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グリウスの試練4

そろそろ時間かなとばすに向かう


遠くから見てもかなり内部で騒いでいるようだ

まあ、いきなりあんな話をされたのではまず信じないだろう

それも含めてある程度は答えてやらねばなるまい


ばすに近づいていくと内部から先程の女の人が出てきた


「如何ですか?話は纏まりましたか?」


「それですが、如何にも信じられません

 ここが森の中だとは理解していますが

 違う世界などどとは到底信じられないのです

 あなたは返す術が有ると言われましたが

 それなら早く返して下さい」


「信じる、信じないは勝手ですが

 私は事実を述べただけです」


そう言って内部に入って行った


「あなた方の理解が得れたとは思いませんが

 考えを聞かせてもらう事にします

 この世界に召喚された者は等しく力を授かっっている筈です

 口に出して、ステータスと言って下さい

 さあ、どうぞ」


そう言うとあちこちからステータスと声が上がる


「うお」

「なんだこれ?」

「マジかよ」

「やっぱ異世界じゃねえの?」

「先生、ここは異世界だよ」

「あ、俺賢者だ!」

「なんで俺は農民なんだよ」

「農民?、私なんて聖女だよ」

「俺も賢者だ」

「私、女なのに勇者なんだけど?」


騒ぎは止まらない


「先生、先生はなんなんですか?」


子供達が女の人に向かって叫びだす

如何やらこの人は先生と言うらしい


先生は理解不能らしいがそれでも、ステータスと口に出して


「えーと、先生は魔導士って出てます」

「先生、魔法使いじゃん、かっこいい」

「なんで先生が魔法使いで俺は加治師なんだよ、カッコ悪い」

「鍛治師ならマシだろう、俺なんて猟師だぞ」


「えーと君達、落ちついて下さい

 静かにして下さい

 これが皆さんに与えられた職、ジョブとも言います

 そして召喚の目的ですが、その職を持った人が望まれている訳です」


すると一人の男の子が


「僕は戦士でした、もしかしてこれは本当に異世界なのですか?」


「あなた方からすればここは異世界ですね、私には現実世界ですが」


「そんな、やっぱり異世界なのかよ

 それじゃ俺達魔王とか倒すのかな?」

「だって呼ばれたんだろ、俺たちがいないとダメなんじゃね?」

「私は帰りたい」

「でも手から火が出たりするんだろ」

「誰かやってみろよ」

「やり方わかんねえよ」


「はい、静かに!

 あなた方を召喚したのは先ほども言いましたが神国です

 ここのお方はあなた方をここに留まらせる事には賛成しておりません

 ですので自身で進退を決めてもらいます

 私はここにいますので皆さんで決めて下さい」


「あの帰りたい場合は如何すれば?」

「なんかかっこいい事できそうなんで残ってもいいよな」

「ダメです、先生は許しませんよ

 私は、あなた達を全員無事に返す事が仕事なのですから」

「先生、魔法使いなんだから返してよ」

「俺、学校も好きじゃないし家も楽しくないしここで好きに生きたいかな?」

「お前、友達いないもんな」

「うるせえ、このまま学校行っててもどうせ親父みたいになるだけなら

 違う世界で生きるのもいいんじゃないかと思うだけだ」


残りたい者、帰りたい者、未だに理解できない者

やはりそう分かれるかと思いながら

 

「総意にはならないですね

 ではもうすぐ日が暮れますので明日にしましょう」


そこで先生が


「あのすみませんが食事を生徒達に取らしたいのですが…」


「ああ、お食事はご自由にどうぞ」


「あと、トイレとかもどこに有るのか教えていただけたら?」


「トイレとは?」


「あ、トイレとはあの排泄をする場所の事です」


「成る程、トイレと言うのですね

 遠慮なく森で済ませて下さい」


「え、森で?」

「いや、そんなとこで出来ないよ」


「あの、向こう岸のお家でお借りするわけには?」


「それは無理ですね

 あのお方はお貸しくださらないと思います

 私もここに来てから森で済ませてますので

 あなた達も変わりませんよ」


「それではせめて食事だけでも出して頂けませんか?」


「食事も森に入れば有りますよ」


「それは如何いう意味でしょうか?

 森の中に食堂みたいなのが有るんでしょうか?」


「何を言っておられるのか分かりませんが

 森には食べられる動物達や植物がありますので

 それをどうぞと申しております」


「そんな、私達は動物を殺してなんて出来ません」


「それは私の責任ではありません

 それではこうしましょう 

 帰りたい人は私について来て下さい 

 それとそこの人は必ず私についてきて下さい」


そう言って一番前の年配に人に声を掛ける


「私ですか?」


「そうです、あなたは帰しますのでついてきて下さい」


「しかし、このバスは如何なるんでしょうか?

 これがないと私は帰っても後の処理に困るんですが?」


「それに関しては相談しましょう」


「分かりました、ではついて行きます」


そう言ってばすから出ると


「なんだ、お前帰るのか?

 俺たち仲間じゃないか」

「どんなとこかも分からない所なんて嫌だよ

 帰してくれるって言ってるんだから帰ろうよ」

「そうだ、帰れるうちに帰るのが得策だろう」

「私は如何しても帰りたいわ」

「先生、帰ろうよ」

「そうです、皆さん帰ることが大切な事です

 せっかく帰れるのだから帰る事にしましょう」

「いやだ、俺はここに残る

 だって勇者なんだぜ

 元の世界じゃ勇者なんて成れないだろう」

「私も聖女なんてかっこいいと思うわ」

「俺も戦士だからここで試してみたい」


話が纏まる筈はないだろうな


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