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復活の日 3

気が付けば私は城の中に居た

それはいつもと変わらぬ風景と雰囲気で解る

そして遠くから聴こえる鎧の擦れる音…


「誾千代様、御在室でござるか?」


そう言って部屋の前まで来たのは家老の望月だった


「はい、おりまする」


そう言うと望月は襖を開けて縁で頭を下げて


「大友の軍勢は城を完全に囲んでおります

 これよりは籠城戦となりますが恐らく一月とは保ちますまい

 殿が間に合えば宜しいのですが」


「殿におかれては、天下の戦の最中であろう

 我らはこの城を枕に討死してでも大友に目に物を見せてやるのじゃ」


「ですが誾千代様、お身体のお具合も宜しからぬのに

 戦に赴く訳には参るまいと存じます

 我らが逃げ道をお作り致しますのでその間に落ち延び頂ければと」


「なんの、我が立花の力を最後の最後まで身に染みて貰うのじゃ

 なんならわらわの単騎駆けでも観ておるが良い」


「なんと御おされるやら

 我ら一同、何が有っても誾千代様について参ります

 領民も奮い立っております

 総員火の玉となって大友族を叩きのめしてやりましょうぞ」


「うむ、その心意気や良し

 わらわの命はこの領地と共にある

 ですが、領民は国の宝じゃ

 出来るだけ戦には参加せずに山に隠れて置いてある貰いたいものじゃ」


「誾千代様の出陣を聞いて隠れる者などこの里には居りますまい

 では明日の夜明けに一斉に掛かると致しましょう」


「それで良い、殿は居られぬが立花の名に恥じぬ戦を後の世まで響かせるとしよう」


そう言うと、望月は下がっていった


あれは幻であったのか?

深い森の中で出会った5人の女神様方、そして伝説の神龍様方

さらにそれを統べられる主様と名乗るお方

我が殿と比べても見劣りどころか殿が霞んで見える程の男丈夫

そんな事を考えていると座敷の奥で異変を感じる


大友の曲者かと懐剣を手にしたが壁一面が光り輝きあっと思って眩しさのあまり目を瞑り

開けた所には幻の中で見た黒い髪の女神様が現れていた


慌てて座を降り、跪く


「誾千代殿、驚かせたかな?

 心配はいらぬ

 全ては主様の思し召しとしてその身を捧げるのじゃ

 長い時を経てこの地に主様がご降臨なされるであろう

 その時にお迎えするのは誾千代殿の子孫となろう

 誾千代殿にはお子は居られぬが姉妹の子が立花の家を継いでくれる

 其方は安心して天寿を全うするが良い」


「有難きお言葉、あの幻のような世界は誠であったのですね

 家の存続は武家の望みではありますが私の様な女では望みも御座いませぬ

 せめて殿との間にお子でも授かって居れば良かったのですが

 叶わぬ望み

 女神様の仰られる通り我が妹の子が立花の家を継ぐとなれば

 妾も安心して逝けまする」


「うむ、それでじゃが誾千代殿

 主様から頂いた紅をじゃな

 見せていただけぬか?」


「は?、あの紅でございますか?」


「そうじゃ、我らが思う以上にあの紅には主様のお力が篭っておる

 その内容を確かめねばその方らも安心出来まいと思うての」


「成程、それではこちらで御座います」


そう言って懐から大事そうに取り出した合貝を受け取った女神が

驚愕の眼差しで見つめている


「これ程のお力をお籠めになられるとは主様はこの世界に来られる事か…

 それならばあり得るが

 しかしながら少し酷でもあるのう

 じゃが魔の気配も感じる故仕方なき事か」


そう言いながら合貝をお返し下さった


「誾千代殿よ

 我はこの世界の神に全てを伝えた

 この世界は近い将来に魔の者に襲われるであろう

 その対処も含めてこの世界の神に力を与えた

 その力を持ってしても其方が授かったお力には及ばぬ

 これから其方は長く苦しい道を歩むであろう

 それを許してくれとは言わぬが我は其方に詫びをせねばなるまい

 全ては主様の恩為、其方の命と引き換えに我が立花の繁栄を約束しよう

 遠い未来に必ず主様はこの世界に現れなされる

 その時こそ其方の命をお捧げするのじゃ

 その日まで其方はこの地に封入される事になる

 向かいの山の麓に屋敷を構えるが良い

 どの様な力もそれを妨げる事は出来ぬ

 そこで主様のご降臨をお待ち申し上げるが良い

 主様の僕を其方に送っておく

 家紋に龍を入れて新たな立花の旗印とし

 その日を待つが良い

 僕は影に日向に其の方らを護るであろう

 勿論我も見守ってるでな」


そう言って女神様はかき消えていかれた


立花と大友戦は回避された

大友がこの地を避けて迂回したせいで戦は免れた

そして誾千代が34歳の年家族に見守られてその生涯を閉じた


その年から立花家は家紋に龍をあしらい城の向かいに屋敷を構えた

徳川の世においても立花の地はどうあっても制御出来ぬ地となり

誾千代の夫である宗茂も説得に赴いたが誾千代様の遺言を盾に取り

一切の説得や脅しにも動じず不入の地とされ立花の家からは禁足地とされた


260年の時を経て、一切の出入りを禁じられた立花の地はすでに滅んだとされていたが

西南の役に合わせて官軍が侵攻するも戻ってきた軍はいなかった

西南の役後、数回の朝敵として征伐が行われたが全て敗北

ただ一人戻ってきた兵隊が使者となり官軍に伝える

近いと言うことで加藤家が使者となり立花の地に入り驚愕の事実を伝える


使者によれば立花の地には小さな町があるだけで男手は殆どなく

女ばかりが多くいる地だそうで女系一族であると

系譜は誾千代を祖として神よりこの地を守護せよと申し使った

その神託を守る事が全てであり一切の妥協は無い

実際、幾千の兵を送ろうとも勝てないのだから仕方ない

生き残った兵士によれば雷鳴が響き渡った時にはみんな死んでいたらしい

その死体の山を滑るように現れたおばあさんが

先の口上を告げたらしい

維新により新しい日の出を迎えた国にあって制御出来ぬ地があるなどとは

困った話にはなるが徳川の時代にも不入であり禁足とされた地なればどうする事も出来ず

対面を考え頭を抱えていた所、その地より使者が現れた

使者は手紙を携えているらしくその宛先に帝を指定された

擦った揉んだがあったが何とか帝に届けられる事になり

帝の目に届いた

数日のうちに御裁可があったらしく立花の地は国からの制限を受ける事なく

放置されることになった

但し、立花の地を繋ぐ街道には幾多の監視所が設けられていた

 


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