猫、現る
あのなあ?相談があるんだが、と女神ーズに声を掛けると
女神ーズ達は一斉に近寄ってくる
「主様、何かご相談があるとか?
主様の困り事は我等がすぐにでも解決致しましょう
何卒、御用命下さいませ」
一斉に跪いてパツ金が代表で申し立てる
「あのな、その主様ってのをもっと他の言い方で良いんじゃ無いかと思ってな」
「何をおっしゃられますか、我等の上位に位置されるお方
主様とお呼びする以外になんとお呼びすれば良いでしょうか?
「そうで御座います、主様はあくまでも主様
代わりなどあろうはずが御座いません」
しかしだな、事の起こりはお前が押し間違えたせいだろう、と
パツ金を見ると
「いえ、あれはへカティアが悪いので御座います
私が決定を押そうとした時に声を掛けたのですから」
それを聞いたネコミミが
「何を言う、そもそも1番酔っ払っていたのはアフロディーテではないか
人のせいにするでは無いわ」
尻尾を膨らませて怒り出す
「もういい、喧嘩をするな
どっちにしたって押し間違えたのはアフロディーテだしな
何でまた1番押したらヤバいやつを押したりしたのか
お前らその所為で俺の子分なんだろ?」
黒髪が困った顔をしながら
「子分ではありませぬ、お仕えするもので御座います」
「子分じゃねえのか?
言い方変えたって同じだと思うがなぁ」
「いえ、我等はあくまでも始祖の女神です
本来と立場が入れ変わっただけの事で御座います
我等にはそれぞれの権能がありますが
主様はそれを全てお一人でお持ちになられ
それ以上のお力をお持ちなのですからお仕えするのが大事な事です」
パツ金が
「左様で御座います、イシュタルの言う通り全てのお力の持ち主たる
貴方様を主様とお呼びする事に間違いは御座いません」
そんな事をグダグダと話していると
ドガーン!バリバリと雷の音がして硫黄臭い匂いが漂い始める
慌てて、表に出てみると家の周りに魔法陣が現れている
「おい、またなのか?」
「はい、またの様です」
今度は裏庭の様だな、緑髪に見て来いと言って家に入る
「これで何度目だ?、大概にして欲しいよなぁ
お前ら一回神国に行って苦情を言ってくれないか」
「それは、主様がいらっっしゃる場所が1番魔力が大きいので
神国の城内で呼んでも力の差で此方に来るのです」
「だから、呼ぶのを止めさせろって言ってるんだ
毎回、毎回人の家を玄関にしやがって
挙げ句の果てに、森に入れないから連れて来てくれだと?
大概にしろってんだ」
「今度から来た奴らは出ていける様に結界を調整しといてやる
だから迎えに来いと言っておけよ」
「あの、主様、お言葉では御座いますが
主様が召喚魔法を制限すれば済むのでは無いでしょうか?」
あ、そういやそうだな
その手があったか
しかし毎回毎回召喚魔法を使うのは良いが呼べるのはカスばっか
犬や、猿しか呼べねえのかよ、お前ら
今回は何が来たんだろうな?
しばらくすると緑髪が胸に手を抱き合わせながら帰ってきた
どうやら胸に収まる程度の奴らしい
乳房の隙間から顔を出し ミャーンと鳴きやがった
猫かよ!
ほんとはた迷惑な召喚魔法だよなぁ
この世界に居ない種族を呼びやがって生態系が崩れるだろうが!
猫を見ると白が多いな、頭はキジっぽいが所謂白鯖猫か
乳房の間から頭を出してる所は可愛いな
で、どうすんだこの猫、送り返すのか?
黒髪は、抱き抱えながら?挟んでるだろお前?
猫の頭を撫で、良い子良い子してる
ネコミミは眷属が来たとばかりに寄って行って、可愛いですと言う
当たり前だ、猫は可愛いもんだ
今度は猫を渡すか?
女神ーズはどうやら猫は渡したく無いらしい
猫は女神ーズの足元で毛繕いを始めてやがる
しょうがない奴だな、世話はお前らがしろよ
間違えても温泉には入れるなよと、忘れずに言っておく
「あの、猫はお風呂は嫌いだと思いますので
大丈夫だと」
ちょっと自信なげにネコミミが言っていたが
風呂好きな猫もいるだろうしな、増えると困った事になる
ただでさえ、仔龍達が来るとうるさいのに
そんな事を考えながら温泉に逃げる俺だった




