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約束

豊少年は2度の帰還を果たした


「何が約束だよ

 あんなのただの口約束じゃ無いか 

 それを守れって言われても誰が死ぬんだよ馬鹿じゃねえの」


試験に落ちたこともかなりのショックだったが

約束を守れと召喚されるとは思わなかった

でも良く考えてみると召喚なんて有り得ない

きっと薬かなんかで僕を誘拐して脅したのに違いないと考えるのであった


試験に落ちた事で家の中では残念な雰囲気だったが

来年はきっと合格して見せると大見えを切って安心させてあげた


これからは予備校でもっと勉強するんだと思った


風呂に入ろうと思い、服を脱いで浴槽に浸かると

何やら足の先が黒い

何だろうと見てみると足の先が黒くなって柔らかくなっている

足の親指が黒くなり触ると欠けて行く


パニックになった豊少年は裸のままで浴室から飛び出して


「足の指が欠けた、どうしよう?」


母親は素っ裸で出てきた息子に


「何を言っているの?、指が欠けたりするわけないでしょ?」


そう言いながらバスタオルを渡す


「でも、ほらここ見てお母さん」


息子が指差す足の親指を見ると確かに爪の部分が無い


「え、豊ちゃんどう言うこと?どうなってるの?」


そんな事を言っているうちに黒い部分は増えていって

足の甲の部分まできた

甲の部分を触ってみるとサラサラって感じで粉々に崩れて行く


母親はパニックになり


「救急車、救急車」


と、電話に走り出す


父親も妹もどうして良いか分からずオロオロするばかり

やがて母親が呼んだ救急車が到着する頃には右足の半分が無くなっていた

救急隊員も理解に苦しみながら急いで病院を目指す


到着した病院では知らせを聞いた医者が数名待ち構えていた


「どんな病気かわかりませんので、ご家族の方も一緒にいて下さい」


とにかく少年をと車からベットに移そうとする時すでに両足が消えていた

だが痛みは無いらしい

足があった部分には炭の様なものが残っているだけで

それも風に吹かれて飛んで行く


病院中がパニックになりまさに大騒ぎである

当の本人である豊少年は心の中で


「これはまさかあの約束が原因なのか?」


と、ある程度自覚していたが痛みは無くただ炭の様に粉々に消えて行く

自分の身体に恐怖を感じていた


医者達は手当の仕方が一切解らない

それはそうだろう、身体が消えて行くのだ

そんな話は見た事もなければ聞いた事もない

見れば、両の手の先も黒くなり始めている


話によれば黒くなった部分はサラサラと崩れ落ちて行くらしい

知らせを聞いた警察も集まって来たが

手を出す事もなく、ただ家族から話を聞き始めているだけだ


「何で僕はこんな目に遭うんだろう

 死なないといけない事をしたんだろうか?

 約束を破ったからなのか」


そんな事を考えながら周りを見ると

白いナース服を着た看護師さんがじっと見ているのに気づいた

他の病院の人は慌しそうにしているが、あの人だけは動かずに見ている

どこかで見たような顔だと思っていると

その人が近づいてきて


「約束は果たされる

 神との約束とは違えぬもの、その身に刻むが良い」


「これからは痛みを伴う

 死を味わう事だ」


そう言って出て行った


「え、これって死ぬの?

 いやだよ、僕はまだ死にたく無いよ!

 誰か助けてよ!」


ただ叫ぶ豊少年


耐えれない痛みが襲って、意識を失い

さらに痛みが襲って意識を取り戻し、の繰り返しが始まった

病院中に響き渡るほどの叫び声で苦痛を訴えるが誰にも治療などできる筈も無く

ただ消えていく身体を見るしか出来ないのであった


「最早、楽にしてあげる事しか考えられませんが

 どうすれば良いでしょうか?」


そんな相談しかできることは無い状態だった


下半身が消え、両手が消えて胴体が消えて行く

心臓が有る部分が消えても死なない事ににも不思議に思うことが出来ない

最後に残った頭の部分から有り得ない苦痛の痛みが叫ばれる

激しい痛みの中で豊少年は確かに後悔した


「軽い口約束だと思っていた

 あんなの誰でも言う言葉だ

 でもそうじゃなかった、確かに約束したんだ

 落ちたら死ぬと、

 自分で死ねば良かったのか?

 死ぬ気なんてなかった、ただ帰りたかっただけなんだ

 神様、僕を助けて下さい

 お願いします、助けて下さい

 もし助かるならもう2度と約束は違えません

 ただ、生きていたいそれだけです

 お願いします、僕を助けて下さい

 神様がいるなら僕を助けて下さい」


そう思った時に時が止まった


「少年よ私が見えるか?」


声のする方に意識を向けると

歴史で習った昔の人の様な服を着た人がいた


「はい、見えます

 神様ですか?

 僕を助けに来てくれたんですか?

 お願いします、早く僕を助けて下さい!」


その多分神様は残念そうに首を振りながら


「お前は神との約束を違えた

 あまりに可哀想なので来てみたがな」


「約束を破ったのは悪いです

 ですがこんな事はあんまりです

 どうか助けて下さい」


「はっきり言おう

 お前を助ける事は出来ぬ 

 なぜならわしが助ける事が出来る範囲を超えておる

 わしの力を持ってしてもどうにもならん程の力じゃ」


「せめて安らぎでも思ったが、それも叶わぬ様じゃ

 相手が悪すぎたの

 悪すぎたとは変な言い方じゃが決して相手にしてはゆかぬ相手

 始祖の女神様達とその主様とはのう

 わしもこの世界の神、出来るならば助けてやりたいが

 どうにもならぬのじゃ

 わしに出来ることは、先ほど居られた女神様をお呼びする事くらいじゃ」


「それじゃあ、呼んでください

 僕はこんな事で死ぬ訳にはいかないんです」

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