨハンが言っていた話より二匹程多かった。

それを見たヨハンが言った。


「やはり!知能が高い。逃げられないように囲まれたようだ。構えろ!戦うしかない」


南部と杉山は、武器を取り出し構えた。

すると群れが一斉に襲いかかってきた。


「クソ!気持ち悪い!」


杉山は、剣を思いっきり左右に振ったが回避されレーンニックスの六足生えた長い足で捕まれ持ち上げられた。

背中にレーンニックスのヒンヤリした胴体が当たり寒気が身体中を巡った。

突然掴まれたことと気持ち悪さに驚いた杉山は、作ってもらった剣を橋から落としてしまった。

剣は、金属音をたて崖の下に落ちていった。

その音に気づいた南部は、すでに一匹弓矢で殺していたが

直ぐに照準を変えて杉山を掴んでいるレーンニックスを狙い弓を射った。

放った弓矢は、レーンニックスの腹に当たり緑色の液体が飛びちった。

力が無くなった足は、杉山を橋に落としたと同時にそのレーンニックスも杉山に覆いかぶさり死んだ。

杉山は、足に体液が飛び散り緑色になっていた。


「ぎゃあああ!何て災難なんだ!」


そんな無残な杉山を他所に南部、セロン、ヨハンは、魔法と弓で次々とレーンニックスを倒していった。

そして八匹殺すと倒れたままの杉山を起こしに三人が向かった。

ヨハンが杉山に倒れかかったままのレーンニックスを橋に落として手を差し伸べ言った。


「ほら!大丈夫か?」


杉山は、20歳ほどヤツれた顔で言った。


「…………もう精神的にしんどいです…」


そして四人は、無事橋を渡り終えると

杉山の愚痴を三人は、聞いていた。


「だいたいなんなんだよ…あんなキモイの聞いてないぞ。みんないいよな…弓や魔法で…俺なんか剣だぞ…接近しなきゃいけないんだぞ…しかも…緑の体液は、足にかかるし…作ってもらった剣は、谷に落ちるし…」


どんよりした杉山をセロンが慰めながらも説教する。


「まぁまぁ…無事橋を渡れたんだし…剣は…残念ですが…でも、あれぐらいのを気持ち悪がってたらこの先、旅なんてできませんよ。そして、助けてくれたナンブ君にも感謝しなきゃいけません。」


「そうだよな…南部ありがとう。お前いなきゃ橋から落ちてたわ…」


「ん?あぁ…」


三人が話している間にヨハンは、考えていた。

そしてレーンバーンについて教えた。


「レーンニックスが幼虫だとしたらレーンバーンは、成虫だ。

つまり巨大な蛾だ。これだけのレーンニックスを殺せば奴は、そうとう怒っているはずだ。注意しろよ。」


「イモムシ?の次は、蛾か…まぁイモムシほどキモくないな…」


「お前…本当に虫系嫌いだな…俺もだけど…」


「気を取り直して先に進みましょう。協会は、もうそう遠く無いはずです。」


四人は、道なりに進んでいくと遠くに教会の様なものが見えてきた。

近くには、結界のようなオーラが張ってありそのオーラの中には、花や草などが生えていた。

それを見てヨハンがセロンに言った。


「あれが教会か?あの魔法璧は?」


「はい。あれは、たぶん魔物対策でしょう。大丈夫です。人間は、入れますしむしろ安全です。」


そうセロンが話した瞬間に風が強くなり風の音が騒がしくなった。暑い…さっきまで涼しかった風が熱風になり四人の周辺の雑草は、暑さで萎びていった。

そして近くの崖から巨大な蛾が姿を表した。

真っ白な胴体。黒の羽に黄色い斑点模様があり一目見ても

忘れないぐらいのインパクトを誇っていた。

ヨハンがそれを見て言った。


「来たぞ!レーンバーンだ!」


レーンバーンは、橋の方に飛び去っていった。

飛び去った時の熱風で南部の服の端に火がついた。


「あぁ!やばい火が!」


南部は、上着を脱ごうとするが

セロンが咄嗟に水の魔法を唱えた。


「アクナ・ウィルス!」


セロンのかざした左手から水の玉が三連射され

南部に当たり南部を少し吹き飛ばした。


「ゲホゲホ…痛った!」


南部は、びしょ濡れになり服の火は、完全に消え去った。

倒れた南部にセロンは、駆け寄り言った。


「すいません。水系魔法は、攻撃魔法しか覚えてなくて…威力は、弱めましたが…」


「いや…ありがとう。火は、消えたし目が覚めたわ。」


南部がそう言うとヨハンが焦ったように駆け寄ってきた。


「いいか二人共、奴は、仲間の死体を確認した後、確実に戻ってくる。」


「ならあの教会に逃げ込みましょう。あの結界なら侵入を防いでくれます。」


「いい案だな。さぁ、走れ!」


四人は、必死に協会に向かって走った。

しかし、レーンバーンは、高速で戻ってきて四人を追った。

それを見た杉山は、走りながら言った。


「はぁはぁ…クソッ!来た!めちゃくちゃ速い!」


レーンバーンは、大きく翼を広げて

巨大な火の岩を飛ばしてきた。


「うぉわ!やばい!隕石みたいなの飛ばしてるぞ!」


「いいから走れ!」


「こんな所で死にたくありませんよッ!!」


四人は、協会近くまで前走力で走った

やっと教会が近くにきたところで教会の手前に

一人の女性が立っていたそれを見てセロンは、言った。


「セリアさん!」


セリアと呼ばれるその人物は、杖を両手に持ち

逃げる四人と追うレーンバーンを正面に何やら魔法を唱えた。


「フレシアフュー・グラ!」


四人が杖から放たれた魔法を目に追うとその攻撃先は、

レーンバーンだった。

レーンバーンは、氷の塊になり空中で破裂して粉々になった。

それを見た杉山は、思わず


「はぁはぁ…すげ〜!あれだけの巨大な魔物が一瞬で粉々に。」


その粉々になった粒が雪のように降り注ぎ暑くなった大地を一瞬で冷やした。

四人は、セリアのもとに向かうとセリアが言った。


「お久しぶり。セロン。教会に変な生き物を持ち込まないでくれる?」


「ありがとうございます!もう少しで本当にダメかと…」


「詳しくは、教会で話してね。とりあえず中にいらっしゃい。そこの三人も…」


「はい」


四人は、結界に護られた協会に入った。

そして教会の長椅子に座ったヨハン以外の四人は、さっき全速力で逃げてきたのでクタクタになっていた。

五人分の水を持ってきたセリアが言った。


「あなた達、レーンバーンを呼び出したなんて余程、彼を怒らせたのね。例えばレーンニックスを大量に駆除したとか…」


四人に水を配りながらそう言った。

水を配り終えると自己紹介をした。


「私の名前は、ヴェルダ・シセリア。セリアでいいわ。魔術師教会のリーダーであり司祭よ。さて目的を聞きたいわ…ここに来た目的。賢者と吸血鬼と異世界人二人なんて変わったメンバー見たことないわ。」


それを聞いた水を飲んでいたヨハンは、少し驚いて言った。


「ほう…私が吸血鬼なのが分かるのか?それにもっと凄いのは、この二人を異世界人と見抜いた事だ。」


セリアは、足を組んで言った。


「分かるわよ。私は、地球の異世界人についてかなり研究してきた。容態は、把握済み…その髪の色と目の色を見れば分かるわ。それに吸血鬼さんも黄色い綺麗な目をしている。」


「なんと…素晴らしいな…」


「あなたこそ…」


何やら茶番が始まったのでセロンが止めに入る。


「あぁ!あの!今日、教会に来たのは、この人の剣を見て欲しいからです。それとファーレンの情報を…」


セロンは、杉山に目を向けるとセリアも杉山を見つめてきた。


「俺の名前は、杉山郷音です!よろしくお願いします!」


咄嗟に杉山は、そう言った瞬間心から自分が醜くなった。

心の中で言った。


「あなた!」


そうセリアに言われるとハッと目が覚め答えた。


「はひっ!」


「サトネ君からは、特別な魔力を感じる。大きくて深い…賢者とは、また違った…これは…嘘?真実?」


「え?嘘?真実?」


「いや…何でもないわ…その剣を見せてくれる?」


杉山は、ゆっくり剣を引き抜きながら思った。

(そう言えば…もうゲーレンさんが作ってくれた剣は、ないんだった…どこかで代わりの剣を手に入れないと…)

杉山が剣の刀身を全て出すとその刀の表面は、やはり錆てボロボロで緑色の光を放った。

それを見たセリアは、とても驚いて

そして同じ教会内にいた魔術師達もその光をみて驚いて集まってきた。

セリアは、セロンに言った。


「まさか!この事だったの見せたいものって!この子が!」


「そうです。魔力を司る者です。」


教会内の魔術師達は、一気にざわついて話している五人の周りを囲った。

ところどころ魔術師達の漏れた声が聞こえる。


「このお方が!ペルトメネア様の選ばれた人!」


「凄い発見だ!」


「研究の成果がまさかこんな形で!」


セロンとヨハンは、それを聞いて驚いた。


「え!ペルトメネア!ペルトの最高神に選ばれた!?」


「まさか!そんな事が…」


全く状況が把握出来てない杉山と南部は、聞いた。


「俺って…凄いの?」


「あーでもこいつさっき虫如きで嫌がって…」


南部の言った言葉を聞いて焦った杉山は、かき消すように言った。


「あーあー!やべぇ!俺、実は、凄いかも!」


それを聞いたセリアが言った。


「凄いなんて者じゃないわ…あなたは、ペルトの最高神、ペルトメネア様に選ばれた人。その剣の光がそれを証明しているわ。」


杉山は、剣を収めて言った。


「ペルトメネア?」


「ペルトメネア様は、嘘と真実を司る神。その剣は、[トゥスト]嘘を本当にする剣とか魔力の血管とか様々な異名があるわ。まさか本物をこの目で見るとわ…どこでそれを?」


「これは、セロンから譲り受けたものです。」


「セロンから?」


セロンは、ばつが悪そうに言った。


「すいません。セリアさん。今まで隠してました。私の父が誰にも見せるなと…」


「いいえ。分かっていたわ。」


「え!?」


「それについては、後で話しましょう。」


南部が杉山を見て言った。


「お前って凄いんだな」


「それは、分からんが少なくとも虫系は、苦手だな…」


セリアが言った。


「サトネ君それに三人もついて来て。」


四人は、セリアに言われるままついて行った。

すると教会の一番奥の大きな石像で止まった。

その石像は、顔から体にかけての半分が黒い影のようなもので潰されている。そして右手には、杉山持っている剣[トゥスト]を

持っていた。そして足の下の祭壇に丁度、剣が入るような穴が空いていた。杉山は、その石像を見上げて言った。


「これは…ペルトメネアの像?」


セリアは、言った。


「あなたは、その剣について知らなくては、ならない。でも、話せば長くなる。今、時間は、大丈夫?」


「たぶん、大丈夫です。」


そこにセロンが割って入った。


「私もずっとこの剣が気になってました。自分のお父さんに渡された時に…」


「なら話しましょうか。それに最後にやらなくては、ならない事もあるだろうしね。」


セリアは、足を組み直して話し始めた。


「その剣が人間界に渡った原因は、まず神の王位継承戦争「モト・ヴァ」について話さなくては、ならない。今から30年ほど前に神の中の王を決める神々の戦争があった。元々、ペルトの神の王は、ペルトメネア様と前の王位継承戦争で決まっていたけど嘘と真実を司る神であるが故、ペルトメネア様が嘘の力を使い真実を隠して王になり、我々を騙したのでは、ないかと疑惑が神々の間で出たの。そして、本当に誰が王に相応しいかを再びその力で証明する事になった。」


「「モト・ヴァ」神の戦争か…30年前ということは、かなり近いな」


「ええ。しかし、神々の戦争「モト・ヴァ」を行うには、このペルトを含む世界ごと壊しかねない。自分達が想像した世界を自分達で壊すのは、愚かだと思った神々は、自分達の力を武器に注ぎ込み創造し、それを人間に使わせそして、神の武器を持った人間同士を戦わせて最終的に勝ち残った人間の武器を作った神が王になると言うものだった。」


「なるほど。神と神では、世界が壊れる。ですから神の力を持つ人間と人間で戦わせた訳ですか。」


「そう、結局は、ペルトメネア様の創造した神器「トゥスト」が勝ってしまう。そして、その「トゥスト」を使い全ての神器使いを殺した人、フレイ・ステファン当時23歳。そう…あなたの父…」


セリアは、セロンを見ながらそう言った。

セロンは、驚いて言った。


「え!?でも…」


「ごめんなさい…嘘をついていた。言わない様にフレイさんに言われていた。」


「信じられない…でも…それなら、お父さんがその剣を持っていた。辻褄が合います…」


「それについては、後で詳しく教えるわ。」


セロンは、頷くと

杉山は、自分なりに話をまとめてセリアに言った。


「神が強すぎるから神の代わりに人間を戦わせて結果、ペルトの最高神は、ペルトメネアになったと…でも分からないです…何で俺がまた選ばれたんだ?もう戦争は、終わったはずですよね?」


それについてセリアは、言った。


「そう…それが私にも分からないの。だけどペルトメネア様と話すことが出来れば真実を聞けるかもしれない」


「ペルトメネアと…神と話す!?そんな事できるんですか?」


「神の掟では、神は、余程の用件ではない限り人間界に直接現れては、ならない事になっているの。それは、神が人間界のバランスを壊しかねない為だから。でも、会話は、できる。その剣があれば」


「どうやってやるんです?」


「その剣「トゥスト」をペルトメネア様の象の下の祭壇に穴がある。そこに剣を突き刺して私が特別な魔法を唱えるわ。そうすれば会話できる…事になっている…」


「事になっている…?」


「ごめんなさい…確証は、できないの…なんせ、神を降臨させるのは、初めてだし…古い本を読んだだけだから…それと準備がいるわ…」


「可能性があるなら…やります!」


「頼もしいわね…まずあなたの血を一滴、トゥストの刃に垂らしてこう二回唱えるの「我が剣の神よ…私に道をお示し下さい。」その間に私が降臨の魔法を唱えるわ。」


「分かりました。」


「なら、私は、儀式用のダガーを持ってくるわ。ほんのちょっと手を切るけどいい?」


「はい。」


セリアは、ダガーを取りに教会の横にある部屋に入っていった。


→続く

ここで一回区切りを付けて

番外編の登場人物のプロフィールについてを作ります。


キャラクターの細かな設定やペルトの世界観についてなどが分かります。

これからも続けていくので

どうぞよろしゅう( ゜ω^ )b

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ