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不完全存在がニヒリズムにレボリューション


 


「はぁーあ、どいつもコイツも無能すぎて、殺してやりたいわ」


「まあそう言うなよ、シャル」


「嫌よ、私は最大限の不満を、この無限に破綻して崩壊した、破滅的世界に、ありとあらゆる方法でぶつけにぶつけて粉砕し破壊し、己の思うように、最大限の理想に変革し我を通すことしか考えたくないのよ」


「立派な思想だな」


「でしょうよ、跪きなさい」


 いけだかにそう言い、どうよとばかりに胸を張る、絶世風味の美女が其処には居た。


「あー詰まらない詰まらない、掃き溜めのゴミのような奴しかいないから、私の天才性もまったく生かされない、誰も私を理解してくれないのね」


「少なくとも、俺は理解してるさ」


「知ってるわ、貴方だけよ、私の味方は」


 彼女は帝国に認められなかった賢者、その天才性を持て余し、世界征服・転覆を目論見企む、今は魔性の女だ。


「それにしても、なんでこんな無能者が溢れかえってるのかしらね?、価値が全く無いに等しいんだから死ねばいいじゃないの、なんで死んで生まれ変わりに期待しないのかしら、私的にとても理解に苦しむわ」


「そんな事たとえ思ってても言うもんじゃないと思うが、だから天才の考えてる事はあーだこーだと言われるんだ」


「知った事じゃないわ、全くもって知ったことじゃないわよ。

 どうせ一生掛かっても、私の足元にすら、肉体的にも精神的にも技術技能ありとあらゆる面で及ばない、圧倒的な下位の存在、低次元の別世界で生きてるようなゴミ達に、私は何思われようがどうでもいいの」


「そうかい、それにしては、昔はそういう世界に、シャルは認められたがっていなかったか」


「昔の話よ、私は生まれ変わったの、強制的にね、もう皆嫌いよ、二度と信じるものですか。

 私が信じるのは絶対唯一無二に私自身だけ、ついでに貴方だけ、もう遥か昔と錯覚できる前から、そう決めたんだからね」


「それは、光栄と言うべきなのかね」


「あー、さっきからつくづく言ってるけど、目障りだわ、無能が移りそう、皆殺したい」


「お前は本当に、なんというかクレイジーにダークに過ぎるな」


「当たり前よ、決して認められない存在を厭うのは酷く当然でしょうが、非天才的凡人なんて、私の敵よ」


「それを言ったら、この宇宙時代でも、お前の味方はほとんどいなくなるぞ」


「ええ、私の基準に当て嵌まるのは、全宇宙人口一垓人の内、せいぜい一千万人がいい所、でその中で味方を選定しようものならってね。

 もう何もかも面倒くさいわ、味方を探す手間もリスクも洒落にならないくらい高いし、もう人間みな怨敵くらいの勢いが正解真理って気づいたのよ」


「それはそれは疲れそうだな」


「疲れないわよ、常在戦場くらい私は生まれた時から当然の環境、状態として、生きてきたつもりよ」


 彼女は溜息をついて、チッチと舌打ちを連続させて、ムッすとした顔つきで吐き捨てるように言うのだ。


「はぁー、何もかも憎い疎ましいし嫌悪を醸す、さっさと私が世界を支配して、理想の実現を達成しないと、ストレスで発狂して私が殺されてしまいそう」


「本当に、今の世界が気に食わないみたいだな」


「当然、こんな世界は私の生きる場所じゃない、世界とは、もっとより良くあるべきと、他ならない私が断定するのだからね。

 こんな場所で一生を生きるとするなら、いっそ死ぬ方がマシよ、でもそれだとこんなゴミみたいな世界に負けたみたいだから、私が全て変えるの、そういう事にしたのよ」


「独善的だが、それこそがお前の本質で、正義なのだろう、俺は特に否定はせんよ」


「だけど、受け入れもしない、まったく貴方ですら私を分かってくれない、本当に駄目駄目、一生孤独と孤高で生きるのが、どれだけの苦痛で不幸か、貴方には分かる? 

 もういっそ、世界を根底から変えて、無上の幸福と快楽を得ないと満足できない、今までの己の人生と生命を決して許すことが出来ない認められない、そんな悲しい生き方をする他ない、そういうのがね」


「分からんな、だいたいお前は孤独でも孤高でも、特にないんじゃないか? 割と味方もいるだろ? 俺以外にもって意味でだ」


「ふん、知らないわよ、そんなの目に入らないもの」


「都合のいい視野をしてるんだな、シャルは」


「詰のるんじゃないわよ、知ってるわよ、貴方の言っている事くらい。

 でもね、そういうのは生理的に私は受け付けれない、ただそういう厳然たる事実があるだけ。

 なんで私が他に影響されて、生き方のスタンスを変えないといけないわけ、そんなの私にとって無上の理不尽で不条理で不合理だわ、一切全体打ち壊さないと気が済みそうも無いわよ。

 私が私でいる事を阻害するなんて、絶対に許さないんだから」


「まあ、シャルはそうやって勝手気ままに生きるのが良いのだろう、そう思う」


「そお、全てを否定して、自己こそが最上位とする、そして現実もそれに近づけようと死力を尽すのが良い。

 人生なんて所詮ゲーム以上のモノになりようがないのだからね、最も楽しい人生が歩むのが最も賢い生き方なのは言うまでもないわ」


「人生はゲームか、そう言えなくも無いか」


「いえ、ゲームなのよ、所詮は其処に完全に当て嵌める事ができる、何でもかんでもありとあらゆる全てをね。

 認めない事は非理性的であることを示す、簡単に言って馬鹿の証左よ。

 だいたいそれは人生自体が証明してるでしょ、人生なんてのは、楽しめた分だけしか頑張ろうと思えない、ゲームの楽しさに期待する総量しか絶対に頑張れないようにね。

 そして、ゲームなんて本気になるのも馬鹿らしいお遊び、みんなそんなのに夢中になった振りして馬鹿の振りして人生を生きないといけない、本当にかわいそうな話だわよね」


「お前と話してると、なんだか虚無的な気分になるな、もっと明るい話もしてみないか?」


「いや、私の趣味嗜好に合わないわね、それ。

 私はこういうのが好みなの、分かってるわよね?」


「ああ知ってたさ、ただ試みに提案してみただけだ」


「却下ね。

 とにかく、私が生きるに値する、そんな世界にする為に、やるべき事は無限に近くあるわね。

 ゲームとして不出来な所が多すぎるし、なにより私自身がそうやってこのゲームを調整し、試行錯誤し研究開発することに娯楽を見出してるのが、最大の理由よ」


「確かに、今のお前は、凄く楽しそうだ」


「楽しいわ、私の手で、私の生きる世界も何もかも、少しずつ作っているのだからね」


 俺と彼女の他愛も無い雑談だ。

 今日も今日とで、彼女は狂気的に燃えるような憎悪で瞳を精一杯に塗らしていた。

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