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将軍と参謀

「……あのねぇ……」

 私は呆れていた。

 お兄様とディルアルハが揃って街に女を買いに行ったらしい。


「どっちも緊張感があるのか、ないのか」

 とは言え、私に聞かれても許可は出せなかった。


 今は遠距離会話装置で宰相と相談しているが

『娼婦は定期的に避妊します。万が一孕んだとしても、それがファレンス様とは誰にも分かりません。まあそれぐらいなら見逃してあげても……私が恐れていたのは、正式にファレンス様と逢瀬をした女が妊娠することです』


 なるほどね。

「分かったわ。じゃあ見逃す」

『……お身内の事で口を挟み申し訳ありません』

「いえ。今回の件は本当に素晴らしいわ。あなたの警告なければ、またビザルディに媚薬ぶち込んで普通にセックスさせてたもの。これは長年に渡りオーディルビス王国を見守ってきたあなただから言えたこと」


 まあお兄様とディルアルハのいない間だからこそ出来ることもある。


「副官を呼びなさい」


 我が軍は有能なディルアルハに頼りきりな現状がある。

 それでは色々困る。そもそもディルアルハは将軍というか参謀向きなのだ。


 今戦にあたり、ディルアルハ以外の人材を探さないといけない。


 ディルアルハの秘書みたいなことをやっている副官がくる。


 基本的には軍隊は男性がやるものだ。

 軍に女性と言えば軍属娼婦ぐらいしかいない。

 あとは精々諜報。


 しかし、オーディルビスは女性も漁や狩りで勇猛であり、珍しく軍に女性が何人もいる。

 この副官も女性。


 でも短髪で見た目は女性と分かりにくい。

 顔は整っているので見た目美男子に見えなくもないけれど。

「タチアナ様、呼ばれましたか?」


「ええ。あなたから見てディルアルハ以外に使えそうなやついない?」

 その言葉に困惑する副官。


「……また、難しい話をされますね……」

 割とズバズバなんでも言うため、ディルアルハが任命したのだが。


「ディルアルハ一人では困る。後継はもちろん、そもそもディルアルハは参謀的な立場が優れているわ」


「そーですねー。まったく同感です」

 うんうん、と頷く副官。


「先に言いますと、うちに将軍格の人間なんて一人しかいないです」

 一人。

「いるの!?」

 一人で十分だ。そいつを将軍に育てて……


「私の目の前に」

 …………


「王様なんだけど、私」

「他にいないと思います。現にタチアナ様が戦場離れたら軍の動き無くなりましたからね」


 それはそう思った。

「自律的に動け」と言ったのに動かなかったんたよね。

 それじゃ困るんだけど。


 ディルアルハは有能だと思うが、やはり参謀タイプなのだ。

 それでは色々困る。


「探しては見ます。ただ、まあいないと思いますよ? スカウトとかが現実的では?」

 スカウト……


「南群諸島とかで?」

「あとはグラドニアとかでですかね? この後街を占領するでしょうし」

 なるほどね。


 =====================


 ファレンスとディルアルハは近くの街に潜り込んでいた。


「せっかくですから上級娼婦がいいとは思いますが」

「ああ、任せる」

 ファレンスは王族なので街で女を買う経験がない。

 そしてディルアルハも


「……俺も経験ないんだけどなー」

 既に結婚はしているが、無口で常に刃物振り回すような女性である。

 海の漁よりも、山から降りてくる獣を狩ることが得意で、よく猪を狩っては一人でバラしていた。


 そんなワイルドな女性なので性行為も数回しかない。

 そして女を街で買うなどしたことがない。


 とは言え王族よりかは詳しい。

 ディルアルハは街の情報屋を捕まえて高級娼婦の店を教わった。



 この世界の高級娼婦と呼ばれる階級は、娼婦自身の意志がないと出来ない。

 まずは客が娼婦の関心をひいてから、やることになる。


 大抵は数日通いつめたりする必要があるのだが、そんな余裕はない。


 そのあたりはディルアルハは知っていた。

 その為、情報屋に「金を積めばすぐにやらせてくれる人を教えて欲しい」と依頼していた。


 その相手。

「……出来るだけ、……その若い方が……」

 ファレンスの趣味は貧乳。

 幼い顔の少女が好みのようだった。


 それでディルアルハは探していたのだが。


「……ちょっと特殊なのがいます。金を払えばすぐに出来ますが……美人で幼いのは間違いありません」


「特殊? どのように特殊なのだ?」

 この短期間で探す女だ。多少の条件は構わないと思っていたのだが


「もう妊娠しているようなのです」



 ディルアルハはすぐにファレンスに報告した。

 ディルアルハも「下手に後継が出来たらマズい」ぐらいは知っていたのだ。


 既に妊娠済みの少女ならば間違いなく問題にならない。


「少し特殊すぎますが、その。金を積めばすぐにやれる高級娼婦も少なくてですね」


 中級娼婦という階級ならば、金を払えばすぐにやれる。だが、王族の相手が出きるような教育は受けていない。


 その少女は上級娼婦であり

「見た目は10ぐらいにしか見えませんが、実年齢は15を過ぎております。鬼族という特殊な血で、長命なのです。幼い身体でテクニックはベテランと、好評を受けております」


「そうか! それは楽しみだな!」

 にっこにっこしているファレンス。


 既に娼館に案内されていた。

 そこに現れたのは


「はじめまして! ご指名されて光栄です! リミと申します!」

 見た目10歳ぐらいの少女だった。

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