グリウスの試練3
「ここではっきりさせておきますが
あなた達は好んで来た訳では無いでしょう
召喚では有りますが言わば被害者でも有ります
この召喚を行なった神国には恐らくでは有りますが
て酷い罰が降ると思います
ここまでで一旦終わります
そうですねあなた達の世界と私の世界の時間が分かりませんが
1時間程度時間を置きますので皆さんで相談して下さい
後で来ますね」
そう言って一旦私は離れる事にした
話した事を理解するには時間が掛かるだろう
湖を周りあのお方の屋敷に近づくと
女神様方がお待ちになられていた
「グリウスよ
如何であったか?」
「は、現状の説明はしました
1時間後に再度赴き話をします」
「ふむ、1度で済まさぬか
主様の思惑は如何なるかのう?」
「一つお聞きしても宜しいでしょうか?」
「なんじゃな?」
「あの者達を返す術はございますか?」
「ふむ、主様なら造作もない事
我等でも簡単に出来るが全ては主様のお考え次第じゃ」
「では神国は如何なさいますか?」
「それよのう、我等あの国には些か腹が立っておるのじゃ
滅ぼしても構わぬのじゃがこれも主様次第じゃ」
「それは神国全てと言う事でございましょうか?」
「いや、召喚に関わった者だけじゃ
アンゼリカに任そうと思ったがあれはミューズと違って人寄りじゃからな
仔龍達も大変じゃろうて」
「あのもしかしてアンゼリカ様の事でしょうか?」
「他にアンゼリカがおるのか?」
「いえ、ドラゴンを従えて居られるならアンゼリカ様で間違いございませぬ」
「妾が参って一捻りで神国を潰した方が良いとは思うのじゃがな」
「いえ、そんな物騒な事は言わないで下さい
神国にもきちんと国の事を考えている者は居るはずです」
「そこが違うのじゃ、グリウスよ」
「え、どこが違うのでしょうか?」
「大賢者にもなってそれが判らぬか?
主様も罪作りな事を…」
「は、申し訳ありません」
「良いか、グリウスよ
国の事を考える、思うのは正しい事じゃろう
だがそれは帝国も同じじゃろう
考えが違う国がその国の事を思えば答えは出るじゃろう
主様がお考えなのは全ての民が同じ方向を向く事じゃ」
「それは神国にしても帝国にしても他の国にしても
勝った国が正しいと言う事ですか?」
「勝った者が正しいとは確かに真理では有る
この森でも弱肉強食の理は生きておるからな
だが強い者は必ず正しいのか?」
「えーと、それは違うと思います
強いから従っているとか下にいれば安全とか
そう言った打算も有ると思いますが」
「群れをなす事じゃな
それが国になった、信念やら武力やらじゃがな」
主様のお心が判る程に精進するが良い」
「はい、精進致します
しかし、あの者達は如何致せば良いのでしょうか?」
「生かすも殺すもお前次第じゃ
神国に渡せばどうせ死ぬ運命じゃからな
それにここで殺しておけば帝国も助かるじゃろう」
「女神様方は命をどの様にお考えなのですか?
我等の命など小さき物ですがそれでも生きております」
「ふむ、確かに生きておるな
そう、我らは死なぬ
正しくはそうではないが我らを消滅させれるのは
ただ一人、主様以外にはおらぬ
我らが考える人とは正に小さきものじゃ
例えばじゃ
お主が歩いている間に何匹の子虫を踏み潰したか覚えておるか?」
「え、いやそんな事は考えた事が有りませぬ
まさかそれが我らだと…」
「ざっくり言えばそう言う事じゃ
命は尊い、それは確かな事じゃ
主様は以前お眠りになっていた時に
命の美しさを知ったと仰られた
妾らもそのお言葉を聞いて理解させられた
天にある者としてあらゆる不条理を撒き散らす事をな
我らは美しかろうと花を作った
だが咲かぬ花もある咲かぬ花は咲く花の養分となる
それがこの世界の摂理なのじゃ
グリウスよ、我らを恨むか?」
「滅相もございませぬ
如何して我等如きが天なるお方の御心を知ることが叶いましょうか
こうして生かされている事が、たとえ他の命を食らっても
生き抜くことが必要なのですね」
「まあ、これ以上は言うまい
あれらを片付けてくるのじゃな」
「承りました
希望通りには叶いますまいがやって参りましょう」




