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国内の改革

 翌朝、お風呂で身体を洗う。

 ベトベトになっていた顔も洗うが、鼻の奥まで臭いが染み付いている気がする。


「おお、エッチな臭い」

 屈辱ではあるけど、性行為は好きだからね。

 あれもまた興奮する。


「さて、やることやりますかね」



 内政、軍事、そして王宮の秩序。

 やることは多く、時間は足りない。


「ディマンド公国を攻めるに当たって、アディグルと共撃する手筈は整った。帝国本国とアラニアも動かない。問題は救援してくる国に有能な将軍がいるそうよ」


 本当はここらへんは外交官とこがやってほしいんだけどなぁ。


 うちにはそれができる人材なんていないの。

 仕方ない。


「タチアナ様、率直に申し上げますが、現状のオーディルビスでまともに戦闘できるのは3000人程度しかおりません。まともにぶつかれば敗北は必至です」

 ティルアルハは申し訳無さそうに言うが


「3000を5000にするのにどれぐらいかかる?」

 本当は1万は欲しいんだけどなぁ。

 それじゃあいつまで経っても終わらんだろうし。


「……はい。5000なら……50日あれば」

 50日。

「30日でやりなさい」

「はっ!」

 2000増やすのに50日待ってたらいつまで経っても終わらない。


 そもそも船で移動するのだ。

 細かい訓練は船の移動中で出来る。


「足りない20日分は船の間にやれる工夫をしなさい。いいわね?」



 つぎー。内政。

「タチアナ様、申し訳ありません。まだ……」

「頼んだやつならすぐに出ないことは知ってるわ。分かったものから出せばいい」

 宰相との打ち合わせ内容は


「財政状況は確認したわ。南群諸島頼りの財政は有り得ない。この大陸だけでどうにか借金無しで暮らしていけるようにならないといけない」


 なにしろ火の車なのだ。父の治世で残した借金の金額も酷いが、現状では税金よりも国の支出の方が遥かに多い。


 借金は聖女様の大陸の各国からしている。

 とにかくこれを返さないと戦争もマトモに出来ない。


「はい。それは先王の時から様々手を打ってはおりました。しかしどれもなかなか……」

 酷いなりに内政がうまくいってたのは、この宰相は頑張っていたからなのだが、それでも無理だった。


「ええ。これに関してはあなたが努力したことは知っているし、今更新しい案を出せ。なんて言わないわ。私が案を考えた。これで上手くいける方策を考えなさい」


 渡した物を目を通す。宰相。

 口がふるえている。


「な!!! なんですと!!!??? 独自貨幣!?」

「貨幣じゃないわ。紙幣よ」

 この大陸にはこの国家しかない。

 治安は良好。密航船なんてわざわざ来るほど豊かではない。


 この世界の通貨は、金貨、銀貨、銅貨、鉄貨があり、全て帝国で造られている。


 この貨幣管理は厳格で、新たな発行、古くなった貨幣の交換などは例え戦争中でも確実に行われていた。


 貨幣価値が暴落しないように、常に全ての国と話し合って決める。

 それのおかげでこの世界の貨幣価値は安定していた。


「いい? ここ百年、貨幣価値は安定し続けているわ。そしてこのオーディルビスは密航もない。金と紙幣を等価にすれば混乱は起きない。殆どが国内消費に使われているだけだからね」


「つまり、国民の持っている貨幣を、紙幣と引き換えに徴収しようと……」


「ええ。まずはオーディルビスでやって、上手くいけば南群諸島ね。オーディルビスは閉じた国。実験やるには最適」


「……そうですね。確かに意外と混乱は起きないかも……問題はどうやって貨幣を紙幣に変えてもらうかですが」


「緩やかでいいわ。国からの支払いは紙幣でやるし、各店は紙幣での受付をするように通達するぐらいで」



 緩やかと言っても紙幣導入は混乱は多少はすると思っている。

 それでもこれは断行しないといけない。


 国が独自の貨幣を握っていればやれることが飛躍的に増える。


 さて、次。

 これが問題。


 王宮の秩序。王に敬意が無い状態が続けば、他の王族や下手すれば大臣あたりからクーデターをされかねない。


 深刻な話なのだ。

 そして私は基本的には国外に出かけることが多い。


 いる間に王宮の秩序をまとめあげないと。


 とりあえず軍の粛清からしてはいるが、召使いあたりもなー。

 あまりにも酷いのが多い。



 それは食事の時に起きた。

 私はお付きの女と一緒に魚を食べていたのだが、その魚の一匹が焦げていた。


 真っ黒。こんなの出すんじゃねーよ。と叱れば済むのだが、ちょうどいい。


「これ作ったのだれ?」

 私は座った目で調理人を呼ぶ。


 来たのは若い女だった。

 呼び出されて戸惑っている。


 焦げた魚をそいつの前に出し

「これ、あなたの中で美味しいものなの?」

 王の敬意が無いというのは細かいところで出てくる。


 たまたまのミスならば責めないが、今回の件は単なるやっつけ仕事だ。


 王に出す料理なのに毒味もなければ、マトモな調理チェックもされない。


「も、申し訳ありません」

 とりあえずヤバいのは分かったらしい。


「一度のミスでは殺さないわ。でも王にこんなもの出したら他国なら殺されている。緊張感持って仕事してね?」

「はっ! はいっ!」


 怯えた顔をする調理人。

 こいつは「ミスをした」というのを即座に理解できた程度の頭はあったが、他の連中はそれすら分からないのも多い。



 料理長を呼び出したら、こいつは分からないタイプだった。


「そんな、王様。たまにはそういうものも混ざります」

 いきなり言い訳するおっさん。


「たまには、では困る」

 あ、こいつは殺そうっと

 と私の中で結論。


 ブヨブヨしたおっさんというのも、私の美意識から考えると有り得ない。


「しかし、ロウリィは新人でして」

「本来はそのミスを止めるのがあなたの立場だ」


 手のサインで兵士を呼ぶ。

 焼き魚が焦げてたぐらいで人を殺す。

 横暴? いえいえ。 このブヨブヨは正しい王宮の生贄とするのである。


「私の治世は、ミスは責任者が取る」

 ちょうど兵士が来る。


 青ざめた顔をするおっさん。

「王への不敬は死罪だ。あなたの死はその事例として長く伝えておこう」


「ひっ!!! そ、そんな!!!」

 叫び声と共に


『ザシュッッッ!!!』

 斬り捨てられる男。


「よくやりました。綺麗にしなさい」

 さて、ムラムラしてるから性行為でもしますかね。



 召使いのマルウェスとラミーナを呼んで抱き合っていた。


 二人とも女。

 私は男ともするし、女ともする。

 基本的には女かな?


 あの学園生活は歪ませたよ。隠れて女同士で慰めあっていたからね。


「さ、二人で舐めてね」

「はぁい♡」

「一生懸命舐めます♡」


 やっぱり私は王様なので、奉仕されるほうかな。たまにはああやって聖女様に奉仕するのもいいけど。


 あのエッチな臭いなかなか鼻から抜けなくて好きだし。

 気持ち良くなっている間に聞くべきことを聞きますか。


「マルウェス、あなたの知識が必要」

 このマルウェスは見た目の年齢と実年齢が違う。


 学園で知り合ったが、私を支えるために送り込まれた人材。送り込んだのは、先代聖女様の重鎮ジュブグラン。


 スパイとして帝国を荒らしていたらしい。

 今はその知識が必要になった。


「はいはい。戦争ですものね」

 ディマンド公国を攻めることにしたのもマルウェスからの情報が決め手。


 マルウェスはディマンド公国の近隣国、ガルド公国に潜入していたのだ。


「ディマンドの乱れは深刻です。元々は帝国本国からの支援でどうにか維持できていたような国。それが、帝国を乗っ取ろうとするアラニアの動きで支援が止まった。攻めるには絶好の時」


「ええ。そこまでは聞いているわ。聞きたいことは別。もし神教がうちにちょっかいかけるとしたら、ディマンド?」


 ちょっかい。これはお兄様の予測。

 あの流行病はなんだったのか。


 聖女様の大陸で流行り、オーディルビスでも流行ったが、何故か帝国のある大陸では流行しなかった。


 それを探らないといけない。

 お兄様の復讐心はそれを解き明かすことで晴れるだろう。


「沿岸国に反聖女様勢力はたくさんあります。申し訳ありませんがそれは分かりません」

 マルウェスは私に奉仕しながら答える。


「また、流行病の策略に関しても、当時私は帝国でスパイをやっていましたが全く気付きませんでした。近隣のガルド公国にいたわけで、大規模な策略があれば気付いていたかと思います」


 確かにね。大陸中にバラまく流行病の策略なんて、かなり動きがあるはずだが、それを漏れ聞いたという話はない。


 先代聖女様も「あれは自然発生」としていた。


 だから普通に考えれば策略足り得ない。

 ただ探り続けないと。


「分かったわ、ありがとう。」

 ラミーナが私の胸を触ってくる。

 まだちっちゃいんだよね、おっぱい。別にコンプレックスとか無いけど、年齢は二個下の聖女様の方がおっぱいあるのはショックだったなぁ。



 さて。

 少しすっきりしたので

「バディレスお待たせー」

 ロープでグルグル巻きにしているバディレスに向き合う。なお全裸です。

 なんか勃起してるね。


 流行病云々はワザと聞かせていた。

「んで? あんたはなに知ってるの?」

「し、知ってるわけないだろ!? あの病は自然発生だって……」

 喋ってるバディレスの股間を思いっきり踏む。


「ひぎぃぃぃぃっっっ!!!」

「喋んないと金玉つぶすよー」

 快楽を感じないぐらい強く踏む。


「うぎぃぃいいいっっっ!!!!!」

 実際問題バディレスはなにも知らない。

 それは今までの尋問でも明らか。

 これは遊びですね。


「はい、じゃあ自白するまでラミーナは踏んでてね。マルウェスはいくよー」

「はーい♡」



 私が即位してから初めて、南群諸島からの税金が届いた。


「どう?」

「はい。書類上ではごまかしは見つかりませんね。深く探れば分かりませんが、誤魔化そうという意図では作られていません。かなり分かりやすい表記ですし……これですと、例え漏れていてもそれはミスとかそういうものでは」


 なるほどねー。

 流石に私は税金云々は分からないので、税務担当に見てもらったのだが、真面目にやっているようだった。


「それはなにより。この前行った時に脅したのが良かったかな?」


 南群諸島に聖女様と行ったときに色々話をしたのだが、南群諸島の民は純朴と言っても良いぐらいに素直だった。


 海上貿易の交易地ではあるのだが、基本的には補給と物々交換の地だ。こんな純朴さでも上手くいっていたのかもしれない。


 とりあえず戦争するには必要な金額は揃った。


「後は兵士の訓練待ちね」



 兵士を運ぶ船はだいぶ前から造らせていた。

 そっちは間に合いそう。


「お兄様にお会いします。今度こそ大丈夫でしょうね?」


 お会いしたお兄様はちゃんとお世話出来ているようだった。


「お兄様、ご不便はありませんか?」

『ああ タチアナ おかげで 快適だ』

 それは良かった。


「お兄様、これから帝国の一国、ディマンド公国に攻めあがります。ただ流行病の証拠は現状なにもありません。バディレスも本当になにも知らないようで……」


『……そうか 共に攻め上がれない この身を 呪いたいな タチアナ 頼んだ 流行病の件は もう少し探ってくれ』


「かしこまりました。お兄様」


 今日はこれぐらいでいい。

 喋ってるだけでお兄様の体力が失われていくのがわかる。


 あれぐらいで限界だね。


 部屋の外ではビザルディが怯えた顔で立っていた。


「よくやったわ。この体制でよろしく。今の体制で足りないものはある?」


「い、いえ! ありがとうございます!」


 みんなこの娘みたいに、一度脅したらすぐ理解してくれるといいんだけどなぁ。

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