表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

相澤兄妹観察記

 ヒロインな兄シリーズを読まれていることを前提に書いております。本編を読まれてないと分からない箇所有るかと思いますので先にシリーズ本編を読まれる事を推奨いたします。

 どうも、佐木優さきすぐるです。えっ?お前誰だって?相澤総司あいざわそうしのバスケ部友人モブAです。覚えている方はいるだろうか?部室で携帯を無くしたと騒ぐ総司の携帯をならしてやり、その後フリーズした総司のために城戸きどを呼んでやった。それがオレ。ちなみにあの時の部室内の様子はこう。


「キャプテ~ン。」


「ああ゛?」


「総司がまたフリーズしましたぁ。」


「さっさといつもの保護者呼んどけ。」


「うぃ~っす」


 とこんな感じの会話が繰り広げられていた。その後ドタドタと足音を響かせながらやって来た城戸に後を任せオレと主将キャプテンはその場を後にした。

 まぁ城戸を呼ばずとも誰かが後ろから蹴りを入れれば一発なんだろうけど…。以前それをやったらぼ~っとしすぎて受け身もとれず、危うく大会前の大事な身体に怪我をさせるところだったのだ。(その時蹴りを入れたのは男に対する手加減を知らない主将だった訳だが…。)こんなんでも大事な戦力だからな…。かと言って弱すぎると正気に戻らないし…。強すぎても弱すぎてもダメな微妙な力加減が難しい。それなりに付き合いの長いオレがやるべきなのかもしれないが、もし何かあってヤツのブラコン妹に目を付けられたら嫌なので絶対にやらない。それ以来あの状態になった総司は城戸に任せる事になった。








 さてオレと総司は中学の頃からの付き合いだ。同じクラスで同じ部活ということで自然とよくつるむ様になった。はじめはその整った容姿にイケメン爆発しろ!と思っていたわけだが奴を知るにつれて奴が残念なイケメンであることが分かってきた。

 まずハンパないドジッ子属性。手に持ったものを落としてそれを破壊するのは日常茶飯事。そこらに有るものにぶつかっては身体に痣を作り、階段を歩けば足を踏み外す。調理実習ではまず間違いなく体のどこかに切り傷または火傷をこさえていた。その割りに運動神経はいいし、出来上がった料理は美味しい。解せぬ。

 そしてかなりの鈍感。顔よし、運動神経よし、成績もそこそことなれば女どもが放っておかない。多少(?)ドジだろうがそこがかわいいというのが彼女たちの総意だ。結構あからさまなアプローチもあったように思うが本人はそれをことごとくスルーしていた。

 例えば文化祭。一緒に見て回ろうと誘われて

かけると約束してるんだよね…。じゃあ三人で回ろうか。」

と言って城戸と三人で歩いていた。

 例えば夏。夏祭りに誘われて

「いいねぇ~。せっかくだからみんなで行こうぜ」

と周囲の人間を誘っていた。

 例えばバレンタイン。あからさまな本命も混じっているチョコを眺めつつ

「みんな義理チョコくれるとか律儀だよな」

と感想を述べていた。呪われろ!そのくせ彼女が出来ないと嘆くのだ。その時オレは怒りを通り越して呆れて物も言えなかった。

 それから重度のシスコン。中一の頃総司はまだ背が低く美少女フェイスだった。そんな総司に似て妹のみやびちゃんはかなりの美少女だ。当然男にもモテるわけだが奴はそのことごとくを威嚇して回っていた。その結果、彼女に淡い恋心を抱いていた普通の男は淘汰され総司の威嚇に負けない濃ゆい人材が生き残った。雅ちゃんにまともな出会いが訪れなかったらその責任の一端は総司だろうなとオレは思っている。

 そんなシスコン兄を持った雅ちゃんだが彼女は彼女で重度のブラコンだ。とりあえず総司に何かがあると必ずといっていいほど彼女が現れる。さすがに学校が違う間はそんな事はなかったが、彼女が入学してからは総司がトラブルを起こせば殆どの現場に彼女が現れて颯爽と事態を収拾していった。

 総司が倒れたと聞けば授業中だろうが抜け出して付き添い、ドブに落ちたと聞けば着替えとタオルを持って現場に急行する。最早おかんか嫁さんだ。妹といわれるよりはまだ姉といわれた方がしっくり来る。授業参観や三者面談には雅ちゃんが来るのではとクラス内でまことしやかに囁かれていた。保護者より保護者らしい妹。それが雅ちゃんだ。


 ちなみに雅ちゃんには「雅ちゃんを見守り隊」なる非公式・・・な組織があったりする。相澤兄妹の行動を観察しその行動を逐一リーダーに報告するという組織だ。そのメンバーは主に雅ちゃん争奪戦に敗れた人間で構成されている。トップは相澤兄妹の幼馴染の一人である佐伯一馬さえきかずまさん。生き残った濃ゆい人材の一人で逆らってはいけない何かを感じさせるお人だ。雅ちゃんに近づく人間を妨害し、ねじ伏せて日々隊員(下僕)を増やしている。なぜかオレも隊員に加えられていて、総司の監視役を任されている。総司が原因で雅ちゃんに何かが起きたとき報告するのがオレの役目。総司には悪いがオレも自分の身がかわいいのだ。ここはきっちり報告させてもらっている。雅ちゃんを狙っているわけではないので他の人に比べるとわりと待遇がいいのが救いだろう。




 今オレは欠伸をかみ殺して学校への道を歩いている。前方に見える総司の後姿。今日はどんなトラブルを起こすのか。オレはニヤニヤと笑いそうになるのを抑えつつ総司に追いつくために駆け出した。






 

 兄の憂鬱にて予告の番外編でした。ここまで読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ