出逢い 2
大森林に足を入れて、3日が過ぎていた
目指すは最奥のドラゴン族の住処である
最奥には伝説のドラゴンが棲み祈りを捧げると願いを聞いてくれる伝承がある
なんとしても辿り着き、我らが悲願を達成する為に祈りを捧げねばならない
しかし、人族のチームは傷だらけであった
森に入るまでは大したモンスターも現れず、チームも楽勝気分で進んでいたが
大森林に足を入れると、途端に自分達以上のレベルのモンスターが現れ始めたのだった
はるか昔に人族の殆どが死に絶えた事があり、それから懸命に努力して
人族は再び繁栄を迎えていた
主義や信仰により人々は4つの国に分かれたが、それでも懸命に生きてきた
そう、魔族の侵攻さえなければ…
3000年前に人族は魔物の能力を人に取り込む実験を繰り返していた
人にはわずかであるが魔力があり、知恵があった
魔物には魔力がありスキル(技)が備わっていた
それを奪い、人に合わせることによって更に強くなろうとした
聞くに堪えない、見るも無残な実験を繰り返して手に入れた者は
魔人と呼ばれた
魔人は、人のことばを理解し使役することが可能な存在として
人族の生活を助けた
魔物に怯え、小さな村単位で暮らしていた人は、強大な力を背景に魔物を駆逐し
村から街へ、そして都市へと進化し強大な帝国を作り上げた
帝国は人の思惑により分裂を繰り返し、吸収され5つの国に分かれ
魔人成型で各国は競争し、しのぎを削り争うようになっていった
しかしながら魔人とは人の知識を有し、魔物の力を持った者
自然と自我が現れ、自分達よりも劣った人族に従っているわけもなく
5つの国の3つから反乱が起きて1年経たずに人族は駆逐され生き残った人は
奴隷となりまさに天国から地獄の生活を味わうようになった
残った2つの国は、同盟を結び団結して生き残りを賭けた戦いをした
魔人化するのではなく、技だけを手に入れる術を手に入れていた国は
残った2国だけであった
体力的には魔人には敵わないが、数なら人族の方が多いので
なんとか魔人を撃退し、2国は生き残った
それから1000年の間、魔人から奪った知識と技を蓄え
改良して魔人族から身を守り、昔の人族の繁栄を取り戻す為に
魔法と云うものを手に入れるに至った
魔法を手に入れたことにより、身体強化や武技、魔法を操る者が現れ
更には先天的に優れた能力を持って生まれてくる者も現れた
能力により生まれた彼等は、勇者、聖者、賢者などと呼ばれ
魔族や魔物、獣人族との闘いに出向き、勝ち負けを繰り返していた
そして2000年前に突然人族の9割が消えると云う大災害が起こった
突然に人族が滅ぶと云う大厄災の原因は不明のまま、人族は生き地獄の
ような暮らしを重ね、当時1番大きな国であったアストリア帝国の首都に
向かうのであった
アストリア帝国には、大賢者グリウスが生き残り人々を助けていると
生き残った人々は風の噂に聞いていた
守護神アンゼリカの聖名を一心に唱えながら、魔獣と戦い山を越え
森を抜けて首都に向かう人々が集まっていた
幼子を抱く母、足腰の弱った老人、病気の者、それらを内に入れて
外周を屈強な男が囲み周囲に警戒しながら首都に向けて進んでいくのであった