新しい身体
仲良くなった神達に
「そろそろ元の世界に帰ろうと思う」
と声を掛けて回る
どうゆう準備がいるのか判らないので
一応3日後ぐらいに元の世界に帰るつもりだ
俺がいた世界はどうなってるのかな?
そう思った瞬間に元の世界の身体に変化が起こったらしい
何気なく俺の部屋を覗いたへカティアが違和感を感じたらしい
何やら主様の身体から白いオーラが漂い出て来ている感じだったそうだ
「誰か!誰か居りませぬか!
主様が、ああ、大変です」
へカティアの叫び声を聞いた他の女神ーズは一目散に主様の部屋に駆けつける
「へカティア、どうしました?大声を上げて?」
すると異変を見つけたへカティアは
「主様のお身体からオーラが出ております
これまでと違ったオーラです、これは如何な状態でしょうか?」
それを聞いたイシュタルが主様の身体を見て
「確かにお眠りなさっていた時とは違うオーラが出ています
これは目を離さぬ方が良いと思います」
そう言われて他の女神ーズが
「ならば、妾が付き添い致しましょう」
「いや、ここは私が主様をお世話致しまする」
そんな騒ぎの最中に俺の身体はさらに光が大きくなる
そして光が収まってくると、そこには干涸びた老人の体があったらしい
「イシュタル!、これは如何なることか?
まさか主様のお身体がこの様になるとは」
「妾に訊かれても困りまする
面妖な事、この様な事、誰か知識を持つ者はいませぬか?」
始祖の女神達は数十億年と生きているが
今までこの様な事は無かった
自分達より上位の神が出来る事さえ驚きなのであった
その上、1000年も眠りについた身体が光り始めるなど
経験した事が無い、だから誰一人として答えが出せない状態であった
老人の身体がもっと干涸びて行き、パラパラと埃の様に飛んで
消えて行こうとする身体
その身体を必死に放さまいとする女神ーズの姿があった
その努力も虚しく、その身体は粉々になって消えて行こうとしている
最後のカケラが消えて行こうとした時、代わりに小さな珠が現れた
その珠は、淡ゆく光りそして30CM程浮いたであろうか
そのままの状態でさらに光を増すのであった
「最早理解は出来ませぬ
この珠をどうしたら良いのでしょう?
何やら新しいオーラを感じるのでは有りますが」
「このオーラからはあきらかな主様の感じが伝わって参ります
もしや、新しい主様がお生まれになるのではないでしょうか?」
「あれ、光が強くなってきております」
そうしているうちに、光り輝く珠は寝床にそっと落ちる
さらに光を増して、七色に輝く光の珠となって
激しいオーラを吹き出し始めた
吹き出したオーラは女神ーズ達にも覚えが無いほどの力を感じ
恐れなどとっくに忘れた女神ーズを怯えさせる
そのオーラは森中に広がり、山脈に棲む龍族達にも伝わる
大長老達は、その激しいオーラに恐れ慄きながらも急いで主様のお屋敷に
飛び立って行くのであった
龍族は人に変化するスキルを覚えて、屋敷内に入って行った
そこには寝台の周りで光る珠を見つめる女神ーズの姿があった
「始祖の女神様方、ただならぬオーラを感じました為
急ぎ、参上仕りました
御用があればお申し付け下さいませ」
大長老を始めとして長老達そして進化して龍となった金竜
さらには仔龍達の母龍も姿を見せていた
アフロディーテが
「龍族のものよ良くぞ参った
主様のお身体がチリのように消えてしまい
そのチリの中からあの光珠が現れたのじゃ
このオーラの躍動から主様の感じがするのは間違いないが
どうのようになるやら見当も付かぬ
その方達の参上、誠に心強い事じゃ」
他の女神ーズも一同に頷いている
「何を仰せになられます
主様あっての龍族、主様のお慈悲が無ければあの時に
我等一同絶滅しておったでしょう
あの時の恐ろしさは未だに忘れられませぬ
又、主様の優しきお心に触れて、仔龍らもしっかりと育ちました
なんとしても、主様にはお帰り頂きたいと日頃より祈っておりました」
光の珠はより激しくオーラを吐き出し
さらに激しい光が屋敷全体を覆うようになる
そこ頃には獣人族達が現れ始め、テレサの子孫たる
狼族の長が屋敷の前で待っていた
イシュタルが狼族の長に声を掛け、中に招き入れる
「女神様方、激しい神気を感じましたので参上仕りました
主様はいかがなさったの御座いましようか?」
イシュタルが、先程からの事象を話してやると
「我等、獣人族テレサ様から生まれましたが
主様はお許し下さいますでしょうか?」
「それは問題無いでしょう
テレサにしても女子の身ならば子も成すのは道理
ただ、テレサに会えない主様の悲しみが気にかかりまする」
「我等がその事については、きちんと主様にお話いたしますので
心配は無用じゃ」
「何せ1000年もお眠りしていたのじゃ
我等や、龍族以外、生きておるのが不思議な事よ」
「そう言って頂けると、我等も心休まります」
そう言って、狼族の長は寝床に近づき跪いていた
珠は激しくオーラを吐き出し、さらに光り輝きやがて激しい雷鳴と共に
寝台の上で光を止めた
そこに現れたのは男の赤子であった
黒い髪の小さな男の子
しっかりと手を握りしめている
女神ーズをはじめ、龍族や獣人族もまさか赤子が現れるとは思わなかった
ギョッとした様子で寝台の赤子を見つめ
「これは主様であらせられるか?
この神気はまさしく主様の神気で有りますが赤子とは」
「いや、生まれ変わった主様に違いありますまい
しかし、お世話はどの様にすれば良いのか?」
当然である、女神ーズは子育てなどした事が無い
オロオロとするばかりで
手が動いたとか、足が小そう御座いますとか、意味不明な事ばかり言っている
そのうち我に帰った龍族の母龍達が
「もしや、主様には乳が必要何でしょうか?」
と、一応まともな事を言い出す
子を育てた事の有る獣人族の長は
「生まれたばかりの赤子なら乳が必要ですが
果たして主様には必要なのでしょうか?
それよりも産着などがいるのでは無いでしょうか?」
これまたまともな事を言う
女神ーズは、それぞれの世界から赤子についての知識を慌てて取り込み
「これは、付きっきりでのお世話が必要ですね
我等がきっちりとお世話させて頂きまする」
龍族の母龍も、我等もとばかりに
「我が子らも主様に大変お世話頂きました
これよりは我等も此処にてお世話させて頂きます」
そんな中で、またもや雷が起こった
硫黄の匂いが屋敷内にも立ち込め女神ーズ達の眉間に皺が寄る
「おのれ神国、性懲りもなしにこの様な時に召喚とは
不届千万」
「いえ、この魔法陣は公国のものでしょう
最近は公国も召喚に力を入れている模様」
「仕方ない、妾が見て参りましょう」
と、スーリアが出て行く




