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宙の果無野望と覇道心‐バレルライン海戦危機


 


「まったく私が出張るとか、予想外なのよ」


 虚空を駆ける、黄金の機体。

 完全第四世代機”天善光”、その飛行粒子も黄金色の酷く目立つ機体は。

 周囲の型落ち、大量の敵にとっての最精鋭、第三世代それを次々と落としていた。

 彼女の名前は”ジャンヌ=エルデワース”。

 東側の秘密勢力、ダークの幹部、その一人である。

 妙齢の見目、魔性に値する溢れる色気と淫靡な雰囲気、プラチナブロンドに青眼。

 見る者すべてを強制的に屈す、切り裂く刃物のような尖った、そんな眼光は今。

 的確に幾百の敵の機動を、先の先まで予想していた。


「はぁ、ホント使えない」


 彼女は最前線の味方の惨状を見て、落胆に似た感情と共に呟く。

 味方、というより最高司令官が、敵に挑発された挙句、誘導されるように誘い込まれた。

 それによって、死に掛けたのだ、愚かでバカだ。

 その類稀な血筋的に、大して有能でもないのに上に据えた、己の立場を理解していないと見える。

 仮にここで戦死でもしようものなら、東側を纏める首領を失い、すべての計画が水の泡に消失するところである。

 現在”土星連盟”は、西側に対してその大規模な物量で圧倒している。

 が、内情はギリギリの均衡で統合され、成り立っている、今戦争に対しても賛否が分かれる。


「あれは、”黄金蝶”っ」


 見た目的には同シリーズに近い、だが内部は別物、そのような機体を視認する。

 戦況的に、最高司令官を死守する為に撃破されかけ、ほうほうの体で逃げ帰ってきた、そういう場面だろう。

 本当に信じられない話だ。

 東側きっての、エースの中のエースパイロット。

 さらに、それに特化して建造された超超高級ワンオフ機、その掛け算によって、およそ単一戦力では不動。

 そんな、この戦争において、戦術的に何度でも使える万能チート切り札。

 帰趨すら左右するソレが、撃破されかけたわけだ。


「聞こえますか? シャル?」


「ええ」 


 近中距離通信で直ぐに繋がった、多少、焦燥した、同輩の乙女がそこにいた。


「大丈夫でしたか?」


「まあ、ね、掛け値なしの紙一重で、落とされかけたけどね」


「貴方がっ、相手はどの程度だったのですか?」


 彼女を落とすなら、圧倒的な物量で集中砲火しなくてはならない。

 そんな状況には、優秀な彼女は簡単にはならないはずなのだが、それほどだったのだろうか。


「敵のエースパイロット軍団に強襲されたのよ。

 敵の総旗艦の直衛”アースブレイズ”がこぞってね、余程ここで、わたしを殺したかったと見えるわ」


「っ!」


 眼を見張る。

 敵のエース軍団、として名を聞いていたが、それが、このような最前線に乗り込んでくるとは、思いもよらない。

 そも敵の総旗艦が、まだ最終決戦にはほど遠い、このような前線に現われている事が驚きだ。

 まあこちらも、総旗艦とは言わずとも、盟主自らが前線に躍り出る愚を犯しているのだが。


「と、とりあえず、貴方がいなくならなくて、ここで退場せずに、本当に助かります」


「もちろんよ、こんな場所で死ぬような役者じゃ、わたしはないもの。

 それでも、戦争の緒戦で殺されかかった不覚、絶対に忘れてやるものですか。

 この屈辱は、敵の完全なる殲滅で果たす」


「頼もしい限りです。

 エースを導くエースである、貴方の、その立ち直りの早さは。

 必ずやこれからの反抗を押し進める上で、全軍において多大な好影響になると想います」


「ふん、使えない奴らばっかりだからね。

 私のような上位者が、圧倒的大多数の下を引っ張って行かないで、どうするって話よ」


「私も頑張りますので、お互い、上手くやっていきましょう」


「ええ、、一応勘違いされてると困るから、言っておくわ。

 貴方は意外と思われるかもしれないけど、わたしは貴方を頼りにしている。

 この私達の陣営において、高い物量の内人材面で、使える上に一定の信用のおける人間は少ないの」


「ええ、その通りです、しっかり自陣営の事は把握しています。

 私達のような戦略を練り、さらに戦術を直接左右できる。

 高い機動性に汎用性を合わせ持ち、戦力としても超一級は貴重、お互い支えあうべきですね」


「そう。

 特に、どれだけ予想しても行き届かない、我らの愚かな味方に足を引っ張られる。

 今回のような危急事態では、特にな」


「はい」


 そして、今回の致命的になりえた事態は、一度の幕を閉じる。

 盟主を失わなければ、以前物量では圧倒する。

 敵の奇策謀略に、これからも足元を掬われる、その前哨でなければいいのだが、、、

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