グリウスの試練5
グリウスの声に従い出て来たのは10名程であった
残りはばすの中で先生と言う女の人と言い合っているようだ
「では、着いて来た人は帰ると言うことで大丈夫ですね?」
それぞれに早く帰してくれとかお腹減ったとか言ってるが
全部無視する事にした
「それでは残りの人はここに残ると言うことで間違いないですか?」
「先生がまだ着てないです」
「それでは聞いて来て下さいな」
そう言うと生徒が一人聞きに行ってくれた
先生が出てきて
「やはり全員を連れて帰りたいのです
それが私の責任ですから」
まあ、そうなるだろうな
「それでは一応全員で対岸のお屋敷まで移動しましょう」
そう言うと、先生は全員を連れ出して点呼を取り始める
「大丈夫です、全員揃っています」
「分かりました、それでは皆さんに注意をしておきます
これから対岸のお屋敷に向かいますが
はぐれないようにして下さい
森に入ると危険な動物がいます
怪我をしたり死んだりします
責任は取れません、自己責任です
必ず守って下さい
それとお屋敷には高貴な方々が居られますので
くれぐれも失礼の無い様にお願いします」
そう言って周りを見渡すと全員が頷いている
まあ、大丈夫だろう
ゾロゾロと引き連れて対岸まで歩いて行くと
女神様がお出でになられた
「グリウスよ、話は纏まりましたか?」
「はい、全員帰りたいとの事で御座います」
「そうですか、分かりましたでは主様にお伝えして参ります」
「はい、宜しくお願い致します」
女神様を見た生徒達の中から
「あの女の人光ってるんだけど?」
「なんか歩いてないんじゃない?」
「あんな綺麗な人見た事ないんだけど?」
「あれ、人じゃないだろう?」
如何やらジョブ持ちの生徒には有る程度理解が出来てるのかも知れないな
やがてお屋敷の中から始祖の女神様方が全てこちらにお出でになられた
「地球の者達よ、妾はアフロディーテと申す
これよりその方達を元の世界に返す事とする
其の方らにはいきなり召喚されて大変ビックリしたであろうが
元に戻れば全て忘れておるゆえ心配することは無い」
「妾はイシュタルと申す
汝らを召喚したる神国には我らがキツイ処罰を下すゆえ
それで詫びとさせて貰おう」
「あのう、処罰とは如何いったものでしょうか?」
先生がいきなり声を掛ける
「ほう、処罰が聞きたいか?
さもあろう
今回の召喚に関わった者は全て殺す事にする
それで如何じゃな?」
「え、殺すって人を殺すのですか?
そんな事は犯罪じゃないですか!」
「何か不思議な事があるか?
人はいずれ死ぬのじゃ
早いか、遅いかの違いでしかあるまい
さらに我らの言いつけも聞かずに性懲りも無く
召喚を続けるとは不届千万
万死の値する罪じゃな」
「そんな、罪があるなら処罰は必要ですが
その為には裁判が必要な筈です
悪いから殺すなんて野蛮な行為です
それこそ身勝手な行為ではありませんか?」
「我らの前では嘘は付けぬ
全て分かった上で処罰するのじゃ
何も問題はないわ」
「そんな、それでは神様ではありませんか」
「そうじゃが何か問題があるか?」
これは危ない展開になりそうです
「先生、ここはあなたの世界ではありません
ここにはここのルールがあります
そしてこのお方達にはルールはありません
まさに先生が仰る通り神様なのです」
「神様?まさか本当に神様なの?」
「こうなれば仕方ないですが
こちらにおわす5柱の女神様方は始祖の女神様方です
この世界、いやあなたの住む世界もお造りになられた
女神様方で御座います」
「神様がそんなに簡単に人を殺すなど
信じられません
神様とは救いを与えるものではないのですか?」
「先生とやら、其方は何か勘違いをしているようじゃ
我らは全てを救ったりはせぬぞ
救うべきは救い、捨てるものは捨てる
其の方らも同じじゃと思うがのう?」
「しかし人の命は大切なものです
掛け替えの無い命を大切にしなければ
大変な世界になります」
「そうじゃな、命は大切なものじゃ
では聞こう
この森にいるウサギとその方の命とどちらが大事じゃ?
答えてみよ」
「え、ウサギと私ですか?」
「うむ、同じ命じゃ
命に変わりはあるまい
如何、優劣をつけるかな?」




