表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/83

神国の行方 5

森のお方様が消えた途端

部屋の温度が急激に上がるのを全員が感じた

いや、正確に言えば始祖の女神様方が現れた途端に部屋の温度が

急激に下がった

森のお方様のお顔に苦しみが見て取れる

部屋の中にいた全員が息を吹き返した様に安堵のため息をつく


「お帰りになられたか

 生きた心地はしなかったな

 あれほどまでに恐ろしいお方だったとは

 グリウスよ、これからその方に帝国の未来を託す事にする

 よき助言をしてくれるように」


「はい、我等は帝国の代表として国民に対して責任を負います

 何卒、皆様におかれましてはその責任を十分に感じて施政頂けます様に

 お願い申し上げます」


「私も生きた心地が致しませなんだ

 まさか一瞬の間に神国が消えてしまわれたとは」


「先程のお話では、神官共を消し去り国民だけを残して

 後始末を我が国にとの仰せで御座いましたが

 偵察の者が帰るまでは不明でしょうなぁ」


そうこう言っている内に偵察からの報告があったらしい

ロバート公爵が代表で話を聞いたらしいが

真っ青な顔で帰ってきた


「ロバートよ如何いたした

 顔色が悪いぞ」


「皇帝陛下に申し上げます

 神国は更地になっておるそうです

 建物はおろか生きている者を見つける事は

 出来なかったそうです」

 

「なんと、それ程の事が起こったと申すか」


「これは急いでロバート公爵を送り込むのだ

 そしてロバート公爵において建国しその地を治める様に」


「は、皇帝陛下の仰せに従い

 かの地へ進軍し治めてまいります

 おそらく数年はかかろうと思われますが

 このロバート身命を賭して行う覚悟で御座います」


「うむ。神国の後についてはロバートに一任としよう

 で、我が国の将来についてであるが

 森のお方様から有難いお言葉を頂いた

 先ずは我が娘たちの婿を探さねばならぬがな」

 

「森のお方様のような見目麗しくお力を備えた殿方がおられますかしら?

 我が娘たちの婿殿を探すのは苦労しそうですが

 これも帝国1000年の行く末の為

 私も頑張って探さねばなりませぬ」


[では、新たな国の建国と婿探しそして内政と

 問題は山積みだが新たな気持ちでやっていこうではないか」


「しかし父上様

 森のお方様はどこへ行かれるのでしょうか?」


「神は常に我等を見ておられる

 我らは我らのすべき事をするだけだ」


そう言って皇帝は全員を見渡した

皆は頷き、そして心を一つにした瞬間でもあった



森に戻ってするべき事は誾千代殿を送り返す事だ

誾千代殿は庵にて待機中らしい


神国のせいで転移させられたのだから何か詫びをせねばならないが

うっかり変な力を付けると女神ーズが五月蝿いしなぁ

さてどうするか

庵に赴くと

誾千代殿は手鏡の目に正座して時を待っている様だった

これから戦いに赴き我が城を守らねばならない重圧に流石に顔色が悪い

ふと思いつき


「誾千代殿、これを使うが良い

 顔色が良くなるはずだ」


そう言って小さな貝殻の合わせを渡した


「はて、これはいかなる物でございましょう?」


「何、紅じゃ。口元に引かれるがよかろう

 

「おお、紅を頂けまするか

 これにて妾の死装束とさせていただきまする」


そう言って誾千代殿は小指に紅を採り

手鏡を見ながら口元に刺す


青白い顔に艶やかに浮かぶ紅がより一層悲壮感を際立たせる


「さて、誾千代殿

 お待たせしたがこれより送り返そう

 何か希望があるかな?」


少し頭を傾けて考える風をした後


「妾は立花の娘、

 立花の家の行く末のみが妾の生き甲斐で御座います

 残念な事に我が殿と子が成さぬ故、立花の血が絶える事があれば

 父上に申し訳がありませぬがこれはあの世でお詫び致します」


「その覚悟は俺が聞き入れよう

 立花の家は安泰だ。

 誾千代殿には兄弟が居られた筈だが

 その紅がいざという時は助けてくれるだろう

 宗茂殿とはお別れとなるが立花の家は続いていく」


「そのお言葉を聞いて安心致しました

 これより妾は戦いに向かいまする

 何卒宜しくお願い致しまする」


そう言って両手をつく誾千代殿を送り返した


表に出ると女神ーズが待機している


「主様、神国の始末先走った事をお詫び申し上げます

 なれど魔族との隠れた関係が明らかになった為急ぎ始末致しました」


「いい、それは分かっていた

 どうやら地球が今度の争いの場になる様だな

 馬鹿な事をしたもんだ

 この世界は当分大丈夫だろうから俺は少し休もうと思う

 どこに生まれ変わるかは分からんがお前らはお前らの事をやっておけ

 繰り返すが探すなよ

 体はここに置いておくからな」


「御意に」


そう言って女神ーズは跪いている


「あ、そういや神龍達に子供を借りる予定だったが何か言ってきたか?」


「主様の再臨される場所にお届けすると言っておりました

 全ては我らが取り仕切らせて頂きます」


「どうぞごゆっくりお休み下さいます様

 我等、全ての世界を管理する始祖の女神として主様の旅立ちをお守り申し上げます」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ