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グリウスの試練1

私の名前はグリウス

帝国で騎士団に所属している賢者である


この度、皇帝陛下の命を受けて森の調査に出掛けた

森に入れるルートがあるか?

森の内部はどの様になっているか?

そして1番肝心な事は森の主が大人しくしているか?

この3点を詳しく調査せよとのご命令である


先の2点に付いては調査のしようも無い程手が付けられない

まず森に入れない、中が見えない

如何しようも無い

さらに3点目、これは窺い知る事ができない

であるから、この調査は完全に失敗である

そのはずだったのだが森から主が出て来てしまった

挙句に私を森に連れて行くと言う

伝説ではひと睨みで数万の人を殺せるという主に

連れられて歩いている私はまさに死んだも同然である


森の中を歩いていると確かに動物には出会う事があるが

動物だらけという事もない

森が閉ざされて1000年以上が経つらしいが

さほどに動物が多いとも思えない


獣人の長らしき女性に仔猫を返して家に向かうとの事で

さらに奥に歩き始めると

いきなり雷が鳴り始め、落雷が起きる

天空を見上げても空模様は悪くない様だが

これはこの森の特性なのだろうか?

そんな事を考えていると、あのお方がいきなり話始めた

側には私しかいないし独り言でも始めたかと思っていると

如何やら念話らしい

その様なスキルがある事を伝え聞いたことがあるが

実際にこの目で見ると大変に驚く

さらに驚く事にあの落雷は召喚によって起こったものらしい

我が国は現在、召喚は行っていないのでこれは他国の召喚であろうと

あのお方にはお伝えしたが何やら怪しげな物が召喚されたらしい

取り急ぎ帰るとの事で私も急ぎ足でついて行く事にした


森から出て開けた場所に出ると目の前には大きな湖があった

その湖に確かに大きな箱の様な物が半分沈みかけでハマっている


あのお方の言うには、あれは違う世界のばすと言う物らしい

なんでもあの中に人が入って居て移動に使う物らしいのだ

あんな大きな箱に数十人が入って移動出来るとは恐ろしい魔法である


あのお方は魔法ではないと言われたがアレが魔法で無くて何であろうか


始祖の女神様方にお引き合わせ戴き、無事に自己紹介が出来た

まず、命は助かった様な気がするが気を抜くわけにはいかまいと思う


女神様方があのばすとやらを対岸に移動させるのを見て

またもや恐ろしい程のお力に恐縮する

我等もいつかあの様な力を手にする事が出来る様になるであろうか?


少し歩いて小物が住むような小さな小屋に出た

恐らくこの小屋はあのお方の召使いが住んでいる小屋であろう

全てを治めるあのお方が住むと言うお屋敷とはどんな物なのか

私には想像も出来ない

恐らく皇帝陛下の住まうお城の数百倍の豪華さであろうと想像するが

俗人たる私には判りかねるのである


だが期待は裏切られた

なんとこの粗末な小屋があのお方の住まいだそうだ

まさかそんな事がと思っていると、あのお方は


「たかだか男一人が暮らすのに大きな家は必要ないだろう

 豪華である必要もあるまい

 権力を見せつける為なら必要だろうがな」


とのお言葉だった

それではお聞きしますがと召使いの事を聞くと


「身の回りの事は女神共がしてくれるし

 基本、我らは食事の必要がない

 着衣も汚れる事も無いし痛む事も無い

 この暮らしで必要十分だ」


確かにざっと見ても贅沢な暮らしをしている様には見えない

神とはこれ程に質素な暮らしをしている物であろうか?


「確かに贅沢をしようと思えばいくらでも出来る

 願えば出るからな

 だが贅沢も極めれば飽きるんだよ

 本当に使い勝手の良い道具や家具などは

 質素な物ほど美しく感じる様になる

 だから贅沢をしたい者はさせるし、しない者にしろとも言わんよ」

 ああ、唯一の贅沢は温泉かなぁ

 アレだけは止めれんなぁ」


温泉?

それは如何なる贅沢であろうか?

言葉の意味を考えていると


「入らせてやるからついて来い」


温泉とは入る物なのか?


小屋から下がった所に、岩を並べて輪になった場所に水が溜まってある

よく見ると湯気が立っていてお湯になっている様だ


「これが温泉だ、まあ、ただ湯が溜まっているだけなんだが

 これに入っていると疲れも取れるし何より心が休まる


成程、これは風呂が大きくなった物と考えれば良いのだ

風呂などは我らには入ることが出来ぬほど貴重な物であるが故

まさに最高の贅沢と言えるものであろう


あのお方は、さっさと服を脱ぎ捨てて湯を身体に掛けて洗い

温泉なるものに入ってしまわれた


「グリウスも入って来いよ

 入る前にキンタマは洗えよ」


なんという事

温泉とは同時に入るものなのか


先程、あのお方がされた様に身体に湯を掛けて

身体を洗い、温泉なるものに入ってみると

確かに身体が暖かく気持ちも楽になった気がする

普段の自分では無い様な気がしてくる


あのお方と同じように肩まで温泉に浸かりノンビリとしていると

女神様方が御帰りになられた様だが

いきなり叫び声を上げて走って来られる

何か私は粗相をしたのだろうか?

ここで命を落とす事になるのだろうか?

金髪の女神様がいきなりあのお方に向かって


「主様、何をなさっておられるのですか

 人間を温泉に入れるなど如何いう事ですか?

 あれ程温泉には注意しろとおっしゃられたでは御座いませんか」


「あ、そうだった

 ヤバいかなぁ?」


そう言って、女神様方やあのお方が私を見つめる


黒髪の女神様が


「あ、これは…」


「ふむ、この温泉は人にも効果があるんだなぁ」


「効果があるんだなぁじゃ御座いません

 如何するんですか、この様な事になってしまって

 もはや取り消す事は出来ませぬ

 いっそ殺してしまいますか?」


私は殺されるかも知れないらしい


「いや、しかしだな

 入ってしまったものは仕方ないだろう

 勝手に入った訳じゃ無いし

 なんとか誤魔化せんかな?」


「主様、それは無理と言うものです

 もはや手遅れで御座います」


私は話の内容が理解できず

恐ろしい事態に気が気では無い

あのお方と女神様方を交互に見比べていると


「其方、グリウスと申したな」


「はい、グリウスと申します」


「其方、自分の身体に異常は無いか?」


「はい、この温泉なるものに入っておりますると

 身も心も軽くなった気が致しまする」


「そうであろう、して己が知識は如何じゃ?」


知識ですか?そう言いながら手や腕を見るが変わりない

女神様方を見ると初めて見た時は普通の女性に見えた筈が

今見直してみると、どなたも体から渦巻くように神々しい光が立ち上って見える

まさかこれの事かと思い伺ってみると


「はあ、やはり我らの神気が見える様になりましたか

 主様、如何なさいますか」


「あ、いや、そうだな、まあ、あれだ

 見えるなら仕方ないだろう」


何やら歯切れの悪い事を言っておられる

私の身体に何が起っているのだろう?


「もはや仕方ありませぬな

 グリウスとやら、其方は主様の温泉に入ったが為に

 所謂進化を遂げたのです

 賢者であった其方は大賢者へと進化致しました

 さらにですが恐らく寿命も大幅に伸びた筈です

 あれ程温泉にはご注意をと主様も仰られた筈なのに」


大賢者?

賢者の私が死ぬまで修行しても恐らく成れないであろう大賢者

その大賢者に私がなったと?

温泉に入っただけで?


「まあ、大賢者になったんだ

 さらに精進するがいいさ

 あ、そうだ

 大賢者に頼みが有るんだ」


「私にできる事でしたればお受け致します」


「何、難しい事では無い

 さっき召喚された者達をお前に任せるからな

 風呂から出たら片付けておいてくれ」


聞き間違いかと思い恐れながらと聞き直すと

やはり間違い無いらしい


「その様な大役は私などに務まりませぬ

 何卒、ご容赦下さいませ」


「何、心配はしてない

 あの中には恐らく少年少女がいる筈

 年配もいるだろうがその年配はここに連れてくればいい

 俺が送り返すからな

 残った子供達についてお前の考えが聞きたいんだ

 子供らに状態を話して、理解させる事は難しいだろうが

 それでも良い方向を示してやりたい

 頼んだぞ」

岡山県玉野市にて

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