転生の始まり
最近なんとなく身体の調子が良くない気がする
ここがどうだと言えるような違いは無いのだが
どうやら加齢というやつかもしれない
まだ50にもならないというのにやけに疲れる気がする
そういや爺さんも親父も早死にだったよなぁ
でも、転生してこんな身体になったのにやっぱり身体って弱るんだなぁ
でも、女神ーズは言っちゃなんだが
高齢は通り越して信じられない歳の筈だがいつまでも若いんだよなぁ
初めから神として生まれた者と、神になった者の違いなのかなぁ
そんな事を考えながら今日も温泉に入るのであった
パツ金が黒髪を捕まえて小声で話している
「ねえイシュタル、ちょっといいかしら?」
「あらアフロディーテ、何か御用?」
「あのね、主様の事なんだけど最近ちょっとおかしくないかしら?
ちょっとした段差でつまずいたりしてるし、手が震えていたりしてるの」
「あら、あなたも気づいていたのね
私も相談しようと思っていたところなの」
「主様も、ご自身で感じてるみたいで気になされているわ
あの御身体になってから、一切の病や怪我には遭うはずが無い筈ですが
何か我等が気づかない事があるのではないかと不安でなりません」
「そうね、解らないことは無い筈だけど
主様の場合は想定外の結果だから、これまでの転生者と同じようには
ならないでしょうが、なにせ我々でも及びも付かぬお力をお持ちなので
結果が予測できませんね」
「一応、全員が主様を監視して何があっても対応できるように
情報を共有しておく事にしましょう」
「わかったわ、みなには私から伝えておきます」
そう言って、イシュタルは表に出て行った
全員で話を纏め、目を離す事が無いように気を付けて
数日が経った頃、事件は起こった
何時もの様にのんびりと、主様は温泉に入っておられる
今日の勝手に当番はヘカティアだ
温泉から出ようとした主様が急にふらついたと思ったら
そのまま後ろ向きに温泉に倒れこんだ
「きゃああああああああ!」
「誰か、早く!主様が大変よ」
ヘカティアの叫び声を聞いて1番に飛び出してきたのは銀牙だった
銀牙は温泉に飛び込んで、背中に主様を乗せて温泉から飛び出す
アフロディーテとイシュタルは同時に外へ飛び出し
銀牙の両横から主様に呼びかける
「主様!主様、聞こえますか?お返事下さい」
「主様、どこかに異常が感じられますか?」
2人とも、懸命に声を掛けながら家の中に誘導する
玄関先では、テレサが驚いたように見つめている




