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ハイスペースなファンタジー物語

 

  


「わぁーい! 夏休み嬉しいなぁ!嬉しいなぁ!」


 燦燦と照りつける太陽光にも負けないほど、輝けるほほえみを振りまく少女は、長い金髪を優雅に遠心力とともに回しながら演舞して街路を闊歩していた。


「マティちゃん! 夏休みだねぇ!」


 それにすかさず相槌を打つのは、麗しいほどの茶髪を腰にポニーテイルにした、多少明るさの中に理性的な色合いを見せる溌剌として活発な少女フィルだ。


「うん♪ フィルちゃんもアゼルちゃんも嬉しいよねぇ!!♪」


「うん、わたしも皆と過ごせて、とてもうれしいかなぁ」


 多少控えめで大人しい少女、清楚な花のような赤髪赤目の少女も追従するように言う。


 彼女ら、中等部からの仲良し三人組である少女達は今、初めて三人で過ごす夏季休暇という日々をこころ行くまで満喫する心積もりだった。


「さてぇ!♪ なにするなにするぅ!♪!」


 三人の中でもムードメーカーのマティは、微笑みながら明るく二人に問うようにする。


「うーん、、、、、」


「そうだねぇ~、どうしようかなぁ~、、、そうだぁ!!ライルお兄ちゃん達とあそぼぉ!」


「グッドアイディア!フィルちゃん♪ わたしがお電話してお誘いの電話するねぇ!」 


 だが、少女達の誘いは、残念ながらスルーされていた、なぜなら、、、。


「ライル! もっと前線に出て戦いなさいよぉ!」


「るせえ! お前こそ指示厨きどってんじゃねぇーぞこらぁ!」


「ふっふっ、漁夫の利を得るために、わたしは後方でスナイパーしてますかね」


「みんなぁ! チームワークが大事だよぉ! リリもライルもなかよくなかよくぅ!」


 戦場の焼け付くような熱風、もちろんヴァーチャルゲームだが、彼彼女達は真剣に戦士を気取っていた。


「さてぇ! 貴方達ぃ!」


「女指揮官きどんなぁ」


「うるさいわぁ!鉛玉くらわすわよぉ!」


 作戦室のような風袋の屋内で、先程の四人が集結していた。


「ふっふっ、この進路だと、ここに敵の補給基地があると推測しますよっと」


 二人の喧騒に突っ込むように、茶髪の女丈夫が割り込む。


「さすがテリィ! 分かってるぅ!♪そうここ!たぶん此処!それじゃ行くわよ!」


「ちょっと待っただよぉ!

 そこを潰すのはいいけど、それよりもこの主要公道!他より圧倒的に整備されたこの補給線を確保されるのを防ぐほうが優先じゃないかなぁ!」


 慌てたように突っ込みいれるのは、天然なようで類稀な知能を有する緑髪少女だ。


「あぁ!そうね!ライル!いっちょ命じるわ、なんとかしてきなさい!」


「俺一人でかよぉ! 中央司令部に応援モノだろ!常識的に考えてぇ!」


「不可能を可能にしないさよぉ!心意気が足りないわねぇ!」


「だらしゃ! そんな無謀な要求されるほど!追い詰められてないだろ!」


「二人ともぉ! もう悩んで時間を割いてる暇ないよ!戦場ではリアルタイムに素早く状況判断しないと!」


「ふっふ、まずは敵補給基地に向かいましょう、話はそれからでもできますし」


「そうねぇ!出発進行!」


 彼女の掛け声に従う形で、完全武装の四人が見渡す限り大草原の自然空間に飛び出る。

 全軍の中でも特筆に価する戦力である彼彼女達は、通常よりも何倍も早く戦域を駆ける。

 その合い間の会話。 


「で、補給路分断は誰がするの?」


「そうだねぇ!可能な限り敵基地を四人で片付けて! 司令部からの要請に基づいて誰かが応援に行く形にしよう!」


「待て! それだとただでさえ少ない俺達は基地側の大兵力対して相当不利になるぞぉ!」


「ふっふ、それはもうしょうがないでしょうライルぅ。

 補給路の分断は必須で、基地も放っておけない、ならば、状況を見ての、それら戦力の分散、逐次投入もやらないといけないのよ」


「馬鹿で愚かしいけどやるっきゃないのぉ!覚悟決めなさいよ!」


「わぁーたよぉ!」


 惑星地上で膨大な質量がぶつかり合う中でも、宇宙はまだまだ静かなものだった。


「やあ」


「やあ」


 彼の挨拶に、眠そうな一瞥と共に右手を上げる、青髪蒼目の、凛とした猫のような少女。

 後ろ髪を靡かせて、戦艦の艦橋部目指して歩いていく。


「さて、まずは、惑星周辺から、かな?」


「うん、オスカーは、宇宙の対処、わたしは惑星地上部隊の支援、軌道上の機動兵器のオペレーターをすると思う」


「おお、任された」


 声とともに巨大な空間に繋がる扉が開く。

 ここはゲームの中、彼彼女のメインスペース兼主なプレイニングルーム、自陣営最高旗艦級超大型戦艦内部である。

 今も沢山のプレイヤーが指示を飛ばす空間、人材の集結点でもあるハイインテリジェンスしか所属できない総司令部、最高のブレイン達の詰め所である。


 今回は三つ巴の形式で、宇宙と惑星地上で三つの勢力を分けて、狭い領域での覇権を争う形である。


「まずは現場にどうやってこの二つの戦力を降下するかだな」


「分岐点はここ、見極めの誤りは膨大な戦力と戦果の喪失とを招くから慎重に」


「分かってる、それにしても大規模な戦端だな、一度に全てを把握するのは骨が折れそうだ」


「それでもやって、AIに任せれば精度が落ちる」


「冗談だよ、このていど昼飯前程度だ」


「ふっふ、期待してる」


 珍しくニヤリと薄く笑って、モニターに視線を戻す少女にも、簡単には済まされない難事業が幾つか既に舞い込んでいた。


 一方そのころ三人の少女達はそれぞれ狭い個室にいて、通信越しに相手を見ていた。


「飛び込みできちゃったねぇ♪ 気づいてくれるかなぁ!ライルお兄ちゃんわぁ!」


「う~んこの戦力表見るとね、どうやら地上部隊配置だから、むずかしいのかなぁ~」


「地上航空支援任務か、惑星衛星軌道上での機動兵器戦が生じれば、通信はもしかしたら通じるかもしれないよ?マティちゃん」


「うん♪それを狙おぉ! カッコいいところ見せちゃうよ!」


 そんな三人にオペレーターの指示が舞い込む。


「戦術機動隊の方々に任せたい仕事があります、図表をご覧ください」


 パッと見るところによると、それは惑星の制宙権を賭けた、まさに天王山とも呼べる戦いへの増援だった。


「いいねぇ! ごろごろSSSランクの敵も味方も砲火を交えてる、特級のステージだよ!久しぶりに腕がなっちゃうよぉ!」


「うわぁすごいねぇ! 敵も味方もエースの中のエースを投入して戦ってる精鋭部隊同士の衝突点、そんな戦線にこれから向かうのぉ?」


「うぅ、マティちゃんと違って、わたしとフィルは機動兵器戦、それほどでもないんだけどぉ、、がんばるよ」


「うん断然いいよぉ! 援護よろしく♪ってねぇ!むしろ私なんて押しのけて戦果を浚っちゃってよ!アゼルちゃんフィルちゃん♪」


「それではよろしくお願いします、戦艦の最大出力で送り出すので、瞬間的に極短時間で惑星当該宙域に到達します。

 すぐさま味方とのデータリンクと姿勢制御等の諸作業、それらを巡航中での滞りの無い運用操作だけ忘れなきよう、では武運を祈ります」


「それじゃ無限の彼方にさあいこおぉ!」


 機体スロットルまで噴かして、テンションの上がった少女の声が響き渡り、三機の機影は惑星に向かって吸い込まれるような流星のように飛んでいった。

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