初めての自覚
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モヒカン達に連れられて冒険者組合の裏にある
訓練所に来た
結構広くて小さなコロシアムっての?観覧席がすり鉢状になってて
100人位の見物者が入れる感じ
組合長が
「ハジメ、お前が言い出したんだから仕方ないが
危ないと思ったら、すぐに俺のとこに走って来い」
それを聞いたモヒカンが
「組合長、多分そいつはアンタの元には走れねえぜ
俺様の訓練を受けて立ち上がれた奴はいないからな」
確かに俺とモヒカンを見比べると猿とゴリラ位の差がある
見た目だけではなく、力量もだ
自慢じゃないが荷物は持てても、武器は持ったことも無い
なにより武器すら持ってない
薬草売った金しか持ってねえし
組合長が進み出て
「これは決闘ではない、訓練だ
したがって武器はこの木刀を使ってもらう
勝敗は動けなくなるか、降参するまで、もしくは俺の判断で
決定する
武器については木刀だが魔法の使用も許可する
ただし魔法の威力を考えて使用する事
わかったな!」
ちょいまて、魔法だと
武器もまともに持てねえってのに魔法だと
魔法ってあれだろ、火が飛んできたり雷が落ちたり風が吹いてきたりって
訳わかんねえやつだろ? 避けれねえだろう
いつの間にやら、観客席には大勢の人が集まって来てる
よく見ると組合の職員達、受付嬢もきてるし
どいつもこいつもやられて死んでしまえって感じの顔してるな
受付嬢達の顔みてると、女って怖いよなぁって思う
そんなこと考えている内に始まってしまった
モヒカンが木刀を振り上げて
「シネェ!おっさん」
いきなりかよ
あわてて避けて尻餅ついて転がって逃げた
追撃の木刀が何度も襲ってくるがコロコロと転がるしか手が無い
「いつまで転がってるんだ、向かってくる力は無いのか
そんなんじゃ、首は持って帰れないぜ」
木刀を振り回しながら、モヒカンは攻撃を続ける
これじゃ逃げ道も無くなっちまう
なんとか転がって逃げて立ち上がるとそこに上からの1撃
木刀で受けると、手が痛いのなんのって思わず木刀落としちまった
観客席からは
「やっちまえー」
だの
「足腰立たないようにしてやれー」
だの
言いたい放題で俺の味方は一人もいない
逃げる所が無くなって、腕や肩に木刀が当たる
痛いよ、腕なんて変な方向に曲がってるし血出てるし
なんとかなんねえのか、俺に力は無いのかって心から思った
せめて一太刀って気持ちがよくわかるよなぁ、なんて朦朧とし始めた意識
そんな時、急に観客席から叫び声が上がる
「キャー首がー」
「なんで目が開いてるんだ」
「こいつら死んでるんじゃないのかよ」
薄れる意識の中で観客席を見ると、白熊と白狼の首が宙に浮いている
白熊と白狼の同時の叫び声に観客は腰を抜かして動けなくなってる
あいつらの叫び声と同時に空から光が落ちてきた
これってモヒカンが魔法つかったの?
俺って敵も討てずに、魔法で死んじまうんだなんて思ってた
俺の周りに光が落ちて、眩しさから開放されると
どっかで見たようなネーちゃん達が5人立ってる
正確に言うと、立ってない、浮いてるんだな
ネコミミのネーちゃんが俺の傍に寄ってきて
「ハジメ様、御自覚下さいませ
思う事がお力を自覚させます」
なんか言ってるが、痛いのよ俺は
俺の周りを取り囲むように涼しい顔で女達は浮いてる
金髪ネーちゃんが辺りを見回しながら
「ハジメ様、ご尊顔を拝し恐悦至極に存じます」
その言葉と同時に5人の女神達は俺の周りに跪いて
「われらはいつでもハジメ様の元におります
どうぞご命令を」
なに言ってるの?
そういや宴会の最後辺りに、消えながら俺の中に入るって言ってたような?
俺も訳がワカラねえけど、モヒカン達も同じ以上に訳が解らない状態だよな
「な、なんだ!こいつらは おっさんの仲間なのか?
どっから現れたんだ」
つばを飛ばしながら叫んでる
観客席の熊と狼の首は、ネコミミが手を振ると勝手に飛んできた
その首をネコミミと紫髪のネーちゃんが俺に向かって跪きながら捧げ持つ
「このモノたちは、ハジメ様に忠義を尽くすもの
どうか、その手を持って永遠の命をお与え下さいまし」
え、なんだって?
だって死んでるんだよ、首ちょんぱだよ
「ハジメ様は無自覚で御座います
説明不足で申し訳御座いません、お時間が御座いませんでしたので
この様な事に成ってしまった事を、我等、始祖の女神一同心よりお詫び致します
願わくば、このモノたちに永遠の命をお与えになり、御傍に侍らせます事を」
だから、解らないんだって
なにが無自覚なの?永遠の命ってなんなの?
頭の中は理解不能な言葉で埋め尽くされて本当に馬鹿状態
身体はあちこち骨が折れて死に掛け状態なんだけど?




