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天の子

 エウロバが帝国本国に乗り込み一年。

 オーディルビスによる侵略戦争も落ち着き、神教の混乱と収まってきた。


 皇帝は危篤状態のまま一年が過ぎ、実務は全てアラニアの公王エウロバが行っていた。


 そんな状況のなか

「あのビッチ、もう出産なのか」

 エウロバは爪を噛みながら言う。


「……早産ですが、それでも赤子に異常は無いそうです」

 ジェイロウ。


 ジェイロウはこの一年、エウロバの護衛として殆ど新都にいた。


 神教の反乱を押さえ込んだりに出陣したが、それもすぐ。


 流石に腕がなまると、一年を期にドクドレと交代することになっていた。


「出産には立ち会われないので?」

 既にマヤノリザは立ち会いに行っている。


「……もしマヤノリザそっくりだったら、その場であのビッチ蹴り上げるかも知れんからな。怖くて行けぬわ」


「……いや、マヤノリザそっくりでも、それは母の血筋ということで納得はされますよ」


 二人で話していると

『産まれた!!!』

『男の子だ!!!』

『陛下にお伝えしろ!!!』


「……五体は、満足そうだな」

 エウロバは実際は障害に怯えていた。

 なにしろ近親相姦なのだ。


 だが、聞こえる声にそう言った戸惑いの声はない。


「……そうですね。エウロバ様、会いに行きましょう」

「ああ。陛下のところにいく。あいつらも連れて来るだろうからな」



 産まれたばかりの王族の赤子は、まずは皇帝が祝福する。

 皇帝は寝たきりだったが、その祝福の儀式をやることには執着していた。


「……間に合ったか……」

 皇帝の寿命はもうない。


 後継指名した赤子は死ぬ前に見ておきたい。


 そして連れて来られたら赤子。

「陛下! 元気な男の子です!」

 女官の嬉しそうな顔。


 そして、布に包まれたその顔。

 それを見てエウロバは絶句した。


 皇帝は

「……おおお!!! 父、先帝そっくりではないか!!! でかしたぞ!!! ディルアハウエル!!!!」


 先帝そっくり。

 赤子の顔は、皇帝の血筋の顔をしていた。


 そして


「……へ!!! 陛下!!! 大変です!!! ディルハウエル様が!!! お亡くなりになりました!!!」


「……は?」

 エウロバは、この展開についていけない。


 ディルハウエルとビルナの子が皇帝の父そっくり。

 だがエウロバは、ビルナの子はマヤノリザの子だと信じていた。


 そしてディルハウエル。

 ずっと寝たきりだった男。


 30年ずっと寝たきりだった男が突然死んだ。

 自分の子が出来ると同時に。


「……ま、まさか!? 天の子か!!!!!??? 伝承通りか!!!!!」


 皇帝の絶叫に、天の子? なんだそりゃ?

 という顔をするエウロバ。


 その答えはすぐに知らされた。


「帝国が滅ぶ時、天から子が授かる。その子が帝国を蘇らせる。天の子は、天から来て石像より産まれる……」


 皇帝の漏れ出る言葉。


「……ファック(馬鹿か)???」

 意味が分からず思わずスラングが出るエウロバ。


「ディルハウエルが生き延びたのもこの日のため…………グフッッッ!!!」

 突然口を押さえ、口から大量の血を吐き出す皇帝。


「……っ!!! 医者だ!!! すぐに呼べ!!!!!」

 エウロバは慌てて医者を呼んだ。



 =====================


「うーむ。まさかすぎですねー」

 聖女ミルティアは大きく腕を伸ばす。


「天の子ですって。ルピア。伝承ってすごいですねー」


「……あの、ちょっと食べ過ぎでは?」

 ミルティアはさっきから肉を丸かじりしていた。


「らっれ、おいひいれふもん」

「はいはい。食べ終わってから喋ってくださいね」


 モグモグと口の中の肉を咀嚼し終わると


「皇帝が死にました」


「……っ!!!」

 ルピアが驚いた顔をする。


「別にいつ死んでもおかしくはなかったんですけど。後継をその目で見てから死んだんですから幸せですね」


「……そう。いつか人は死ぬものね……」

 ルピアは皇帝を知らない。だが、人が死んだと聞けば悲しむ。


「しっかしエウロバさんも混乱してますねー。私もビックリしてますけど。石像から子供って意味分かんないですねー」


 聖女ミルティアは天井を見上げながら

「まあ、ディルハウエルとその子供は私の仕業ですけどねー」


 ミルティアは愉快そうに笑った。


 =====================


 グラドニアとフルノルゼ。取りあえず国を分ける意味がない。

 一個にする事にした。


「ここはオーディルビス王国の属国、グラドニア公国として再出発するわよ」


 フルノルゼは王族全滅してるし、小国と言うこともあって、無理に残す必要がない。


 あくまでもグラドニアとして再出発させる。


 内政も人が足りないし、軍も足りない。

 ディルアルハ一人に頼りきりは有り得ない。


 人材育成はいくらやっても足りない。

 だが


「グラドニアは肥沃な大地に恵まれている、必ずやオーディルビスは強国になるわよ」

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