出逢い 3
大賢者グリウスは頭を抱えていた
ほんの1時間前には師と相談し帝国皇帝に献策するつもりだった
それがおてんば皇女のせいで無に期してしまった
諫める者がおらず我儘放題に育った皇女をなんとかせねばと
皇帝にも何度か伝えていたが、遅くに出来た娘を猫可愛がりするだけの
皇帝では抑える事も出来ず、ついには軍隊まで傘下に収め我が物顔で
街を練り歩く始末
守護者アンゼリカ様のお声を聞く事ができ、御神託を受けれる大聖女の力も
授かり怖いもの知らずのやりたい放題の皇女であった
あまつさえ、獣人族を忌み嫌い奴隷化やスキル奪いの糧としか思わない言動に
師にお伺いをたて、ご相談をと話を進め諫める方法を行動に移す前に
まさに暴発とも言える行動を起こしてしまった
挙げ句の果てに守護者アンゼリカ様まで呆けて師を見誤る始末
頭を抱えるしかないグリウスであったが、師の怒り具合に魂を飛ばす思いで
事後の対応に迫られる
ともかく生き残った人々を首都に集め、生活を再開させる事を最優先に
数少ない官僚達や貴族達に檄を飛ばし収束を図るつもりであった
皇帝や皇女は居ない、中心となって人々を導く役目を追ってしまった
グリウスには支えとなる柱が必要であったがアンゼリカ様は霧と消えてしまった
人族の守護者たるアンゼリカ様はおそらく数千年は顕現されないと思われる
人々はアンゼリカ様の神殿に集まり、一心に祈りを捧げ助けを求めている
昼夜を問わず、三日三晩祈りを捧げて疲れ果てもはや神に見捨てられたと
感じていた時に、天より光が差し込み神々しいまでの光の中から
1柱の女神が現れた
「心正しき人達よ祈りなさい
私は、カテリーナ
あなた達の願いに打たれて顕現しました
アンゼリカ様は修行の旅に出られましたので
これからはカテリーナがあなた達と共に歩みます」
数人の天使を従え、現れた守護者カテリーナに
生き残った人々は更なる祈りを捧げる
カテリーナは
「天の父上は、心正し者を残しました
大賢者グリウスを中心として正しい生活を始めるのです
力ある者は力なき者の為にしの力を使い、力なき者は
力を集めて皆で共に生きて行く事を見守り手助けする為に
私は遣わされました」
そうして2000年が経った
カテリーナはアンゼリカの末路を当然知っている
アンゼリカの様に放漫経営は出来ないが、さりとて積極的な補助も
しかねるのでどちらつかずの守護者にしかなれなかった
力を与え、罰を与えるにしてもどうしても父の機嫌が気になる
人族に願われ力を与えても、より以上の力を欲して与えてしまう
与えたことで父よりお叱りが来ないので、ここまでなら大丈夫と
少しずつ許容範囲を広げてしまった
人族が作り上げた魔族との戦いも、このままでは人族が滅亡してしまう恐れから
色々なスキルを授け、手助けをしてしまう
そのうちカテリーナを信仰するが、人族は主義主張の違いから派閥を作り
国を割り、4つの国へと分かれてしまった
国は4つになったが信仰は1つなのでカテリーナとしてはどの国の祈りにも
応えなければいけない
あっちは良いがこっちは駄目では人族の守護者とは務まらない
大賢者グリウスが生きていた頃は、そっと意見も聞いたりしたが
所詮人なので死んでしまう
グリウスの死の際には父上も立ち合い見送ったと聞いた
もう大賢者などと言う者も現れず、亀の様に首をすくめながら願いを聞き入れるだけの
守護者になってしまっていた




