77.三人の傭兵
さて、翌日、ジロとナムヒは案内人と共に早朝から出発し、目的地に到着した。お待ちかねのドチャクソドエロトラップダンジョンである。
「けっ、獣どもめ。このダンジョンは最難関と言われているダンジョンだ。行って殺されやがれ!」
「こいつ〜〜〜」
案内人もなんかクソエルフであった。ナムヒの蹴りを尻に目一杯受けると地面に崩れ落ちる。
「最難関というのは事実だろうな。異様な雰囲気を感じる」
ジロはダンジョンの入口の前に立ち、顔をしかめていた。だが見るからにドチャクソドエロトラップダンジョンである。ピンク色の靄がかかってるし、サキュバスらしき者が覗いているし、看板に『ドチャクソドエロトラップダンジョン』って書いているし、入口からしてもうあからさまにドチャクソドエロトラップダンジョンなのだが、二人は気が付かなかった。
「行くぞ、ナムヒ」
「ああ」
神妙な面持ちで二人はドチャクソドエロトラップダンジョンへと足を踏み込んだ。
ダンジョン内は罠が張り巡らされていた。催淫ガス噴出孔、異種愛好家の異常触手、服の繊維を好む異食症スライム、感覚遮断穴、バカでかい銛が飛んでくる普通に死ぬやつ……しかし、二人は熟練した冒険者であった。この大陸を徒歩で横断したような二人である、あらゆる危険、罠には敏感であった。
「そこ、気をつけろよ」
「ああ。あの先にもあるな」
「屈んで通ればいけるね」
二人は罠を潜り抜け、ドチャクソドエロトラップダンジョンの奥へと進んでいった。その道中、作者や読者が期待していることは一切起こることはなかったのである。どういうことだおい!!!! ふざけんあ!!!!!! それもそのはず、この作品はR-18作品ではないのである。掲載サイトがノクターンとかならいざ知らず……。
「単純な罠が多いな」
「そうだね。でも、油断は禁物だ」
二人はドチャクソドエロトラップダンジョンを軽々と攻略していった。しかし、最高難易度を誇るとされている理由が、最奥部に待ち構えていることを二人はまだ知らない。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
一方、ステラとアカネは窮地に陥っていた。正確には、窮地に陥りそうな雰囲気を感じていた。
「私達は6代目初恋ガールズ!」
「6代目初恋ガールズ!?」
食事中、謎の武装した女三人組が堂々と食堂へと踏み入ってきた。
「今食事中なんだけど、アイドルユニットが何の用?」
アカネは不機嫌そうに言った。
「アイドル……が何かはわからないが、私達は悲しみを背負った傭兵さ」
「初恋ガールズ……!」
「ステラ、知ってるの?」
「いえ、全然知りませんが」
「知らないんかい!」
初恋ガールズ、それは西方世界で名の知れた傭兵団である。ステラは知らないようだが。高額の報酬に見合う結果を出し続けてきた悲しみを背負った女性たちの優れた傭兵団。ちなみにガールズって歳じゃなくなった場合と次の恋を見つけた場合は脱退を命ぜられる。変な騎士修道会みたいな連中である!
「あたいはイモージェン。幼馴染の男と好き合っていたが男が病気になり関係を持とうとしても断られたが遺書にはあの世で会えたら一緒になってくれと書かれていたので死ぬまで操を守る女だ」
「切なっ!」
「オレはアストリッド、幼い頃に出会った初恋の男の子をついに見つけたと思ったらその子は普通に結婚して家庭を持っていた女だぜ」
「ま、まあ、幼い頃の話だからね……」
「私はリーゼル。初恋の男の子と旅をしていたところ、騙され洗脳されて強姦されたので初恋の男の子には相応しくなくなったので疎遠になった女です」
「え、辛すぎる……」
彼女らの力の秘密は悲しみであった。悲しみこそが彼女たちを強くするのである。しかしそういう事なら、アカネだって負けてはいなかった!
「私はアカネ、やむにやまれず身体を売った後初恋の男性と出会い旅をするもその男性は自分の母親と関係を持った女!」
「えぇ……」
アカネの悲しき現在にちょっとたじろぐ6代目初恋ガールズ。よく考えたらメチャクチャであった、主人公のやっていい所業ではない。
「不幸マウント合戦は不毛だからやめてください!」
一方で、特に不幸のないエルフの女は叫んだ。
「それで、結局何の用なの?」
「まず一つ、そこのエルフの女、ステラを殺す!」
「えぇっ!?」
「第二に、アカネ、あなたを初恋の男と別れさせる」
「それ今思いついたでしょ!」
「そんな碌でもない男と一緒にいるもんじゃねーぜ!」
尤もであった。とはいえ、ステラとしてはたまったものではない。
「わ、私、殺されるようなことしましたか!?」
「それは依頼主にしかわからぬことだ」
「お命頂戴します」
三人の傭兵は武器を抜いた。彼女らのチームとしてのバランスは最高であった。
「見たところアカネ、あんたは魔法使いのようだね」
「っ!」
レイピアを持つイモージェンはアカネの手や体つき、服装を見て、前衛職ではないと判断、そしてその態度から、何らかの戦闘力は有していると察知した。彼女は賢く、チームの司令塔である!
「オレのこの斧のデカさを見な、叩き切ってやるぜ」
身の丈よりも遥かに大きな戦斧を振り回すアストリッド。筋骨逞しい強靭な肉体を持つ彼女は強く、このチームの主力である!
「私のスピードについてこれますか?」
部屋中をただひたすら走り回るリーゼル。彼女は素早い。
「な、なんてバランスの良いチーム!」
「そうですかねぇ」
珍しく戦闘中にボケるアカネであったが、確かに脅威であった!
「アカネさん! 得意の魔法でぶっ潰、ぶっ殺してやりなさい!」
「物騒な方に言い直さなくていいよ!」
ステラから指図され、アカネは仕方がなく魔法を唱えた。
「"鎖状雷撃術"!」
アカネの手から放たれた鎖のような電撃が三人の傭兵を襲う!
「アストリッド」
「ああ」
雷撃の前にアストリッドが立ちはだかり、その体を盾にしてイモージェンを守った。彼女の体から血が吹き出ていたが、軽傷のようである。
「生憎、オレの体は頑丈でね」
「くっ、こんなとこであんまり強い魔法は使いたくないんだけど……!」
「アカネさん、頑張って!」
ステラはテーブルを盾にして隠れて応援している。
「"魔力の拘束"!」
光の鎖がアストリッドの足元から伸びる。アストリッドの脚に巻き付いた。
「この魔法、拘束系か!」
「"魔力の野太刀"!」
そして次なる呪文を唱えると、アカネの掲げた両腕から光の刃が伸びた。魔力によって形成された光の刃である。彼女は走り、その刃をアストリッドに振り下ろす。しかし、戦斧の柄に阻まれた。
「くっ、こんな技を持っているとは。しかし、パワーが足りねえな!」
「わわっ」
弾き飛ばされたアカネは、その勢いのまま壁に激突する!
「いったぁ……駄目だ、手加減して勝てる相手じゃない……!」
「ふっ、あたしたちのチームワークを見たかい」
「こんなチームワーク、今まで見たこと……」
「いや、アストリッドって人しか戦ってないですよね!?」
ステラのツッコミに一瞬黙り込む三人だったが、すぐに勢いを取り戻す。
「やれ、アストリッド!」
「おう!」
「おう!じゃないですよ!」
魔力の拘束を振り払い、アカネの方へと走るアストリッド。アカネは両手をかざし、呪文を唱えた。
「"ねこちゃんおいで"」
すると、彼女の手からねこちゃんが飛び出す。
「にゃぁ〜」
「なにっ、なんで猫っ!?」
ねこちゃんはアストリッドの足元に纏わりつく。彼女はそれを振り払えず、足が止まった。
「そうか、アカネさん!」
ステラはテーブルから身を出し、アカネの方へと走った。そして肩を貸す。
「ごめんねステラ、エルフって体頑丈だよね」
「え?」
そう言って、アカネは駆け寄ったステラの体を盾にするようにねこちゃんの方へと向け、その後ろに隠れる。
「重ね重ね言うけど、私犬派なんだよね」
「っ! 何かわからんが多分マズイ、アストリッド!」
「あぁ!?」
イモージェンが叫ぶも、もはやねこちゃんから距離を取るには遅すぎた。
「"魔力の閃光"」
「にゃぁ〜〜〜」
瞬間、ねこちゃんは眩い光と爆音を放つ!
「うおぉぉ!!」
「ぎゃっ!」
隠れていたアカネ以外、閃光に目が眩み、爆音で耳をやられた。アストリッドとイモージェン、リーゼルも揃って姿勢を保てず床に崩れ落ちる。ステラも崩れ落ちる。
「ふぅ、この手に限るね」
「あうぅ〜〜」
うめき声を上げるステラを引きずり、アカネは食堂を脱出した。
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