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生徒会長選挙

作者: キズミ

今日は新生徒会役員を決めるための選挙の日。



私は生徒会長に立候補している。

対立候補は3人。

私も含めると会長候補者は4人。

ちなみに女の子は私ひとり。

正直とっても不安で心細いけど

ここまで来たからには絶対勝って見せる‼︎


私にはみんなが楽しく笑って過ごせる

そんな素敵な学校を築き上げるという夢が

あるんだから‼︎



副会長候補者達の演説も終わりいよいよ、

生徒会長候補者の演説が始まる。

私は最後なのでひとまず安心。

でも、最後は最後でプレッシャーはあるかな。


あまり考えすぎちゃダメだ。

どうせ自分の番は来るんだから。

今は対立候補者の皆さんの演説を

しっかり聞こう。


私は自分を落ち着かせるため

一度深呼吸をした。


ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。


あれ? なんかちがったかな?

まぁいいか。だいたい深呼吸なんて

ヒッヒッフーだ。私のお母さん

いつもこれだし。


気のせいかもしれないけど

隣に座っている会長候補の

名前なんて読むんだろう?


とにかくその人にガン見された。

やだ。これが選挙?

対立候補を眼力で威嚇するなんて。


ずっと目を反らないよ?

しかもこの人らなんかよく見たら

白目むいてるし。



怖いよ‼︎



そんなことを考えていたら

一人目の演説が始まった。



「皆さんこんにちは。生徒会長の金剛です」


まだ会長じゃないよ‼︎


なんのための選挙かわからないよ‼︎

今なにしているのかよく考えようか⁉︎


「まどろっこしい話は抜きにしましょう。

大切なのは私が生徒会長になったらという

話です。なぜ生徒会長になりたいだとか

そんなこと話しても仕方がないでしょう?

ちなみになりたかった理由は内申点目当てです」


結局言っちゃうんだ‼︎

しかも内申点って堂々という事じゃないよ‼︎



「私が会長になったら3つ大きな野望、

やりたいことがあります。まぁこれが

公約になるといってもいいでしょう」


すごい。3つもあるんだ。

金剛君はいろいろ発言に責任を

もった方がいいところたくさんあるけど

しっかりと自分が成し遂げたいことを

3つも用意しているんだ。

きっと学校生活をより良いものとするため

一生懸命考えたんだろうな。

一体どんなことなんだろう。


「私が生徒会長になったあかつきには

一つ‼︎ 女子生徒のスカート丈自由化‼︎」



「「「オオオオオオオオオオ‼︎‼︎」」」


なんで⁉︎

その公約になんの意味が⁉︎

ていうか盛り上がり過ぎじゃない⁉︎

とくに男子生徒‼︎


「スカート丈というしばりに女子生徒の

皆さんとてもストレスを感じていると

思います。スカート丈くらい好きにしたって

いいじゃないか。そう考えていると思います。ごもっともでしょう。その艶かしい太ももを

見せつけるのは女子生徒の自由なのです。

それに短ければ短いほどパンツを拝む

確率もスカート丈が短いほど上がってくるのです。いわば、この公約は男子生徒、女子生徒

どちらもメリットしかない、WinWinの関係

ということになります」



ならないよ‼︎

男子のいやらしさ全開だよ‼︎


たしかにスカート丈短くしている

女子生徒は多いし、その度に

先生に怒られてるのはよく見るけど

だからってべつにあれは男子生徒に

太ももやパンツを見せるためじゃないよ?

たぶんだけど。


「どうですか? 皆さん。女子のパンツ、

みたいでしょう?」


「「「みたーい‼︎」」」(男子生徒のみ)


「もう一度聞くぞ〜‼︎ お前ら〜‼︎

パンツ見たいかァァア‼︎」


目的変わってるよ‼︎

ただパンツ見たいだけか‼︎


「「「オオオオオオオオオオオォ‼︎‼︎」」」


オオオオオオオオオオオォ‼︎

じゃないよ‼︎

ノリノリすぎるよ‼︎


本日最大の盛り上がりを見せる体育館です。


「私に投票すればパンツなど見放題。

是非、生徒会長にはこの金剛をよろしく

お願いします。以上です」


パンツ見放題ってなに⁉︎

そんなの絶対許されないよ‼︎

って。



公約ひとつだけじゃん‼︎

3つあるんじゃなかったの⁉︎

パンツで満足しちゃったの⁉︎

もうパンツのことしか頭にないよ‼︎

金剛君は何をしたかったの‼︎



あっ‼︎

そうか‼︎

パンツ見たいだけか‼︎



アホか‼︎



「金剛君ありがとうございました。

続きまして会長候補、糸魚川君お願いします」


「はい」


糸魚川君は眼鏡をかけている。成績優秀で

とっても頭がいい。眼鏡キャラだし。

いい感じにキャラ立ちしている。

眼鏡を外すとただの人だけど、

今回の会長選挙で

もしかしたら一番のライバルかもしれない。


彼に勝つことができれば会長に

なれるといってもいいくらいだと勝手に

私は思っている。


糸魚川君頭いいし。なんか頭良いしか

私彼のこと知らないな。

あれなのかな?

それ以外にいいところないのかな?


とにかく頭いい人は話すことも

頭よさげな意識高い系だろうし

やっぱりライバルは糸魚川君だ‼︎


だって金剛君あんなんだったし。

彼は、ね。うん。

とりあえず詫びろ。色々と。



もう一人の私の隣に座っている

名前がすっごく難しいこの人が

どんな人か全く知らない未知数なのは

怖いけどやっぱり一番の敵は

きっと糸魚川君だと私は思う。



「どうも、ただいまご紹介に上がりました

糸魚川です。みなさんこんにちは。

単刀直入に聞きましょう。皆さんパンツは

好きですか?」


お前もパンツかい‼︎


「皆さんパンツは好きなはずです。

あのスカートの下に眠る秘密の花園。

それを拝むために我々は生きていると

いっても過言ではないでしょう」



過言だよ‼︎



「そもそも人はなぜパンツを見たいのか。

さらに言えば、パンツとはなんなのか。

そう、パンツとはこの世の理、

いわば真理。パンツについて考えることは

もはや哲学ですらあるでしょう」



どーでもいいよ‼︎

ほんとどーでもいいよ‼︎

糸魚川君、金剛君よりパンツを

連呼しているよ‼︎



「私の考えるパンツについて語るのはまた

別の機会としましょう。ちなみに私の好きな

パンツは紐パンです」



知りたくもないよ‼︎


いらないよ‼︎

そんな情報‼︎


「私が生徒会長になったあかつきには

ふたつのパンツ、いえマニフェストが

あります」



どう間違えたら

パンツとマニフェストを

言い間違えるの⁉︎


「まず一つ、スカート丈膝上推奨‼︎」


おまえもそれかい‼︎


なんとなく予想してたよ‼︎

どーせパンツみたいだけの

公約だと思ってたよ‼︎


おかしいよ‼︎

この選挙パンツしか言ってないよ‼︎

公約にパンツしかないよ‼︎


「私は膝上推奨と言いましたが、

可能なら強制膝上を希望しております。

そうですね、一番ベストなのは

膝上50センチでしょうか」



パンツ丸見えだよ‼︎



それどころか

スカートパンツより上になっちゃうよ‼︎


どこにスカート履いてるの⁉︎

もはや履いているという表現は

不適切だよ‼︎

ポジション的に下手したら腹巻だよね‼︎

スカート巻いてるよね⁉︎


もう一度大切だから改めて言うけど、


パンツ丸見えだよ‼︎



「スカート丈のほかに私にはもう一つ

マニフェストがあります」


もうやめてよ。

頼むからパンツから離れようよ?

ひとつくらい真面目な公約あるよね?

私は信じてるよ?

生徒会長になりたいという

同じ志を持った生徒同士

これ以上パンツばかりの

選挙は嫌だよ。



という、私の願いも虚しく、

二つ目の公約もしょーもないものだった。



「二つ目のマニフェストは

スカートの下に短パン履くの禁止‼︎」


「「「オオオオオオオオオオオォ‼︎‼︎」」」


もう黙ってよ‼︎

どーせ短パン履くとパンツ

見えなくなるからでしょ‼︎

そんな公約マジ爆発しろ‼︎


「よく、女子生徒にスカートの中に

もとい、パンツの上に短パンを履く人が

いますね」


正しい表現なはずなのにものすごい

違和感を感じるのは私だけ⁉︎


「パンツの上に短パンを履くなんてことしたら

パンツが見えないだろ‼︎ やめろ‼︎」



案の定だよ‼︎

この公約もただパンツみたいだけだよ‼︎



「短パンやジャージを履くのは

禁止としますが、ひとつだけ許可しましょう」


どれだけ上から目線なの?

そんな上から物を言えるような

発言ひとつもしてないよ?

なんでそんなに自信満々なの?


「パンツの上に唯一履いて良いもの、それは

スクール水着です」


スクール水着⁉︎

なぜ⁉︎

意味がわからないよ‼︎



「なぜスクール水着?

そう思った人も多いでしょう。

答えは簡単です。私の趣味です」



お前のかい‼︎



だめだ。もうこの選挙に出てる人

変態しかいない。


百歩ゆずってパンツみたいと思うのは

勝手だけど

それを叶えるために会長に

立候補するなんて

行動力ありすぎるよ‼︎

自分の欲に忠実すぎるよ‼︎

少しくらい自我が働いても

バチは当たらないと思うな‼︎


みんな自由奔放すぎるよ‼︎

どれだけパンツ好きなの⁉︎



「ということで私が生徒会長になったら

パンツ祭りです。どうぞ、会長には

この糸魚川をよろしくお願いします」



パンツ祭りってどんな祭りだ‼︎



「糸魚川君ありがとうございました。

続きまして」


「少しいいか」


あれは、体育の先生で

生徒指導部のトップでもある

筋肉ゴリラの千葉ゴリ‼︎


ちなみに苗字が千葉だから千葉ゴリである。



今日も胸板厚いな。

なんで選挙だっていうのに

真っ白なランニング一枚なの?

TPOって言葉知らないのかな。


「おまえら。生徒会選挙をなんだとおもっているんだ? 少しふざけすぎじゃないのか」


先生の言っていることはごもっともだけど

その服装がすべてを台無しにしているよ。



「スカート丈を膝上? 自由化?

いい加減にしろ‼︎」


いいぞいいぞ。

千葉ゴリ‼︎

言ってやれ‼︎



「スカート丈自由化なんてしたら

服装点検の必要性がなくなるだろ‼︎

そうなればスカート丈が短いと

注意するのにかこつけて

女子生徒に触れてスカート丈を

直すという俺の生きがいが

なくなってしまうじゃないか‼︎」



最低か‼︎



「この学校には短い生徒がたくさんいる。

たしかに短いのは本音で言えば嬉しいことだ。だがな、それを教師が許してしまったら

学校は無秩序な空間とかしてしまう‼︎

それは教育者として許すことはできん‼︎

スカート丈を直しなさい‼︎

そういって女子生徒の尻を触れないなんて

そんなの横暴だ‼︎ 断固拒否する‼︎

俺は尻が大好きなんだ‼︎」



心の底から軽蔑します‼︎

先生‼︎



「静かにしてください。私も尻フェチなので

気持ちはわかりますが今は選挙中です。

あとで尻についてたくさん語りましょう先生」



お前も最低か‼︎



「それでは気を取り直して3人目の

候補者である、え? これなんて読むんだ?

えっと、えー。お願いします」


もう少し読もうとする

姿勢見せようか⁉︎

私も読めなかったけど‼︎



「どうも。みなさん。こんにちは。

己己己己です」


「「「は?」」」


え?

今なんて?

聞き取れなかった。


そう、彼の名前は己己己己。

己が4つもある。どれだけ

自己主張激しいんだろう。

軽く鬱陶しい。



「はっはっは。私の苗字難しいですよね。

これで『いえしき』と読むらしいですよ」


らしいなんだ⁉︎

自分の名前なのに随分曖昧だね‼︎


「正直自分でもこんなの読めませんよ。

いえしき? はっ?

いや、どうやって読むんだよ。力業

すぎるだろってね」


本当にその通りだと思います。


「己が4つもあるのでよく己✖︎4と

呼ばれることもありますね。

ぶっちゃけそんなに短縮できていないと

思います。私をそう呼んだ人たちの

あだ名のセンスのなさについ嘲笑して

しまったのを今でもよく覚えていますね」



たしかに✖︎4でも通じそうだ。


うん。



だから?



パンツよりはマシだけど

いいからさっさと

本題入ろうか?


もう、緊張感のかけらもないからさ。

早く私の番に来てとっとと終わってほしい

この選挙。

もうなんか、会長とかどうでも

よくなってきちゃった。とにかく、


早く終わることを切に願うばかり。



「おっと。つい、名前について

語りすぎましたね。本題に入りましょう。

私が会長になったらなどとだらだらと

話す気は毛頭ありませんので、

結論だけを言いましょう。

私が会長になったら、

なにもしません。

現状維持です。以上。

ご静聴ありがとうございました」



それだけ⁉︎



え⁉︎



それだけ⁉︎



あなたはなんのためにここにあがったの⁉︎

もしかして、

名前を覚えて欲しかっただけ⁉︎


「ありがとうございました。

それでは最後の候補者、唯一の女子生徒

ですね。よろしくお願いします」



なんか私の番きちゃった⁉︎

え⁉︎

いえしき君はなにをしたかったのか

まったく理解できてないよ⁉︎

ちょっと頭整理させてよ⁉︎


ほんとになんなの⁉︎

こんな選挙こりごりだよ‼︎




結局。

私が演説で何を言ったかまったく

覚えていない。たくさん

練習し、何度も何度も修正を加え

完璧に仕上げた原稿もまったくの

無意味となった。


他の候補者達があまりに

奇想天外すぎてぜんぶ吹っ飛んでしまった。



しかし、ひとつだけ覚えていることがある。



それは、


私のスカート丈が膝下であったため

落選したことだ。




はは、

なんだこれ。

とてもしょーもない作品となってしまいましたが

笑っていただけたらなと思います。

コメントや評価などいただけたら幸いです。


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