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復活の日

身体中に管を着けられ、計器を付けられた状態で

俺は寝ている

頭部開頭手術に腹を開いて破裂部分の縫合

骨折部位の整形手術…


医師と看護師が忙しく治療をしてくれてる

これ程の手厚い治療をしてもらって数万の出費で済むんだから

健康保険は有難いよなぁと思いながら

本体の記憶をたどり保険が使えるか確認していた


現在の状況では身分を証明する物は所持していない

小銭入れの金額を思い出す


300円程度


パンと牛乳しか買えねえ

本体の記憶ではどうやら追い出された様子


両親の交通事故での保険金

両親の遺産


全て嫁家族に搾取されて生きている様だ

子供の成長にだけ喜びを見出し仕事に精を出す男

生きていた時の男の顔は生気は無く感情すら感じない顔だった


病院代だけどうにかしないとなと思いながら

医師の処置を待ち身体全体をスキャンする

脳は100g程度の不足 

これは頭が裂けた時に出たらしい

本来これだけで植物人間まっしぐらだし

たとえ頭に障害がなくても内臓破裂と複数の骨折だけでも

十分な死因となる


まあ、死んでるんだけどな、本体は


その時医師の言葉が俺には気になった


「これ以上の治療は無理だ

 治療術師を呼んだ方が良いかと」


「そうですね、頭部の損傷はかなりな物ですので

 そういう意味でも回復する為には治療術師を呼んだ方が良いでしょう」


治療術師?

あれか異世界の回復魔法なのか?


「ですが治療術師が上手い具合にいますかね?

 当院でも常駐させれない程の希少性がある才能ですので」


「調べてみるが確か一人はこの街にいる筈だ

 出払ってればこの患者さんは脳死状態、まあ、生きる屍だろう」


「それに入院ともなれば金額も多くなりますし

 金銭的な関係はクリアすべき問題でしょう」


「兎に角、治療術師に欠損部分を治してもらって

 生命活動が戻るかどうかだな?」


「解りました。

 兎に角連絡を入れてきます

 うまく空きだと良いですが運次第ですね」


「自己で心臓が動く程の頑強さがあるんだ

 本来なら死亡診断書を書いてる頃合いだぞ」


「そうですよね、肺に刺さった肋骨も取り出し

 縫合を終えてます

 内蔵関係は一応出血は止まりました

 輸血は継続して行いますが

 妙に血色が良いんですよね、この人」


「確かにな、健康体の人を診ているような気はするが

 実際この様な重症なんだ 

 と、言うか生きてるのが不思議なんだが?」


そんな事を話しながら出ていく医師達を高い所から見ながら

治療術師に興味を抱く俺だった



その頃、警察署では騒動が起きていた

街1番の愚連隊を逮捕したのは良いが歩く事すら儘ならない

仕方が無いので4人を車椅子に乗せて手足を手錠で拘束した

逮捕理由については当人達に告知しているし本人達も渋々ではあるが

認めている

あれ程目撃者がいれば逃げれる筈も無い

以前からマークされていたことも有り家族関係の調べもついている

それぞれを個室に入れて供述調書を録り検察へ送る手配が出来た所で

彼等の親が現れた

車椅子に乗せられ、両手両足に手錠を掛けられた姿を診て

騒ぎ立てる

厄介なのは少年達の中に国会議員の親がいる事と裁判官の親がいる事だ

国会議員は弁護士を連れて来ていて不当逮捕だとか拘束を解けとか騒ぎまくっている

兎に角公衆の面前で金属バットを振り回し男性に重症を負わせた事は事実なので

代表になった弁護士にその旨を伝え検察官の判断でコチラになるか家裁になるか

解らないと伝える

コチラとしては刑事事件として立件して欲しいが弱腰の検察がどう出るか

読み切れないといった所

48時間はコチラの手の中だからなんとかその間に余罪も含めて

固め切っておきたい

親達が騒ぎ立てるのを横目に検察へ送り出すと

弁護士が近づいてきて


「まだ少年なのにあの処遇はどういった理由でしょうか?

 理由をお聞かせ願えませんか?」


「四人で寄ってたかって一人の男性をタコ殴りにして生死不明の重症にして

 逮捕により興奮しているので拘束しました

 それ以外にも抵抗しますし何より本人達が危険ですので」


「本人達が危険とはどう言う事でしょう?」


「後1時間もすれば解ります

 私らが説明するより解りやすいでしょうし

 それまではお待ち頂くしか無いですね」



病院に一人の女性が来た

救急受付の窓口に


「治療の必要な方がいると連絡を貰ったのですが

 コチラで顔いませんか

 私は治療術師の橘と申します」


「はい、連絡を受けてます

 ICUの場所はご存知ですか?」


「はい、解ります

 それでは」


受付を済ませ急足で廊下を進む

連絡を受けた時点の話では回復する見込みは無い様な話だった

身体の欠損は無理にしても怪我程度なら治せる

骨折も無かったように出来る

だが脳は無理だろう

脳のいくらかが無くなっていては回復させる事は無理に決まっている

そう思いながら医師の元に赴くと


「あ、橘さんお待ちしていました

 患者さんは自発呼吸ができる状態です

 念の為酸素は送る様にしています」


「はい、お待たせしました

 あらましはお聞きしておりますので

 まず、患者さんを診てみましょう

 判断はその後で」


「はい、コチラです」


そういって案内されたベットにはまさに包帯とギブスでぐるぐる巻きにされた

ミイラ状態の患者さんだった

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