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根暗の笑い


薄気味悪く笑いたい。自分の作品に陶酔して、暗中模索の白昼行脚で、日常をすれすれの処で生きていたい。他人の顔など見たくないし、自分の顔も見せたくない。目など会わせたくもない。人の期待などかすりとも感じたくない。とにかく、脳みそをとろけさせて、ありゆる外敵から器具類の下の襞を隠したい。露ほども自らの真実を売り渡したくない。怒りという外套すら見に纏いたくない。とにかく、弧の身を無感動な肉体の中に包み、その内側で、パレードのようにぐにゃぐにゃとした揺らめく意思と機械的な返事の外側で、生死をさ迷うような濃密でどろりと粘り着く奈落のような底で物事を、真っ暗なその地面に空想を恥蹴飛ばしながら、ニタニタと笑う自分の声すらが漏れそうになるその現実との境目に戦慄と興奮を覚えながら、与えられた役割を唯一の頼みの綱として、そのプライドだけを人間性の担保にして、沼の底で、現実のぼんやりと朧気な輪郭を便りに日常と、世界と、社会と、他人と、関わらずに関わって生きていたい。誰にも興味を持たず、牙を向かない代わりに、誰からも興味を持たれないように生きていたい。そして、本当に存在が死んだ時に、存在しない者として、生きている彼らの生き生きとした日常との闘いを、足取りを、協調や共存を、尊重や蔑みや妬みや嫉妬を、蹴落としやお世辞を、労りや思いやりや気遣いを、優しさや愛情を、眺めてみたい。

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