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駆け抜ける軍隊

 ヘレンモールは未だにディマンド公国から出れなかった。


「オーディルビスは明らかにグラドニアに矛先を変えた! これ以上ここに私がいたところで……」

 ヘレンモールは困惑していた。


 なぜここまで引き止められるのか。

 ディマンド公国は嫌がらせで止めていたわけではない。本気で怯えていたのだ。


 その原因は

(にははー♡♡♡ ドクドレ様にほめられちゃったー♡♡♡)

 ドクドレの部下で、アンジ公国の軍に紛れ込んだスパイ、アレウネス。


 アレウネスはディマンド公国の兵士達に

「オーディルビスの勢いが凄い。我等と共に戦い抜こう」

「オーディルビスの勢いはアラニア並みだ。舐めてるとやられる」


 など言いふらしていた。


 それによってディマンド公国の兵士及び将軍は完全にビビってしまったのだ。


 ヘレンモールも、一部兵士が危機感を煽っているまでは抑えていたが

「……敵を舐めてかかるわけもいかぬ。当たり前なんだが……」


 アレウネスのやった事は単なる危機感ではなく、恐怖心を植え付ける事だった。


 アンジがずっと対立していたアラニアの残虐さを例に出し

「こうならないように国を守りましょう」

 としていたのだが

 聞いた方は「そんなヤバいことになりたくない」となる。


 アレウネスは当然知っていてやっている。

 ヘレンモールの足止めの為、ドクドレの意を受けてしていた。


(今回もがんばるぞー! おー!)

 アレウネスの足止めの仕事はもう終わる。


 オーディルビスがグラドニアを落とせばもういい。


 アレウネスの次の指令は

「オーディルビスに入り込む。早めにグラドニアに行かなきゃねー♡」


 アレウネスは静かに軍から消え失せた。


 =====================


 グラドニアの王都を一気に落とす。

 まずはディルアルハに伝えた。

 次は兵士達にだ。


 私は兵士達を一同に集め演説をしていた。


「私は女だが、王としてここにいる。本来は兄が継ぐ予定だった。その兄は病で死んだ。残った兄ファレンスも勇猛に戦い死んだ」


 兵士達は私の話に聞き入っている。


「何故、兄達が死んだか。それは帝国を操る神教が原因だ。神教の陰謀により、我が国に流行病がばら撒かれた。この事を元神皇が吐いた」


 この言葉にざわめく兵士達。

「兄ファレンスが戦死した理由は、その仇を取るためだ。聖女様に願い、寿命と引き換えに仇を取ろうとした。兄の願いは、我がオーディルビスが強国になる事だ。強国になってこそ、真の仇が取れる。今、帝国に元神皇の身柄を求めているが、弱国のオーディルビスに応じる訳もない。この戦は!」

 私はトーンを強める。


「流行病で死んだ者達への弔いの戦だ!!! 我が兄! 我が国民の仇を取る! その為の第一歩だ! これより我等は一気にグラドニアの王都を攻め落とす! 危険は承知だ! だが! 安全な戦など有り得ない! 安全を求めた結果が、今のグラドニアの軍の惨状だ! 我等はあの腑抜けとは違う!!! 我等は強国に上り詰め!!! 死んだ人々の無念を晴らす!!!!」


『うおおおおおおおっっっ!!!!』


「これより全軍、王都に向かう!!! 我らに退路などない!!! 攻め滅ぼすか!!! 仇も取れず惨めに死んでいくかだ!!! 必ず勝つぞ!!! 全軍進撃!!!!!」




 白昼堂々。

 我等は黒旗をかかげ、軍港を守る城壁をうって出た。


 白兵戦可能な300人が陣形の外側にいて、残りは内側。


 陣形を崩さず一気に駆け抜ける。



「なっ!?」

「きっ! きたぞぉぉお!!!!」

 グラドニアの兵士達が怯えるが、私達が目指しているのは、王都。戦う気はない。


 陣形の先頭が、敵兵に向かうと、敵兵は勝手に避けていく。


 深追いすることもなく、私達は通り過ぎていく。



「……え?」

「……な、なに?」


 敵兵の戸惑った声がする。

 ここからだ。


 私達は殆ど馬を使っていない。

 全員が走っている。

 馬は武器や食糧を引くためだけに使っている。

 兵士全員分の馬などいないからだ。


 騎馬兵に向かわれれば追い付かれるに決まっている。

 だが、私は

「こいつらは絶対に追ってこない!!!」

 これに賭けた。

 まずは軍港を確認して占拠することを優先する。


 とは言え、ずっと走り続けるのは現実的ではない。

 ある程度で休ませないといけないが、休めばその分敵が準備出来てしまう。

 流石に王都に馬で連絡ぐらいはするだろう。

 それよりも早くつかないといけない。



 事前にディルアルハと相談した上で決めた、中間地点の森に向かい走り続ける。


 すでに汗だくでキツい。

(くっそ!)

 だが王である私が馬車という訳にはいかない。これは初陣。

 私も兵士と一丸となって戦う気概はみせないといけない。


 兵士達もかなり辛そうだ。

 それでもまだ森は遠い。


 そこに

『サービスですよー』

 頭に響く声。


 これは……


「か!? 身体が軽い!!!」

「息が! 苦しくないぞ!!!」


 そう。疲れが吹き飛んだ。

 これは聖女様の祝福。


 この人数の兵士の疲労を癒すとか、どれだけ化け物なんですか聖女様。


 ああ、きっとやろうと思えばなんでも出来るんだろうな。


「聖女様の祝福だ!!! このまま走り抜けるぞ!!!」

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