地球へ
女神ーズが何やら忙しそうにしているが
まあ、いつもの事だけどと考え地球の事を思う
神国は消えたが魔族といつの間にか手を組み
召喚どころか地球に送り出していた
どの時点の地球に転移するか考えながら
やはり現代かと思いつく
この身体になってもやはり新しい身体を作るのは
無理をかけてしまうので所謂乗り移りが1番だろうが
そう都合良い身体が地球にあるわけじゃないし
ルールは守らないとと今にも死にそうな魂を探して観る
お、あれは良さそうだなと思いつき少し早いが
行ってみるか
探すなよって言ってあるから大丈夫だろう、大丈夫?
置き手紙をしておくか
「転生して来ます
探さないで下さい
ハジメ」
これで大丈夫だろう
えーと、なになに
田中 一
年齢31歳
既婚 子有り 娘3歳
両親 共に死亡(交通事故)
家族 嫁、嫁両親、嫁弟、嫁妹、嫁妹の夫、嫁妹の子供3人、本人に係累無し
学歴 大卒
職業 公務員
給与 年収約800万
家 持ち家(新築三世代住宅)
ローン 車、自宅
生命保険 数社(受取人 妻)
貯金 17500万
現在の所持品 衣類、小銭入れ(378円)
現在の状況 生命活動停止まで30秒
現在の思考 楽になれる期待感10%、恨み990%
推定死因予定 オヤジ狩りによる頭部座礁及び硬膜下出血、骨折多数、内臓破裂
死亡により悲しむ者 無し
やれやれ名前は一か
字が違うだけだから呼ばれても困らんだろう
しかし辛い奴だなぁ
丁度良い死体はこれしか無いから数秒待つ事にして…
すんなりと地球に帰り着くことが出来たが時代的には俺が生きていた時代と
変わらん様な気がするなと、起き上がって辺りを見回す
するとギョッとした様な顔をした若そうなそう高校生程度の少年が4人こちらを見ていた
手には金属バット、おー血が付いてるな
あれで殴られたらさぞ痛かっただろうに
起き上がったついでに周りを見渡すと道を走る車も周りに立つ家やビルも馴染みある物だった
「な、なんで起きて来るんだ…」
「こいつ死んだよな?」
「嘘だ、嘘だ、死んだはずなんだ」
「…」
そんな事を言いながら、ジリジリと後退りする様に逃げようとしている
俺は手を回したり、足を上げたりして正常に動くことを確認していた
「お前ら、戻ってこい」
そう言うと、少年達は逃げようとするが逃げようとする格好のまま戻って来る
「なんだ、逃げないと」
「身体が動かない!」
「何をしやがった!」
「俺達に何かしたらタダじゃ済まねえぞ!」
そんな事を言いながら騒ぎまくっているが
鼻に輪っか付けた奴の腕を肩からちぎってやったら恐ろしいほどの叫び声を
上げて失神しやがった
お、外傷性ショックで死ななかったか
運の無い奴だなぁ
残りの3人は同じように腕をちぎってやったが、誰も死ななかった
仕方ないので4人同時に膝から下を取ってやると
激痛で意識が戻ったらしく叫び声を上げてまた失神しやがった
しばらく見ていると意識が回復したらしく二人程呻き始めた
その頃になって誰かが通報したのかサイレンの音が近づいて来る
つまんねえのとか思いながら元の身体に戻してやる
パーツは違うけどな
パーツ違うって困るよな
歩こうと思えば違う奴の足が動いて倒れてるし
腕を動かそうとすると違う奴が叫んでる
サイレンの音が側まで来たのでゆっくりと地面に横たわり寝た真似しといた
パトカーから降りてきた警官がギョッとした様な顔で俺の方を見ながら
同僚に
「急いで救急車を!」
とか叫んでる
少年達の方を見ながら
「お前らはジゴロ組のメンバーだな
今日こそお前らを逮捕してやる、覚悟しておけ」
そう言いながら応援の警官を無線で呼んでいた
少年達は逃げようとするが足がバラバラで立ち上がることすら出来ないでいる
お前ら学校で二人三脚しなかったのかよと思いながら薄目を開けて見ていた
数台のパトカーが到着して手足バラバラの少年たちを捕まえ
「そこで怪我をされている男性に対する暴行容疑で逮捕する」
と、叫んで手錠を掛けていた
まもなく救急車が到着して救急隊員が担架を押しながら現れ
俺の方に駆け寄り現状を確認しようとする
「急いで病院の確保、1番近いICUを確保しろ!」
大丈夫、もう死んでるから
「どんな状態ですか?」
「心肺停止状態です、頭も割れてますし脳漿も出てます
恐らく無理だと思いますが
兎に角、救急搬送します」
心臓マッサージされながら酸素マスクを付けられて救急車に乗った
お、俺って初めて救急車に乗ったじゃんとか思いながら
病院までドライブする
そろそろ生き返るとするかな
「心臓に反応があります!」
「マッサージ休むな!
気道確保くらいしか我々には出来んが何としても
病院に送り届けるんだ
急げ、パトカーを先導させろ!」
「え、大丈夫なんですか?
管轄違いますし、サイレン鳴らしただけでもクレームくるご時世ですし」
「かまわん!無線でパトカーに呼吸が戻ったから先導しろと云え
患者さんは生きようとしているんだ
我々は助ける為に全力を尽くすんだ」
パトカーと連絡がついたらしく2台でサイレン鳴らしながら病院まで進んだ
病院に到着後俺はICUに移動
救急隊は医師に状況説明
「到着時は心肺停止状態、頭部裂傷というか裂けており脳漿が出てました
早急に心臓マッサージ、気道確保、酸素吸入
医療行為等に於ける注射等は本日資格隊員が同乗しておりませんの
行っておりません」
「移動開始して5分後に心臓に自己動作を確認、続けてマッサージ継続しました」
「有難うございます、それで怪我の原因は?」
「小耳に挟んだ程度ですが、どうやらジゴロ組の暴行らしく金属バットで暴行された様です
詳しくは所轄警察が聞きに来ると思いますのでよろしくお願いします」
「ご苦労様でした、長い夜になりそうですね」
「はい、それでは私らはこれで失礼します」
そんな会話の後に救急車は帰って行った
その頃ICUでは
「脳外科の先生呼んできて!外科も、寝てたら叩き起こして!」
「心臓だけが動いている状態ですが、これって…」
「兎に角、脳外科の先生に頭部の処置をお願いしよう
どう見ても脳死状態だが生きているんだ出来る事をしよう」
いやいや先生、これから脳も動きますよ




