森の暮らし
小高い丘に立ち、位置を決め思う
エフェクトも光も感動も出ずに家が出た
普通の平屋の家だ 3LDKと言えば分かり易いかな
「似合わんな」
消しなおして、再度思う
ポンっと現れたのは、ログハウス風の家
取り敢えず内部を見てみる
入ってすぐが食堂、その奥に台所
食堂の右側に入れば寝室
食堂の左側は居間というか結構広い感じのスペースがある
居間の隅には暖炉があり、何故か木が燃えていて暖かい
なんで玄関入ってすぐが食堂なのかは不明だ
この世界に来てから、食事は摂って無い
腹へらねえんだもん、食欲も無いし
動物達が親切に、森の果物とか持ってくるので
有難く頂くけれど満足感は無いし、そもそも消化してるんだろうか?
そんなことを考えてると、ネコミミ女神が声を掛けてくる
「素晴らしいお住まいで御座います
あなた様の様にスッキリとした住み心地の良い座所です」
「なあ、食堂とか台所とかいるか?
お前らだって何も食わないだろ、必要ねえんじゃないの?」
「確かに私達に食事は必要ありませんが、お住まいの形式として
付いてきたのではないでしょうか
そのお身体になられて時が経っておりませんのでもしかしたら
無意識にお食事を求めていらっしゃるのかもしれません」
そう言われれば確かに食い物の夢は見る
それならなんでトイレと風呂は付いてきてないんだ?
そこですかさずパツ金が間抜けなことを言いやがる
「それはあなた様にとって必要の無いものだからでございましょう
あの世界でも利用数が少なかったので現れなかったのではないでしょうか?」
なんだと、それじゃあおれは風呂も入らずトイレも行かなかったんだな
「風呂は出てることが多いから、トラックステーションや高速SAで入ってたし
トイレなんてコンビニやSAで済ましてたぞ
あ、自分ちで使うことが少なかったから表現出来なかったのか」
パツ金は、そうですそうですみたいな顔して頷いていやがる
まあ、トイレは無くてもいいが風呂は欲しいよな
折角景色の良い所を選んだんだから露天風呂を出すか
そう思い、家の横に露天風呂を思うと東屋の付いた露天風呂が出た
黒髪と緑髪の二人が口を揃えて
「これは何でございましょうか?」
お前ら露天風呂をみたことないのか?
「これは露天風呂って言ってな
景色を見ながら、心と身体を癒すものだ
美容と健康にも良いものだ」
どっから湯が沸いてきてるかなんてことは聞かないでくれ
温泉出した俺が解らないんだから
白濁した湯が湯気を出してるのを見てるとたまらなくなってくる
「出でよ!お風呂セット!」
思わず叫んで、お風呂セットを何もない所から出すと
「あー、お前ら、俺はこれから風呂に入るから帰っていいぞ
自分らが住む所も作らないといけないだろうし、忙しいだろうからな」
すると女神ーズは
「これは露天風呂とかいうもので御座いますね
何やら美容に良いそうなと言われましたが?」
お前ら、美容に引っかかったのか、めんどくせえ事を言っちまった
「お前らだって温泉ぐらい出せるだろう
それに入っていればいいじゃねえか、自分専用の温泉で気兼ねなくな」
紫髪がオズオズとしながら
「確かに私達も温泉は出せますが、あなた様のお出しになる温泉と
私達の温泉では効能が違いすぎます
見るからに素晴らしいこの湯質を見るに驚きを隠せません」
なんだ、湯質の違いでもあるのか?そう聞くと
「あなた様の作られた温泉は、浸かれば傷は癒え、病は治り、欠損した部分ですら
再生するでしょう
美しさにもさらに磨きをかけること間違いなしで御座います」
それって、なんて温泉なの?
飲んでも効くのかな?
「はい、飲んでも効能は変わらないと存じます」
これがチート温泉ってやつなのか?
なんかの変な本で読んだけど、命の泉ってのがあってそれが同じ様な効能だったが
それが俺の家の横に出たの?マジで?
「この様な素晴らしき温泉をお創りになられたあなた様に
是非ともお願いしたき儀が御座います
どうか我等にもこの温泉を使うことをお許しくださいませ」
絶世の美女5人が、一斉に胸の前で両手を合わせながらお願いしてくる図ってのも
なかなかいいもんだな、今までの俺の人生の中では無かったことだ
でもな、男風呂と女風呂と分けてないしこのままだと混浴風呂になってしまう
「あー、ではお前たちが入る方と、俺が入る方に分けるからそれまで待て」
そう言うと、こいつら一斉に
「あなた様とご一緒に入らなければ意味がありません!」
なんで?、この湯質だけで大層な効能があるんだったらそれでいいじゃない
なんで一緒に入らないといけない訳?




