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帝国の思惑 2

「公爵様、それでは帝国に帰りましょう

 ワザのお迎え痛み入ります」


「お、我だけが迎えに来た訳では無いのじゃ

 此度の事、皇帝陛下も気になさっておいででな  

 其方の迎えにルナ皇女様を遣わされたのじゃ」


「何と、第二皇女で在らせられるルナ様が私を

 迎えにおいで下さるとは誠に身に余る光栄で御座います」


「まずはあちらの屋敷にてルナ皇女様がお待ちである

 御二方もご一緒に屋敷にて御休息をとって頂き

 宜しければ、これからの事をご相談したいと存ずる」


「おお、それは良き考えにございますな

 我が帝国とあのお方の繋がりも固くなりましょうぞ」


「アエル様、カナン様、公爵様があちらの屋敷にて

 後休息をと申されております

 茶菓子なぞ頂きながら少しお話しでもして行かれませぬか?」


「何、茶菓子じゃと

 それは如何なるものか?」


「人間はお茶を飲みながらお菓子と言う物を食すので御座います

 お口に合わぬかも知れませぬがどうぞお立ち寄り下さいませ」


「しかし、我らは主様より其方を送り返すのが使命である

 それ以上のことに関しては主様よりご許可を頂かねばならぬ」


「それでは私があのお方にご許可を頂いて参りましょう

 その間に、公爵様はお屋敷にてご用意をされては如何ですか」


「おお、それは良い考えじゃな

 ルナ皇女様も森のお方にご挨拶願えればより親睦も深まるというものじゃ

 ではグリウス殿、森のお方のご許可を頂き是非においで願えれば幸いじゃ」


「は、ではあのお方にお伺いして参りますので宜しくお願い致します」


森の端の木陰に座り込んでリス達と遊んでいると

グリウスが一人で戻ってくるようだ


「主様、どうぞあの屋敷にて御休息をと迎えに来た公爵様が申しております

 何卒、足を運んで頂きとう御座います」


「めんどくさいから嫌だ」


「え、それは…あの第二皇女であるルナ皇女様もお出でになられておりますので

 少しだけでもご挨拶したいとのお申し出であります」


「どうせ良からぬ企みで挨拶したいだけだろう

 仕方ない少しだけだぞ」


「ありがとう御座います」


「お前の顔も立ててやらんとだしな」


そう言ってリス達を木に返し立ち上がって森の外に出た

見てみると屋敷の入り口には近衛だろうか騎士達が整列し

入り口が開いており、女の子が一人立っていた


入り口付近まで近づくと近衛達は一斉に跪きグリウスの勧めで先頭に立つ


入り口は三段程度の階段になっておりその端まで近づくと

一人の男が近づいてきた


「お初にお目にかかります

 私はルナ皇女様のお供として参りましたロバートと申します

 お見知り置きくださいませ」


「うん、ロバートだな、わかった

 俺はハジメ

 宜しく頼む」


「は、ハジメ様で宜しいですか

 お名前を聞かせて頂きありがとう御座います

 それでは我が帝国の第二皇女様で在らせられるルナ皇女様を

 紹介させて頂きます

 こちらがルナ皇女様で御座います」


そういうとロバート公爵は入り口に片膝を突き

ルナ皇女に向けて


「ルナ皇女様、こちらに居られるお方が森の主であるハジメ様で御座います」


すると入り口に立ったルナ皇女はスカートを両手で摘んで軽く持ち上げながら

軽くお辞儀をしてこちらを向くと


「初めまして、アストリア帝国第二皇女のルナと申します

 ハジメ様には帝国として初めてのご挨拶をさせて頂き

 大変光栄に存じます

 これよりは我が帝国とハジメ様とより良き関係を結べるように願っております」


「ルナと言うのか、俺はハジメだ

 誰も名前では呼んでくれないがな」


そう挨拶を交わすとあちこちから怒りの感情が湧いてくるのが感じる

見渡すと立っているのは俺と龍母の3人だけみたいだ

怒りの感情は帝国側だけでなく後ろに立ってる龍母からも感じる

だからめんどくさいって言ったんだよ


「主様、畏れながら申し上げます

 この者達を塵に変えて宜しいでしょうか?」


龍母達が口を揃えて言うと

グリウスが慌てたように


「主様、アエル様、カナン様どうかお鎮まりを

 近衛の方々もお鎮まり下さい

 これはまさに意識の違いと言うもの

 争う原因とはなりませぬゆえ」


ルナ皇女はグリウスを見ながら


「グリウスと申すか

 妾は高貴なお方と申されるので儀礼に乗っ取りご挨拶を申し上げた

 それに対しての返答があのようであった事に皆が怒りを抱いておるのじゃ

 妾はアストリア帝国第二皇女ルナである

 跪き首を垂れるのが臣下の礼であろう

 どれ程の者が現れるかと思っておれば妾と同じ位の男と

 綺麗なだけの女二人とは親善もあったものでは無いわ」


「ルナ皇女様、なりませぬ

 人の中ではルナ皇女様は高貴なお方です

 皇帝陛下以外には跪く事は御座いますまい

 ですがこちらのお方は人の領域には居られぬお方々

 人の代の礼儀は通じませぬ」


グリウスがそう言うと、すかさず龍母が口を出す


「妾は主様に御仕えするもの

 ルナとやら、なぜ其方は主様より高い位置にて挨拶をするのじゃ?

 まるでその方が主様より偉いように思っておるのか?

 其方らの思惑は主様が口にされるまでもなく我等には分かっておる

 どうせ森の中に入りたいが為にご機嫌を取り結ぼうと思っているのであろうが

 それならそうと違う態度を示すべきであったな」


ルナ皇女は唇を噛み締めて


「我等アストリア帝国はカテリーナ様を御信奉する民であります

 我等が跪くのはカテリーナ様のみ

 無礼を申すと許しませぬ」


あーあ、めんどくさい事になって来たぞ 

グリウスを見ると真っ青になってやがる

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