転生しました
新しい身体に生まれ変わって3日が経った
有りえない事だが、目が見える耳も聞こえる声も出せる
何なんだろう
目が見える様になって初めに見えたのは俺を覗き込む女神ーズの顔だった
目を開けた事に驚いたように
「おお、主様のお目が開きましたぞ
もしかして見えているのでは無いか?」
「まだ3日目ですよ、人の赤子なら見える筈はありませぬ」
「いや、主様の生まれ変わりなら見えるのではないか?」
頭の上で喧しい
目が見えるし、声も聞こえるので試しに話してみた
「喧しいんだ、お前ら!」
「ヒェ!主様、お声が出せるのですか!」
「当たり前だ、頭の上で喧しい、暫く寝てた位で何を騒いでるんだ」
それを聞いて女神ーズは、呆れ果てた顔で
「主様、勘違いなさっておられる様ですが
主様が寝ていらしたのは、1000年で御座います!」
声を揃えて言いやがった
1000年、俺1000年寝てたの?
「正確に言えば、以前のお身体は消滅致しました
現在はこれこの様に、とても小さきお身体」
と俺に手を伸ばす
ええい、手を借りなくても起きれるわい、と起きようとするが起きれない
手を見ると小さな手が見える
なんかおかしいなと思い確認しながら身体を動かしてみるが
思うように動かない
あー、これはアレだな
寝過ぎて身体が固まっちまったんだ
そんな時は温泉で身体を解すに限る
「あのな、どうも身体の動きが悪いから温泉で身体を解そうと思うんだが
すまんが手伝ってくれんか」
そう言うと、やはり俺に手を伸ばして脇の方から抱き抱えようとする
おい、なんで俺は抱かれてるんだ
縦に抱かれて気が付いた
俺、赤ん坊じゃん
女神ーズに抱かれて、温泉に行くと
龍族達が揃って出迎えてくれてた
「主様、お帰り誠に目出度く存じます
これよりもさらに主様に忠誠を尽くしますので
何卒、宜しくお願い致しまする」
あら大長老、俺だと判るのかい
「当たり前で御座います
その恐ろしき神気、震えが止まりませぬ
何卒、お心をお平にお過ごし下さいます様」
あ、お前ら、単に怖いだけなのね
へカティアが俺を抱いて、温泉に入ってくれた
あのなあ、お前の胸が目の前にあるんだけど!
マジマジと胸を見ているとへカティアは
「主様、お乳など御所望では御座いませぬか?
どうぞ乳は出ませぬが、お口に含まれては如何でしょうか?」
乳も出ねえのに変な事言うんじゃねえよ
他の女神ーズが殺気だってるじゃねえか
何で全員が乳を突き出してくるんだよ
「ここは、主様が選んだオッパイで乳母を決めることに致しましょう」
「主様、こちらのオッパイは大きいですよ」
「いえ、こちらのオッパイの方が大きいです」
スイカや、メロンみたいなオッパイ並べやがって
それで押さえ付けられたら、息も出来んわ
へカティアは俺を抱いている有利さからか
他の女神ーズから比べると随分小ぶりなオッパイをそっと唇の端に当ててくる
「あ、へカティアずるいですよ、抜け駆けは禁止です
あくまで主様がお選びに成るのです」
馬鹿野郎どもめ、生まれ変わって俺が腹が減ったと1度でも言ったか
あ、野郎じゃねえよな
乳選びの騒ぎの中、温泉の縁に獣人が来る
お、テレサ大きくなったなぁと思い、よく考えると1000年経ってるんだよな
女神ーズは神だし、龍族は長生きだし、フェンリルはどうなの?
てか、テレサじゃねえのかよ
獣人は近くまできて跪くと
「主様、初めてお目にかかります
テレサ様の子孫、獣人族の長を務めさせて頂いております
テレサと申します、代々、長はテレサと名乗る事を決まりとしております」
どうやら、テレサは死んでしまったらしい
そらそうだよな、1000年だぜ
あんな可愛かったテレサがなぁと、思い出してると泣けてきちまった
「主様、テレサも獣人、短き生命で御座います
フェンリルも500年は生きました、最後まで主様の側で控えておりましたよ」
そう、イシュタルが教えてくれた
長い事寝てたんだなぁ、皆に悪い事したなぁ
「そうか、よく教えてくれた
皆には苦労をかけたな、すまなかった
早く戻れば良かったな、許してくれ」
へカティアに抱かれたまま、皆を見渡しそう謝まった
「何を仰せられます
主様をお待ちするのは我等に課せられた義務です
お待ちしていたお陰で、これこの様に主様を抱くことが出来まする
以前は抱いても頂けなかったのですから
我等はとても幸せで御座います、主様のお戻りで我等も神気を取り戻しましたし
もはや何者も恐るるに足りませぬ」
女神ーズは、美しい顔をさらに美しく輝かせ妖しく目を輝かせていた
「テレサと言ったか、お前の祖先になるテレサはまだ小さい子だった
それしか俺の記憶には無いんだよ
だがお前がテレサなのは間違い無いだろう
よく、皆を纏めて暮らしてきたな、礼を言うぞ」
「何を仰られます、主様
いずれ女神様方からお話があろうかと思いますが
我等、人族に追い詰められております
このままでは主様にご迷惑が掛かることは必定
わたしの代でこの様な事になり、お詫びの仕様も御座いません」
なんか気になる事を言ったな
俺が口を出す前にアフロディーテが先に
「主様、お話をする事が御座います
まずはお話をお聞き頂き、それよりお返事下さいませ」
「テレサの件ですが、獣人族の祖となりトラ族の長と
夫婦に成りました
その後、子も生まれ各種族共に人型になり獣人族と成ったのです
その獣人属性達ですが魔力を持ち、スキルと言う技を身に付ける
様になりました
初めは森の中で暮らしておったのですが、やはり人に近く
人と触れ合う様になりました
森の中には主様の結界のお陰で人族は入れませんが
獣人族は出入り自由な状態ですので街に行ったりして
初めは驚かれたりしておったのです
その内、獣人族の力を知る事になった人族は当然の様に
利用しようとしました
自分達の文化を獣人族に教え、便利さを教えて
生活に無くては成らない物としたのです
その為、1度でも人族の暮らしを知った獣人族は
怖さを忘れて人族に入り込み、力を貸して戦争などにも協力していました
しかし国は1国では無いため、獣人族同士で争う事にも成りました
我等も当時の獣人族の長達に言ってはいたのですが
聞く事はありませんでした
そして、さらに恐ろしい事が起こったのです
人族も僅かながら魔力を持ち、魔法を使うことが出来ました
獣人達の持つスキルを欲しがる様に成ったのです
その為に多くの獣人達が犠牲となりました
殺された者、生きながら解剖され、力の根源を探られたもの
あらゆる手を使って獣人達を捕らえ追い詰めていったのです」




