【三題噺】 留学生の相談
《登場人物》
吉田 慎太郎 大学教授
ジョン 留学生
ある日の昼、大学教授の吉田は、自分の研究室で昼食にコンビニ弁当の和風ぶっかけうどんを食べていた。そこに、留学生のジョンがやってきた。
ジョンは、研究室に入って吉田が食べている物について聞いてきた。
「ヨシーダ先生、ソレナニ?」
吉田は、ジョンにそれなりに理解できる英語で答える。
「ああ、これか。ディスイズ《うどん》」
「ウードン?」
「イェア、ああ、ジャパニーズパスタね。グッドテイスティング。食べる?」
「タベーテイイ?」
「オフコース! ちょっと待って……」
吉田は、鞄からもう一つのコンビニのうどんを取り出し、ジョンに渡す。
ジョンは、バッグからマイお箸を取り出した後で、うどんにかやくのトッピングをして、日本人顔負けの箸使いで丁寧に食べる。吉田は、ジョンの反応をうかがった。
「おう、これオイシーネ!」
「だろう。だから好きなんだよね。これ……食べながらで悪いけど、ワット、ハプン?」
「ああ、ソレね。先生に相談」
「何?」
「マイホームのウォッシングマシーンがウゴカナクナッタノ。どうしたらナオル?」
吉田は、そんな事は、電気屋に行って訊いた方が良いと思ったが答えてやった方が彼も苦労はしないだろうと考え、身振り手振りで通じそうにない英語で答える。
「洗濯機か……いい手がある。」
「ホントーカヨ! 流石、ヨシーダ先生」
「ワン、ウェイ。え~と、洗濯機をヒットさせる。例えば、手でバンバンとヒットね。」
「ああ、それヤッタネ。でもナオラナイ」
「スイッチを何回も押したか?」
「イヤ、それをしてもダメダッタネ。ホカニナイカヨ! 先生!!」
相変わらずのカタコトながらも頑張っているようだが、少し生意気っぽいところはしょうがないなと感じていた。
他の案で、まともなものか……っと考えるが、どうしてもまともじゃない考えが思いついてしまう。ならば仕方ないと、まともじゃない方法を吉田は、ジョンに提案する。
「そうか……なら物でもっと強く洗濯機にぶつける」
「モノデ?」
「イエス、ああ、そうだな。例えば、広辞苑とか、靴とか、強力なのはバットかな?」
「コウシエン? 甲子園?」
「ノー、違う。広辞苑ね。う~んと、あ、ジャパニーズディクショナリーね。(ジャパニーズディクショナリーって言うんか? あれ?)まぁ、いい。それを洗濯機にぶつけてごらん」
「ディクショナリーかよ。分かった。トライ、シテミルネ」
そう言った後で、うどんをズルズルとたいらげてからジョンは、研究室を出ていった。
次の日、ジョンは、吉田にお礼を言いに来た。しかし昨日のジョンより機嫌が良さそうだった。
「ヨシーダ先生、昨日は、アリガトね」
「おお、どうした? 機嫌よさそうだな!」
「マイホームに帰った後で、広辞苑をブツケタヨ。そしたらウォッシングマシーンがまた音を上げてナオッタネ」
「………………ああ、そう……」
吉田は、まさか、本当に、洗濯機が直ってしまうとは思ってもみなかった。その洗濯機が何処製なのか、何産なのか、ジョンには訊いていなかったので知らなかった。まぁ、直った事には変わりないのでそこは素直に喜ぼう。
しかし、吉田は、ジョンに1つ言えない事があった。洗濯機に物をぶつけたら、逆に壊れてしまうなんて事を……
END
注意:この話はフィクションです。ジョンと吉田は作者の妄想です。この話はフィクションです!
(大事なことなので二回言いました)
今回の話は、あるキーワードを作中に、三つ使って話を作り上げる……という【三題話】というものをサークルの企画でする事になり、ざっと書いてみました。
キーワードはこちら
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「うどん、洗濯機、広辞苑」この3つを作中に必ず用いて物語を書きあげるというものです。
読んで、いただけたら嬉しいです!
できたら、もう少し、ここはこうすれば良かったのでは? の意見も頂けたら嬉しい限りです。
宜しくお願いします。