神国の行方 3
ガラガラと音を立てながら馬車は城内へ入ってゆく
エントランスに着いたらしくメイド達はドアの前に立ち
外からドアが開くのを待つ
「失礼いたします
王城に到着いたしました事をご報告申し上げます
これよりドアを開けさせていただきます」
そう言うと外からドアが開いた
ドアの外には王城の入り口が見える
「森のお方様、どうぞお出になられて下さい
皇帝陛下もお迎えに参られておりまする」
メイド達にいざなわれて馬車から出ると
馬車から王城まで赤い絨毯が引かれ
絨毯の長さに合わせて騎士団が整列していた
何と大袈裟な事よと思いながらも歩き出すと
騎士団が一斉に跪いて音楽隊によるファンファーレが鳴り出す
諦めて入り口にいる数名の方を見ると如何やら皇帝とその家族達や側近
そしてグリウスの姿があった
皇帝の前まで来ると皇帝達は皆、顔色が悪い
「直接会うのは初めてだが俺はハジメと言う
周りは森のお方とか主様とか言うがな
まあ、宜しく頼むよ」
笑いながらそう言うと
皇帝が一番に
「我が帝国へようこそおいで下さいました
森のお方にご来駕賜るなど帝国の誉れであります
どうかお寛ぎ頂けるよう致します」
「いや、遊びに来たわけではない
グリウスと話があってきただけだからな
用が済めば帰るから心配するな」
すると横から出てきたロバート公爵が
「森のお方様、先日は大変失礼を致しました
森のお方様の御用が最優先では御座いますが
御用が済みましたら何卒王城にてご休息をお願い致したく存じます」
断ったら死にそうな顔で言ってくるからなぁ
仕方ないか
「あいわかった
グリウスと話をしたら中に入るよ
それと、この辺り少し歩かせてもらっていいか?」
「それは何の問題の御座いませぬ
ですがお話ならお部屋を用意させますので
そちらでされたら如何でございましょうか?」
「いや歩きながらでいい
そんな大層な話じゃないからな」
「分かりました
それではお話が終わりましたらお声を掛けてくださいませ
ご案内申し上げます」
「それじゃ、グリウス
その辺りを散策しながら話をしようか」
「はいお供させていただきます」
そう言って歩き始めた俺達を見送って
王族達は城内に入って
「ロバートよ
急いで宴の用意をせよ
あ、待て
何か注意することがあるか?
嫌いな物とか聞いておるか?」
「陛下、申し訳ありませぬが
一切存じておりませぬ
ただ、ご注意としては本来大変穏やかなお方と聞き及んでおります
逆鱗に触れなければ大丈夫かと?」
「それだ、どこが逆鱗に触れる行為なのじゃ?」
「すみませぬ、それも判りません」
「手探りの接待か
まさに命がけの接待とはのう」
「取り急ぎ準備にかからせていただきます
しかしながら時間が御座いませぬ
どれだけのことが出来るか・・・」
「帝国の存亡が掛かっておる
それだけは忘れるでないぞ」
「はい、骨身に染みて御座います」
それから城中が大騒ぎに成って行ったらしい
「グリウスよ神国をどう思う?」
「はい、以前に森の中で伺いました通り
最早修正はし難いかと存じますが
国民には善良なる者も多数おります
首謀者達だけを厳罰にしてお済にはなりませぬか?」
「俺は何回許したか知っているか?
これで5回目だ
最早許すことは出来ぬ
ただ、始末については考えておこう
それと帝国にも避難民が押し寄せるだろうが
そこはお前の知恵で乗り切るがよい」
「その件に関しましては
既に皇帝陛下にご裁可を頂いており
難民の生活についてはある程度目途が立っておりますが
それも人数次第なところが御座います」
「そうか、それは致し方ないが
うーん、そうだこれにしよう
神国を居抜きにしてやるから
帝国から誰か出せばよい
そうだな、ロバートでも出して
神国を纏めさせて帝国と一つにすれば収まるだろう
それでどうだ?」
「それは神国の大神官様達が居なくなると?」
「そうだな」
「分かりました
仰せのままに」
そう言ってグリウスは跪く
「さて、話は終わった
後は始末だけだなそれじゃ俺は帰るぞ」
「あ、主様お待ちくださいませ
陛下が何やら用意させているそうですので
是非ともご足労頂きたく」
「また面倒くさい話になるんだろう
もういいんだけどなぁ」
「そこを一つお願い致します」
「まあ、仕方ないか
それでは手早く済まそうか」
それを見ていたメイドが慌てて走っていく
「ご報告申し上げます
ご歓談は終わったようでこちらにお帰りになられます」
「なに!
早すぎる、何も準備が進んでおらぬのに
どうしたことか」
城内が慌てふためいている間に帰ってきた俺達は
「小さな部屋で茶があれば良いと伝えろ」
それを聞いたメイドが急いで伝えに行く
ロバート公爵が慌てて走ってきて
「森のお方様をお待たせして大変申し訳御座いませぬ」
「よいよい、適当に茶を飲んだら帰るからそれでいいな」
「はい。急いで準備させておりますれば今しばらくお待ちくださいませ」
そして通された部屋は
でかいじゃないか
部屋の中には皇帝家族とその他大勢がいるようだ
ルナもいるな
ルナ皇女は森で会った時のことを思い出していた
あの時、神国の召還が行われなければどうなっていただろう
目の前にいる森のお方という少年は争う感じがなかったが
神龍様方は大変にお怒りだった
伝説の神龍様を見たのは初めてだったが
まさかそれが怒りを抱いた姿だったとは
それも怒りの原因は自分である
皇女として間違いない行いをしたと思っているが
それはまさに時と場合によるものであった




