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お産に立ち会いました

騒ぎの有った方へ近づいてみると

2匹の龍達が苦しそうにしている


まず女神ーズが近づくと

お産の痛みと女神ーズの怖さに実に顔色?が悪い

お腹の仔に向かって


「産まれる前に死んでしまう事を許しておくれ

 母者にはどうしようもなき事

 せめて母者と共に死にましょう」


何を言っているんだ

一応和解したんだろう殺したりしないし

女神ーズを見ると、先程の険悪な気配は消えて

女神らしい雰囲気を出し母龍を落ち着けようとしているらしい


「母龍達よ、我が主様はその方達と和解しました

 争いはもう無いのです、これよりは安心して仔を産むことに専念するが良い」


そう言って、寄り添いお産を助けようとしている

その言葉を聞いて母龍達は安心したのかお産に向けて意識を持ち直したらしい


「真の神様、間も無く産まれるでありましょう

 我等、神龍に仔が生まれるのは数千年ありませんでした

 まさにこれぞ神のお力に違いありません」


待てよ、つまりは妊娠してたんだろう?

俺が来たから妊娠したわけじゃ無いだろう?

なんでも俺のせいにするんじゃ無いよ


女神ーズは陣痛を軽くする魔法を掛けたりしてあれこれやってる

てか、父親は何処にいるんだ?


「あの、これらの父親は女神様に消されてしまいました」


何!金竜が父親か?


「はい、1番見込みのある竜でございまして

 数千年経てば龍として進化できるもので御座いました」


あの阿呆がなぁ、まあ、金色だったから偉いやつだったのかなぁ

てか、父無し子で産まれてきたら可哀想じゃね?


パツ金に


「お前が消した竜がこの仔らの父親なんだってさ」


って言ったら、パツ金の奴困ったような顔しやがって俯きやがった

2匹の母龍は残念そうな顔で


「仕方ありませぬ、神に逆らったのですから」


と、納得したような顔してるし

しかしなぁ、幾らなんでも父親が死んでるんじゃなぁ

よしここは俺が一肌脱ごうじゃないか!


「戻れ!」


そう願うと消えた金竜と30匹程が戻ってきた

それこそ何が起きたか解らん顔で辺りを見回し、全身を見回している


生き返った金竜を見つけて、母龍達は


「真の神様、誠にありがとうございます」


とお産の苦痛の中で頭を下げてくる

父親は何をしてるんだと金竜の方を見ると、白龍と長老達に寄ってたかって

怒り飛ばされていた

俺は金竜だけのせいじゃ無いと思うけどなぁ

そんな時、


「あ、産まれまする!」


無事に産まれたらしい


人の子と違い、鳴き声をあげたりはしないそうだが

キュ、キュと小さな可愛らしい声を上げて転がっている

よく見ると、子供は竜タイプで小さな羽も生えている

なんと愛らしいことやら


「あの、すみませんが良ければ抱っことかしても良いですか?」


つい聞いてしまいました、すみません、ごめんなさい


怒られるかと思いきや、母竜達は


「貴方様に抱いて頂けるなど勿体無い事で御座います

 宜しければ是非抱いてやって下さいまし」


お許しが出たもんね


竜の仔なのにちっちゃいのね


産まれたてはチワワくらいの大きさしか無い

なんでも産まれて育つのは10匹に1匹程度らしく今回産まれた2匹は

龍族の期待の星だそうだ


そう聞くと抱っこして落としたりしたらまた戦争になる気がして

手が出しにくい

悩んでいると仔龍達がヨチヨチと近づいてきて見上げながら

キュ、キュと鳴いてくる


「主様に抱いて欲しい様で御座います」


ネコミミが横から声をかける、母龍達も期待した顔で頷いてくる


ちっさい羽をパタパタさせながら寄ってくる仔龍達を両の腕で抱き抱え


「お前達、しっかりと大きくなれよ

 俺が見守ってやるからな」


と、声を掛けて下そうとすると嫌々と離れない

お前の親父はあっちにいるわいと金竜を見ると

震えながら、蹲ってるしどうすんだ此の仔ら


仕方ないので暫く抱いてやってるとお乳が欲しくなったのか

母龍の元へ行きたそうになったんで、これ幸いと母龍の元へ連れて行ってやる

仔らは勢いよく乳房に飛びついて乳を飲み始めた


ふと横を見ると黒髪が仔龍を見つめている、また鑑定してやがるな

んで、どうなんだ?と聞くと


「健やかに育ちます、龍族の長となる個体です」


どっちがだ?


「片方は雄、片方は雌ですので、おそらくは雄が長になろうかと?」


まあ、そうかもな。女の長もいるだろうしな

しかし、銀牙を取り戻しにきてお産にまで立ち会うとは思わなかったわ


「母龍達よ、身体に気を付けて子育てするがいい

 まあ、何かあれば森にいるから遊びに来てもいいぞ」


「もったいなきお言葉、子等に変わりましてお礼申し上げます

 お送り出来ぬ無礼をお許し下さいませ」


見れば腹一杯乳を飲んだ仔龍達は、気持ちよさそうに母龍に抱かれて眠りについていた


「白龍よ、これで双方の蟠りは無いと思って良いかな?

 うちの仔が走り回ってその方らの暮らしを騒がせたことは再度俺が詫びよう

 許してくれ」


「何をおっしやられます、頭をお上げください

 全ては我等の無礼が原因、よくよく見誤った事が悪いのです

 それをお許しくださり、生き返らせてくださった貴方様に

 謝っていただく様な事は御座いません

 我等の無礼をどうぞお許し下さいませ」


龍族一同に頭を下げられて困った状態で帰宅することにした

帰る前に仔龍達を見直した事は言うまでもない

むにゃむにゃ言いながら寝てる仔龍は可愛かった


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