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召喚者達

召喚された学生達、恐らく高校生なんだろう

しっかし、1000年の間に人も呼べるようになったのは大したもんだな


「主様、笑い事では御座いません

 毎回、毎回我らの屋敷内に送り込み続けておりまする

 主様もお戻りになった事ですし、ここはキツイお灸を

 据えてやるべきです」


「多分、入り口には迎えの神官や騎士達が来ているはずです

 今まではウサギやリスに送らせておりましたが

 今回は我等が参ってきつく申し渡しをして参りましょう」


あー、結構頭に来てんのね

しかし、転生者は俺がいるけど召喚者って見たこと無かったんだよなぁ

あれだろなんかスキルとか持って来るんだろ?

どれどれちょいと見てやろう


ショートカットの女の子はっと


「何何、聖女とな」


ポニーテールの子は


「お、勇者じゃん」


んで男の子は


「賢者だってさ」


なんか、全部揃ってね?

すぐにでも魔王退治行けそうだけど

そのまま、魔族の国へ送っちまえよ

何、武器がねえ?


「あのーボク達どうしたらいいですか?」


「お前達はさっき言った事が理解出来ぬのか?」


「せっかく我等が直々に人の国へ送ってやると言うに」


「でも。家には帰れないかも知れないんですよね?」


「私達ってどっか連れて行かれるんですね?

 きっとそこで酷い目に遭わされるんだわ」


「おばさん達が助けてくれないの?」


女神ーズと母龍達が揃って睨みつけると


「おばさん達怖ーい」


「帰ったらお母さんに言って訴えてやる!」


女の子達は元気が良いなぁ

生きて帰れたらだけどな?


「神国に行けば、その方等の仲間である人間が沢山いるし

 同じ様な召喚者もおるであろう

 その者達と相談するが良い」


「神国に行って己がスキルを見せればそれは大事にしてくれるじゃろう

 なんせ、聖女と勇者と賢者じゃからな

 栄養栄華は思いのままじゃ

 うまく行けば王様にだってなれるやも知れんな

 其の方らの世界と違って勉強など必要ないしのう」


そう言ってアフロディーテが先導して高校生達を急き立てる


「はよう付いてまいれ、遅れると森の中には熊や狼が出るぞ」


「え、熊とか狼とかムリなんですけど

 お願いしますから家に返して下さい」


男の子はそう言ってアフロディーテの足にしがみ付く

その様子を見てポニーテールが


「あんた弱虫ね、クマなんてボール持って芸する程度でしょ

 何が怖かったりするのよ、狼だって犬じゃない

 頭撫でてやるとすぐに尻尾振るわよ」


「そうよ、テレビや動物園で見たことあるけど

 大した事ないじゃない」


「もしかしたら私達って選ばれた人間なのかも知れないわ

 聖女ってアレでしょ、魔法が使えるやつでしょ

 ちょーカッコいいじゃん」


「勇者もあれよね、魔王倒す奴でしょ

 ちょいちょいと切ったら倒せる強い奴じゃん」


ダメだなコイツら


「そんなんだからいっつも豊くん達にイジメられるんでしょ

 アンタなんか付いてこなくて良いからね」


「そうよ、クラスで一番弱いアンタなんて猫にだって負けるわよ」


「そう言っても野生の熊や狼って恐ろしい動物だよ

 そんなのに勝てるわけないじぁないか」


「ほんとヘタレね、アンタだけおばさんに泣きついて家に返してもらったら?」


「神だって言うおばさんにね』


なんか変なスイッチが入ってないかコイツら?


「んで、賢者って何?強いの?」


「ボクが知ってる賢者は魔法が使えて補助したりするんだったような?」


「なんだ、お世話係じゃん、学校と変わらないんだ」


「ねえ、おばさん、私達二人はその神国に行くわ

 受験とか親の小言とか聞かなくて良いし

 だって私達凄いんでしょ」


「おばさん達は私達みたいにスキルってやつあるの?」


「馬鹿者、聖女や勇者はスキルではないわ

 言わば職業じゃ」


「やった!、就職出来たじゃん」


「入社試験や面接なんてだるいしね」


「アンタは賢者だったっけ?

 なんか変な職業だからきっと今までみたいに役立たずよ

 だから泣きついて帰るが良いわ」


「そうよ、連れて行ってあげても良いけど

 アンタ私達の奴隷みたいなもんよ」


やっぱコイツらダメだわ

どう考えても賢者の価値が分かってないみたいだ


「僕は如何しても帰りたいです

 お願いします家に返して下さい」


泣きながら言われてもなぁと、思いながらアフロディーテを見ると


「数名は送り返した事が御座いますが

 それらは大した職ではありませんでした

 生きては行けぬだろうと」


ほう、優しい事だな


「お願いします、僕を返して下さい」


「勘違いするなよ、その方達を召喚したのは我等ではない

 我等はこの世界に干渉してはならぬのじゃ」


なんか違う様な気がするがなぁ

結構干渉してる気がするんだが?


「僕はこんな世界で生きて行く自信は有りません

 熊や狼になんて勝てっこないし…」


「お前には賢者と言う職があるじゃろう

 まさかお前は賢者を本当に理解しとらんのか?


アフロディーテから引き剥がしながらイシュタルが声をかける


「ラノベで読んだ程度しか知識はありません

 ラノベでは一応最強クラスでしたが僕にはあんな事出来ないです」


「ふん、最強は勇者の私よ

 だってどんなゲームでも魔王を倒すのは勇者に決まってるでしょ」


「聖女の私が居ないとゲームは始まらないわ

 私と明日香でこの世界の英雄になってすごい暮らししてやるんだから」


お前ら間違ってるぞ

好きな様にさせろと目で合図すると


アフロディーテは


「では、そこな二人は付いてまいれ

 森の外れまで送って遣わす」


そう言って二人を先導しながら森の中を進み始める

引き剥がされた男の子は、泣きながら座り込んでいる


「お前の希望を言うが良い

 一応聞いてやろう」


イシュタルが声を掛けると


「僕は帰りたい、でもあの子達を置いて帰った事が

 如何説明したらいいか分からないです

 絶対、信じて貰えないし、如何すれば良いでしょうか?」


そりゃ、召喚されて戻ってきました

3人で召喚されたけど、僕だけ帰りましたじゃなぁ

誰も信じちゃくれないし、最悪犯人だよなぁ

そんな事をイシュタルが話すと男の子はさらに泣き出して


「もう帰れない、僕なんて死んだほうが良いんだ」


なんでそう考えるかなぁ

もう少しあの二人みたいに前向きになろうよ

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